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<インタビュー>アイワの三井知則社長に聞く、なぜ今、「aiwa」なのか

インタビュー

2017/06/26 08:00

 今秋から4Kテレビやラジオ付きCDプレーヤー、レコードプレーヤー、Bluetoothスピーカーなどで「aiwa」ブランドが9年ぶりに復活する。1980年~90年代に輝いたオーディオブランドを復活させる背景や理由を、アイワの三井知則社長に聞いた。

取材・文/細田 立圭志
写真/大蔵 大輔


アイワの三井知則社長

「お手軽」で若い層もターゲットに

―― あらためて、aiwaブランドがよみがえった経緯を教えてください。

三井 2008年にソニーでの「aiwa」ブランドは終了したのですが、商標権を持っていました。商標権は登録から10年が更新のタイミングなので、今年2月にソニーと十和田オーディオの間でブランド譲渡の契約が完了しました。これを受けて、十和田オーディオが出資して4月に新会社アイワを設立し、アイワに日本国内でのaiwaブランドの商標権が帰属し、ビジネスできるようになりました。

―― 三井社長はアイワ出身なのでしょうか。

三井 いいえ。私が一番長く携わったのが電子部品メーカーの設計です。CDやCD-ROM、DVDなどの光ディスクドライブの開発をメインにしていました。その後、十和田オーディオでものづくりに携わっていました。そのなかで、アイワブランドを生かしたビジネス案が出てきたのです。

―― 反響はいかがですか。

三井 40代以上のお客様から『懐かしいね』『昔、家に製品があったよ』といった反響をいただいています。40代以上のお客様が若い時に使っていたブランドなので、例えばお子様からオーディオ機器の相談を受けたときに「aiwaはお手軽だからいいんじゃない」とお子様に安心してすすめていただきながら、若い世代の方々にも浸透していければいいと考えています。
 

―― 製品の販売は、家電量販店や総合スーパーなど、リアル店舗だけでの展開になるのでしょうか。

三井 音や映像は実際に見ていただかないと分からないところがあるので、まずは実店舗での販売を基本にしたいです。特に、テレビは(4Kテレビ3機種、HDテレビ2機種の全モデルで)フロントスピーカーの搭載にこだわりました。aiwaらしい、いい音を訴求していきたいからです。

ラジカセは「aiwa」のアイコン

―― 10代、20代の若い人の間で、テープレコーダーなど昔のオーディオ機器が再燃していますね。

三井 アナログのレコードプレーヤーやカセットテープの人気が再燃しているのもタイミングがいいですね。ラジカセ(ラジオ付きカセットテープレコーダー)はアイワのアイコンなんです。『アイワといえばラジカセ』という、このアイコンを象徴する製品が必要と考えて、カセットテープレコーダー付きCDプレーヤーも発売する予定です。
 

「心地よい空間」を提供するために白物家電の参入も検討しているという

 年齢層の高い方々のなかには、昔のカセットテープやレコードを所有している方も多くいます。そうした方々のテープレコーダーが壊れたときに、「アイワならいいね」と言って買っていただけるのではないかと。

 一方で、デジタル化の技術も進展しているので、レコードプレーヤーのような製品にもBluetooth送信機能を搭載し、昔のアナログレコードを再生しても、ワイヤレスでスピーカーと接続できるネットワークオーディオ機能にも対応させます。

―― 白物家電の参入も検討して、2021年度に売上高100億円という数字も報道に出てましたが。

三井 2020年の東京五輪に向けて、家電市場が活性化すると見込んで、夢は大きく、目標を掲げました。アイワの設立にあたって、「人々に心地よい時間と空間を提供していく」というビジョンを打ち立てました。音と映像に空間という環境を考えたときに、例えば、空気清浄機など、音楽や映像だけではない製品も提供できるのではないかと考えています。