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<TopVision>東芝ライフスタイル石渡社長が語る、「走りながら創る」考え方(後編)

インタビュー

2017/02/24 10:00

 東芝は昨年6月、グループ内で白物家電を管轄していた東芝ライフスタイルの株式の8割を中国・マイディアグループ(美的集団)に売却。現在、東芝ブランドの家電事業はマイディア傘下で続けられている。マイディアの経営層と日々議論を重ねる石渡敏郎社長は、IoTのようなまったく新しい事業の立ち上げ方に関して、彼らから学ぶものがあったと話す。

取材/道越一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/日高 彰、写真/瀬之口寿一

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 東芝はかなり早い段階からネットワーク接続型の家電に取り組んでいた。実際に、庫内カメラの映像を外出先から確認できる冷蔵庫などは既に発売していたが、ネットと家電が連携するサービスをどのように事業化するか、ビジネスモデルの構築に苦労していた。冷蔵庫から食材の注文を行えるサービスなどを検討したが、実現には至らなかった。

 一方のマイディアも近年、ネット対応の「スマート冷蔵庫」を発売していた。ネット接続機能でどのように収益をあげるのか、マイディアの経営陣に尋ねたところ「まずはこの製品を100万台販売することに注力する。ビジネスモデルはそれと並行して考える」との答えだったという。
 

石渡敏郎 取締役社長

 石渡社長は「日本と中国の企業文化の違いとまで言えるかはわからないが」と前置きしながらも、日本企業は新たな事業に取り組む際、市場環境の調査や計画立案をとかく事細かに行う傾向にあったのではないかと指摘する。確かに、いきなり失敗するリスクは避けられるかもしれない。しかしこれだけ変化の急な時代に、計画だけで年単位の時間をかけていては、いざ事業をスタートする時点では既にまったく違う環境になっているという事態もあり得る。これでは、新規事業の果実を得ることは永遠にかなわない。

 東芝ブランドの家電事業も、マイディアグループとの協業体制となって経営スピードが大幅に加速した。石渡社長は、IoT時代に新たなビジネスモデルを創りあげるにあたって、「走りながら考える」アプローチも必要だと感じているという。

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