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事業基盤強化の年に、ショップチャンネル田中新社長が事業方針

経営戦略

2017/07/24 13:04

 ジュピターショップチャンネル(ショップチャンネル)は7月20日、今年4月に新社長に就任した田中惠次氏による今後の事業戦略に関する記者説明会を開催した。


4月に新社長に就任した田中惠次氏

 7月3日に創業以来20期連続となる増収を達成したショップチャンネル。売上高は前年比111.1%の1549億円。開局20周年を記念した特別番組や商品が売り上げを押し上げ、例年以上の大幅な伸びを記録した。

 今期、21年目を迎えるにあたり、事業戦略を説明したのは田中社長だ。1983年の入社以来、住友商事でキャリアを重ね、4月に子会社であるショップチャンネルの社長に就任した。

 田中社長は今期の指針に先立ち、まずテレビショッピングを取り巻く環境を説明。富士経済が発表している「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2017」のデータによると、16年の通販市場は9.5兆円で、年々増加傾向にあり、07年と比較すると約2倍に成長しているという。「ECが年13.2%の成長率と圧倒的だが、テレビも2.3%と着実に成長している。市場ポテンシャルはまだまだ高い」(田中社長)。
 

ジュピターショップチャンネルのスタジオ。
リアルタイムで多数の商品を次ぐから次に展開するため、放送中は常に周囲に多くのスタッフが控えている

 こうした市況を踏まえて、新社長として注力するポイントに挙げたのが「事業基盤」の強化だ。「ショップチャンネルの強みを生かして新商品・新ブランドを積極的に投入するとともに、新規販路の開拓、商品と売り場のベストマッチングを追求していく」と具体策を語った。

 新しい取り組みとして紹介したのは、7月24日にリリース予定のアプリ「タッチでアプリ」。初回設定後はパスワード入力などを省いて、最速15秒で注文が完了することができる。田中社長いわく「既存顧客の利便性のため」とのことだ。「東京に250席、大阪に150席のコールセンターがあるが、商品によってはお客様をお待たせしてしまうこともある。アプリなら待ち時間なく、すぐにお買い物していただける」。オペレーションの効率化にも期待を寄せる。
 

250席体制の東京のコールセンター。入室には静脈認証が必要

 スタジオ外から生中継する人気コンテンツでも、新たな取り組みを実施する。東京都とコラボした「キラリ!東京ブランド」という特別番組だ。08年に日本各地のご当地名産を紹介する「日本を見つけよう」から派生した番組で、東京に本店または支店を構える中小企業の商品を顧客に訴求する。放送は18年2月15日を予定している。

 既存顧客を最優先しつつも、新規顧客の開拓も長期的施策として取り組んでいく。16年には全国紙の新聞広告を中心に、一斉展開することで認知度を広げることに成功したが、今後もWebマーケティングやインフォマーシャルで顧客の母数を引き上げる。

 20周年で業績が大きく跳ねたショップチャンネル。すぐに次のジャンプを狙いたくなるところだが、田中社長の姿勢は慎重だ。「ショップチャンネルのお客様の目は厳しい」という田中社長の言葉には、事業基盤の強化と顧客に新鮮な買い物体験を与えるための新たな挑戦を同時に実行しなければいけない苦労が透けてみえたが、基本方針は土台固め。確実かつ継続的な次の10年の飛躍に向けて、下準備を進めていく。(BCN・大蔵 大輔)