【不定期連載・重みを増す「ネット対策」~今、起きていること】 知らない言葉や用語、歴史上の出来事は、インターネットで検索して調べるという行為が一般化し、検索結果の上位に表示された口コミがイメージダウンや購入意欲の低下を招いているケースもある。ユーザー目線のインターネット対策・SNS対策は、今や企業にとって死活問題だ。

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【連載第5回】”検索結果”が鵜呑みにされる危うい時代
 
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 企業のコーポレートサイトや公式ブログなど、自社で所有し、自社の情報を発信するメディアは、マーケティング用語で「オウンドメディア」と呼ばれる。対して、従来のマス広告はペイドメディア、主に口コミの拡散や、自社メディアへの誘導を図るSNSは、アーンドメディアと呼ばれる。これらの3つのメディアを使い分け、ブランド認知を高めなければ、固定ファンは生み出せない。特に昨今、オウンドメディアの重要性が高まっているといわれている。

公式サイトは最大のPRツール デザインを含めて評価対象に

 リアル店舗の繁盛ぶりや経営者本人を知っていれば、公式サイトが長期間更新されていなかったり、古いデザインのままだったりしても、本業で忙しく、Webサイトまで手が回っていないだけだと理解され、ブランドに対する信頼は落ちない。しかし、ネット検索の結果、初めて存在を知った人は、「使えないサイト」「やる気のない店」と判断し、そのまま離れていく。

 公式サイトの充実は、新規顧客開拓の第一歩。特に店舗の場合、観光客を含めた広域からの集客には欠かせない。そこで問題になるのが、自社では制御できない「検索結果」だ。
 
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情報収集といえば検索。サジェスト機能の影響も侮れない

この情報は本当に正しい? 「WELQ」騒動が突きつけた検索サイトの限界

 2016年11月、DeNAが立ち上げたキュレーションサイト「WELQ(ウェルク)」が、ネットユーザーの批判を浴び、最終的に閉鎖するという事件が起こった。

 膨大な数の検索結果が表示されても、実際には上位3ページあたりまでしか見られないといわれている。それを逆手にとり、徹底的なSEO対策を行った「WELQ」の各記事は、検索結果の上位を独占。あまりにも多くの人の目に触れ、医学・医療関係者が同意しかねるエビデンスのないデマ、ニセ情報が「真実」として一人歩きしそうな勢いだったため、サイト自体の危うさを指摘する人が相次いだ。

 検索結果の表示順位や「Googleサジェスト」の候補は、企業側ではコントロールできない。唯一の対抗策は、広告を出稿し、自社サイトに誘導することだが、費用が発生してしまう。医療従事者の間では、近年、エビデンスにもとづかない情報の流布が問題視されており、主治医の診断やアドバイスより、政治家や芸能人、検索上位に入ったサイト/ブログに記載された匿名の人の意見や個人的な感想を信頼して、適切な治療を忌避した結果、病状が悪化するケースもあるそうだ。
 
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検索エンジンに依存した情報発信のあり方が問われている

 瞬間的に情報が飛び交うインターネット上では、善意より悪意、ポジティブよりネガティブな感想のほうが拡散されやすい。だからこそ、メーカーや店舗、有識者など、発信元が確かな情報が必要だ。モノそのものではなく、そのモノを通じて得られる体験を提案する「コト売り」や、製品情報以外の役立つ情報を発信する企業サイトのオウンドメディア化は、あまりにも検索に対する依存度が高くなってしまった現状を変える、一つの解といえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)