エアコン各社の主力機種の最新トレンドをみると、大きく「気流制御」と「センサ制御」の2タイプに分類できる。前者はダイキン工業や富士通ゼネラル、後者はパナソニックや三菱電機、日立ジョンソンコントロールズ空調だ。空気清浄が押しの東芝ライフスタイルやシャープ、新規参入のアイリスオーヤマも市場を盛り上げるほか、熱交換器のキレイさという新たな争点も浮上する。連載企画「2017年冬エアコン」の第一弾は、富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア)」Xシリーズ(18年モデル)だ。

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「ノクリア」Xシリーズと国内営業を統括する秋場竜一商品戦略部長兼宣伝部長

 富士通ゼネラルのこだわりは「部屋全体を快適な空間にキープする」ことにある。この点、センサ搭載陣営の「部屋にいる人を快適にする」というコンセプトとは異なる。「人が部屋のどこに移動しても温度ムラなく快適に過ごせることに重きを置いている」と、国内営業を統括する秋場竜一商品戦略部長兼宣伝部長は語る。
 
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「ノクリア」Xシリーズ

 13年から搭載する本体両サイドの「デュアルブラスター」は、室内の空気を取り込んで吹き出す。このサイドの気流が、放っておくと天井に上昇しようとする本体から吹き出す暖気流を抑え込みながら、足元や床を這うようにして遠くまで運ぶ。

 実際に「デュアルブラスター」を停止した時は床面にたたきつけられて熱の力で上昇してしまうのに対し、「デュアルブラスター」を使った「ハイブリッド気流」は、暖気の上昇を抑えて床付近を這うようにして流れる。
 
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「デュアルブラスター」停止時(左)、「デュアルブラスター」を使った「ハイブリッド気流」

 「特に室内が暖まって暖房運転が弱くなったときに威力を発揮する」と、秋場部長は説明を加える。本体から押し出す気流の力が弱まると、暖気は床面まで到達せず、さらに天井に上昇しやすくなるが、「デュアルブラスター」で抑え込めば、弱運転時でも足元まで暖かくなるというわけだ。

 「デュアルブラスター」が室内の空気を循環させているのもポイント。室内が暖まれば、循環して吹き出す空気も暖かくなっていくので、心地よい暖かさが得られる。

 しかし、逆に、最初に室内を暖めたい時、「デュアルブラスター」による室内の冷たい空気が重なると、暖かい空気が冷たい空気に相殺されてしまうのではないか。この疑問に対しては「最初はデュアルブラスターは作動しない。まずは強力な暖房運転で暖めるのを優先してから、デュアルブラスターが作動する」と、運転開始時は冷たい空気が吹き出さないようにしている点を秋場部長は説明する。

55℃で雑菌を除菌、カビ菌を除去

 この冬、「ノクリア」Xシリーズで注目のシステムが、「ノクリア クリーンシステム」に新たに加わった「熱交換器(アルミフィン)加熱除菌」だろう。フィルターの自動おそうじ機能は各社のエアコンに標準搭載されるようになったが、さらに内側の心臓部ともいえる熱交換器をキレイにする仕組みを開発した。

 他社のエアコンと同様に、冷房や除湿運転時に熱交換器に付着する水滴を使って汚れを落として、ドレンパイプから屋外に排出する仕組みは、ノクリアでもすでに採用している。
 
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冷房・除湿運転の水滴で汚れを落とす

 「加熱除菌」は、その処理を施した後に熱交換器を55℃で10分間加熱することで、残留した水分に付着した雑菌を除菌するだけでなく、カビ菌の除去までするのだ。
 
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55℃の「加熱除菌」で雑菌を除菌、カビ菌を除去

 「耐久性や製品寿命に問題なく熱交換器を55℃で加熱できるようにしたのが開発のポイント。試験結果では、雑菌やカビ菌のたんぱく質を破壊することで、雑菌の99%以上の除菌、カビ菌の99%以上の除去を実現した」と秋場部長は胸を張る。わかりやすい例えが、牛乳の低温殺菌だ。66℃で30分間加熱することで、栄養素を壊すことなく殺菌している。ノクリアでは、殺菌とまではいえないが、除菌やカビ菌の除去は行えるという。
 
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雑菌、カビ菌ともに99%以上除菌

 最後に、新搭載した「床暖房併用モード」は着想がユニークだ。新築の分譲マンションではガス床暖房が標準仕様だったりして、床面の暖房が間に合っているケースがある。「床暖房併用モード」では、本体からの暖気流を「デュアルブラスター」の上向きの気流と重ねて、天井を這わせるようにして送る。これは、冷房運転時の「ハイブリッド気流」と同じ原理を暖房に応用したもので、気流を操るノクリアにとってはお手のものといえるだろう。次回は、「センサ陣営」のパナソニックのエアコンに迫ってみよう。(BCN・細田 立圭志)