東芝ライフスタイル、美的傘下で白物家電が黒字化

経営戦略

2017/05/30 17:57

 東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長は5月30日、同社の縦型洗濯乾燥機の新製品発表会で、昨年6月に中国のマイディアグループ(美的集団)から80.1%の出資を受けてグループ傘下に移行してから、2016年度下半期(16年7月~12月)に黒字化を達成したと発表した。


東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長

 黒字達成の4つの要因として、大胆な構造改革による固定費の圧縮と、製品開発が計画通りに進み新製品が導入できたこと、製品競争力の強化、製品とマーケティングでの成長に向けた積極投資を挙げた。

 また、「マイディアグループに移ってから製品開発のスピードが上がった。両社の(白物家電における)さまざまな技術を出し合って共同開発するので開発のスピード自体が上がっている」と、両社の開発面でのシナジー効果について語った。
 

黒字化を達成した要因

 開発スピードのアップは、両社の経営幹部の連携強化による情報や事業戦略の共有も大きく関係しているという。17年1月には、石渡社長がマイディアグループの最高意思決定機関である「Executive Committee」メンバーに就任し、2月にはマイディアグループの方洪波(ファン ホンボ)会長が、東芝ライフスタイルの会長に就任した。

 石渡社長は1月のBCNの単独インタビューで「東芝グループでは半導体事業や重電事業に重点をおいてきたため、白物家電事業の優先度は相対的に低くなっており、なかなか思うような投資を行えなかった」と東芝グループだったときの心境を語る一方で、同じ白物家電の専業メーカーであるマイディアグループとは「家電への投資はあたりまえで、マイディアに移ったことで、東芝ブランドの家電の開発や製品訴求に再び注力する」と、攻めの体制が整った点を強調していた。

 皮肉にも白物家電事業を切り離した東芝本体は、虎の子である半導体事業の売却でさえ、さまざまなステークホルダーに縛られながら経営の綱渡り状態が続いている。東芝ライフスタイルの短期間での黒字化と、そのコントラストはあまりにも大きい。(BCN・細田 立圭志)