いよいよ期待したい 回線契約と端末販売の分離

 2011年頃から本格化したケータイからスマートフォンへのシフトは、さまざまな変化を起こした。オンラインショッピングの隆盛や、ストリーミング方式の動画配信サービスの浸透は、そうした変化の一つだ。写真を撮る際、何よりもSNSへの投稿時のインパクトを重視する「SNS映え」という新語も登場した。


かき氷やパンケーキなど、SNSへの投稿時にインパクトのあるスイーツが人気を集めている。
手料理でも、豪華な「朝食」や「キャラ弁当」など、見た目重視の傾向だ

3カテゴリに分かれるスマホ市場 SIMフリー3割突破はいつか?

 スマートフォンは、現在、iPhoneSIMフリーAndroid、そして従来のキャリアが販売するAndroidという新たな区分ができつつある。このほか、わずかだが、SIMフリーのWindows 10 Mobile搭載スマホも売れている。
 

 iPhoneや非SIMフリーのAndroidスマホを求める層は、最初からキャリアショップに向かい、家電量販店は購入先から外れているため、相対的に数字が高くなっているとしても、3年前、2014年7月の時点では、SIMフリーモデルは、スマホ全体のわずか5%に過ぎなかったことを考えると、2割を超えた今は、まさに普及期に入ったといえるだろう。
 

 このまま右上がりの傾向が続けば、SIMフリーモデルの割合は、来春には25%を超え、3割近くまで上昇すると予測する。端末の実質負担額の値上がりを受け、iPhoneユーザーの買い替えが進まず、スマホ全体の販売台数が伸び悩んだ場合は、その比率はますます高まり、早々に3割を突破するかもしれない。

 同時に、スマホ全体のメーカー勢力図も変わるだろう。ヒットを飛ばしたメーカーのシェアは高まり、出なかったメーカーのシェアは低下する。あたりまえの動きだが、ダントツのAppleを追う2番手は、ソニーモバイルコミュニケーションズシャープ、ファーウェイ、ASUSと、以前とは様変わりしている。このなかで、唯一、SIMフリー端末を手がけていないソニーモバイルの今後が気になるところだ。
 

「SIMフリー」と「MVNO」のメリットは違う

 SIMフリースマホ単体に加え、「格安SIM」と呼ばれるMVNOのSIMカードとのセット販売があり、さらにわかりくいことに、一部のMVNOは、大手キャリア同様、分割払いの端末代金と月額料金とあわせて支払う「コミコミプラン」を用意している。「購入」するSIMフリースマホと、「契約」するMVNOのサービスは、本来は別々のものだが、現状は、「格安スマホ」と、一つにまとめられがちだ。

 全国の消費者センターなどに寄せられた「MVNO」に関わる相談例をみると、この両者の違いや、大手キャリアとMVNOの違いを理解していないと思われるケースが多い。

 ドコモは5月24日から、一括払いの場合は即日、分割払いの場合でも購入から100日経過すれば、SIMロックを解除できるように変更したが、将来的には、「従来と同じ買い方」を好む層向けにSIMカードのセット購入プランは残しつつも、原則として、回線契約と端末購入を切り離すべき段階にきているのではないだろうか。

 そうしなければ、SIMフリースマホを出せないメーカーは、PCやタブレット端末などモバイルデバイス全体に共通する「SIMフリー」の波に乗り遅れ、シェアを落とし続けることになりかねない。どちらにしても、今年は、今後を左右する転換点になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


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