【不定期連載・重みを増す「ネット対策」~今、起きていること】 インターネット通販のヘビーユーザーの間で、梱包用の段ボールや緩衝材などの処理が悩ましい問題となっている。これらを片付ける手間を嫌い、極力、リアル店舗で買い物するように心がけるなど、揺り戻しといえる動きもある。梱包材や緩衝材は、配送には必要不可欠とはいえ、何らかの改善策が求められる。

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【連載第2回】過剰梱包はムダという声
 
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 全国段ボール工業組合連合会が調べた2016年の国内段ボール生産量は、過去最高だった2007年を超える約139億7200平方メートルに達した。さらに、17年は前年比101%の141億平方メートルに達すると予測する。

 全生産量の約4割を占める飲料などの「加工食品用」が需要増の要因だが、07年の時点では全体のわずか2.6%に過ぎなかった「通販・宅配・引越用」も4.8%まで拡大している。この「通販・宅配・引越用」の増大が、インターネット通販の普及度合いを見る一つの指標といえるだろう。
 
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 しかし、仕事や家事・育児、プライベートの趣味などで忙しく、店を訪れ、ゆっくり吟味する時間を確保できないため、リアル店舗ではなくオンラインショップで購入しているにも関わらず、ゴミ処理に時間や手間がかかっては、本来の利用の目的である「時短」にはならない。たとえ時間に余裕があっても、不要な段ボールを畳んでゴミを出す行為は、生産的ではない。

 Amazon.co.jpを筆頭に、一部のオンラインショップに対する不満として、商品に対して梱包用段ボールのサイズが大きすぎることや、「まとめて配送」と指定したにも関わらず、分割して配送されるといった口コミが目に付く。その一方で、梱包に汚れがあったり、雑だったりすると、クレームの対象になり、ユーザーレビュー欄に批判のコメントが投稿され、マイナスのイメージが広まってしまう。

 実際の経験談を紹介しよう。家電量販店の店頭で、展示品の電子レンジを購入した。未使用だが、ずっと展示していたため、本来の外箱がなく、代わりの段ボールで梱包して配送するという説明を受けた。自宅に到着後、商品を設置すると、本来あるべき脚の部分がないことに気づいた。梱包していたダンボール箱をみると、穴が開いており、配送途中で4か所のうち、一つだけ抜け落ちたようだ。

 結局、商品は、別の店舗にあった同一機種の展示品に交換することになったが、「過剰包装」は、こうした配送時の事故をなくすため、やむを得ないものだと改めて思い知らされた。ネット通販では一般的な二重梱包なら、こうした事故は発生しなかったはずだからだ。

「時間家電」の導入に時間が取られるという矛盾

 コンシューマ向けビジネスは、究極のところ、可処分時間の争奪戦だ。何か新しいモノを買い、そのモノを使いこなすためのマニュアルの習熟や後片付けに時間を取られるくらいなら、リラクゼーションやカフェ・体験イベントなど、その場で完結するサービスに投じたほうが、より大きな満足を得られる。小売業であっても、「モノ消費」ではなく、「コト消費」を提案するべきといわれる所以だ。

 その一方で、近年、家計に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」が高まっているという。食関連以外のモノがなかなか売れない要因の一つは、選ぶ・買う・片付ける、そのいずれにも多くの時間がとられるからだ。

 さまざまなものがインターネットにつながるIoT時代が到来すると、生活が一変すると期待されている。しかし、現状のように、新しいネット対応機器を買うたびに、まず梱包用の箱を片付け、Wi-Fi(無線LAN)のSSIDを手入力し、専用アプリをダウンロードして設定して、ようやく使い始められるというフローは、スマートとは言い難い。しかも、使い方がわからない場合やエラーメッセージが表示された場合、紙の取扱説明書や、公式のサポートサイトで該当項目を探すより、「症状+型番」で検索したほうが早いという状況だ。

 オンライン/リアル店舗を問わず、顧客との接点を増やし、総合的に展開するオムニチャネル化の成功のヒントは、例えば、配達時の梱包用段ボールの即時回収など、ネット専業のオンラインショップではなかなか提供できない、配送後の負担を軽減するサービスや、今はネット検索頼みの「購入後のサポート」にあるのではないだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)