雑誌と家電を融合させた売り場で従来の小売業の在り方に一石を投じた東京・世田谷の「二子玉川 蔦屋家電」は、2015年5月のオープンから2年が経過し、売上高は伸び続けている。オープンまで2年の歳月を費やして徹底的にコンセプトを練り上げたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の武井総司 家電企画事業部部長が8月下旬、BCNの単独インタビューに応じた。「だから家電は面白い」と、あらためて家電製品の魅力について語るとともに、「コト消費」への手ごたえも語った。

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CCCデザインカンパニーの武井総司 家電企画事業部部長

 自らを「家電の素人だった」と語る武井部長は、1998年にCCCに入社したプロパーの人材として書籍流通には精通していたが、家電流通は疎かった。

 雑誌と家電が結びついた経緯については、もともと増田宗昭社長がCCCの創業時に「ライフスタイルを変革したい」という目標を掲げており、あるべき書店の姿を追求した結果、東京・代官山の蔦屋書店を中核とする「T-SITE」や佐賀県の「武雄市図書館」などの企画が生まれたという。

 「そうしているうちに、よくよく考えたらライフスタイルの軸にあるのは家電であることに気づき、『なんでうちが家電をやらないのか』ということから蔦屋家電のプランニングがスタートした」と振り返る。「蔦屋家電」には本や雑誌はあるが、コミックは一冊も置いていない。「売り上げだけを追求すればコミックを置くのが手っ取りばやいが、そうしていない」と、ライフスタイルショップとしてのこだわりを示す。

 インタビューは<毎日2万人が来店する「蔦屋家電」の秘密>と<売上高の半分を独自調達>、<リアル店舗の共喰いをECのせいにするな>の3本に分けて掲載。従来型の「モノ消費」が通用しにくくなったといわれる小売業の中で、いち早く「コト消費」を具現化する斬新な売り場を提案した「蔦屋家電」の取り組みを知ることは、リアル店舗の今後の可能性を語る上で欠かせない。(BCN・細田 立圭志)