地上デジタル放送への移行に伴う駆け込み需要で沸いた2011年7月まで、テレビ売り場は家電量販店の1階入口の一等地にあった。その座をスマートフォンに明け渡してから久しい。座談会では、スマホからの売り場奪還に向け、テレビ売り場が抱える課題と、新たな可能性について語り合った。

■【4Kテレビメーカー座談会2017】
テーマ3:理想の売り場
リフォームとセット売りしたい有機EL
ネット接続で高付加価値、単価アップも

大手家電量販各社のテレビの売上高が回復

 大手家電量販各社の月次速報データによるテレビの売り上げからも、力強い回復が読み取れる。

 エディオンの年度累計(2016年4月~17年3月)では、前年度比102.5%だった。月別にみると、前年同月を下回る月もあったが、16年7月は129.3 %、17年2月は138.4%と、月によっては驚異的な伸びを
示した。
 
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 ケーズホールディングスは16年5月から17年4月まで、12か月連続で前年実績を上回った。残念ながら5月は99.0%となり、連続更新とはならなかったが、それでも昨年度の累計は107.8%と高水準だった。

 8月期決算のビックカメラやコジマも堅調だ。16年9月~ 17年4月でビックカメラは音響映像商品として102.3%、コジマはテレビで101.1%となっている。

 月次速報値を公表していないヤマダ電機も、17年3月期決算では「テレビに底打ち感が見られ、単価上昇、販売台数の回復で堅調に推移した」とし、テレビ需要復活への意欲を示す。6月2日から発売となった船井電機との独占販売による「FUNAIブランド」の4K液晶テレビをヤマダの店舗に陳列するなど、自らテレビ市場を創造していく姿勢を示す。

 白物家電ほどの力強さはないものの、各社ともテレビの売り上げが前年実績を上回っており、需要が回復トレンドに入ったことは間違いない。
 
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設置フリーの有機ELはリフォームと相性がいい

 そうしたなか、売り場では4Kテレビの高精細で高画質の映像を体感してもらおうと、ソファやチェアを置いてじっくり視聴できる売り場づくりを進めている。ただ、実際の4Kコンテンツがまだ少ないこともあり、メーカー支給のプロモーション用のデモ映像を流しているケースが多い。

 そこで座談会では、「インターネット接続」がキーワードに挙がった。「4Kテレビのネット接続率を高めて、顧客にネット上の豊富な4Kコンテンツの視聴体験を促していきたい」と語る。
 
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テレビ売り場の復活に向けて議論は白熱

 興味深いのは、一見すると、ネットとは縁遠い存在に思える郊外の年配客に、効果的だということ。比較的自由に使える時間が多い年配客は、テレビのヘビーユーザーだ。住環境が広めなこともあり、大画面テレビの所有世帯は多い。そうした顧客向けに、ネットに接続すれば、昔の懐かしいドラマが、いつでも好きなだけ見られることをアピールするのだ。郊外型の家電量販店で、平日の比較的空いている時間を利用して、ネット接続した4Kテレビの楽しみ方を提案する余地は十分にあるだろう。

 また、超薄型ディスプレイで軽量であるのが特徴の有機ELテレビは、これまでのテレビ以上に家庭内における設置の自由度が高まる。そこで「壁掛け」ならぬ「壁貼り」スタイルという、テレビの設置スタイルとあわせたリフォームコーナーでの提案も考えられる。キッチンやトイレ、バスのリフォームに、テレビも追加メニューに加えたい。

 スマホからの売り場奪還に向けて、従来とは異なる新しいアプローチの売り場づくりを、メーカーと流通が一体となって取り組んでいきたい。

開催日:2017年5月24日
場所:BCNアカデミールーム
参加メーカー:LG Electronics Japan、シャープ、ソニーマーケティング、東芝映像ソリューション、パナソニック(50音順)
▼4Kテレビメーカー5社が議論
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170628_43044.html

 

※『BCN RETAIL REVIEW』2017年7月号から転載