大学生をはじめとする、若年層のPC離れが指摘されて久しい。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、ノートPCの月間販売台数は、「Windows XP」のサポート終了による駆け込み購入で販売台数が跳ね上がった2014年3月・4月以降、ずっと前年実績を下回っていた。ところが、16年10月、12月、17年1~3月は前年を超えた。今年4月11日(日本時間)の「Windows Vista」のサポート終了は、XPほどではないものの、少なからず買い替えをうながしているようだ。

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 家電量販店のPC売り場を見渡すと、「XPのサポート終了特需」に沸いた3年前との変化に気づく。13.3インチや11.6インチといった画面サイズのコンパクトノートが目立つのだ。従来の「クラムシェル型」と呼ばれる天板を開け閉めするタイプに加え、別売または付属のキーボード部分を取り外したり、タッチパネル対応の液晶部分を回転させたりすると、タブレット端末としても使える2in1タイプも増えた。

 データも、売れ筋の変化を示してる。画面サイズ14インチ未満のコンパクトノートに限り、年ごとに画面サイズ帯別販売台数構成比を集計すると、2015年は「13インチ台」と「11インチ台」の2つに山に分かれていたが、今年(1月~3月)はほぼ5割を占めていた「13インチ台」が6割に拡大、逆に「11インチ台」は3割超から2割弱に低下し、差が広がった。ノートPC全体に占める「13インチ台」の構成比も、13.1%から16.1%に上昇した。
 
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 同じく、画面サイズ14インチ未満のコンパクトノートに限り、重量帯別販売台数構成比を集計すると、3年前はわずか1.9%に過ぎなかった「0.75kg未満」が、今年(1月~3月)は6.0%に拡大。「0.75kg以上1kg未満」の割合も上昇し、コンパクトノートのほぼ3割が「1kg未満」だった。画面サイズはより大きく、重さは軽くと、全体的に軽量化が進んでいる。
 
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ターゲットは学生・新社会人 持ち歩くスタイルをプッシュ

 今春、NECパーソナルコンピュータ(NEC)は、異なるコンセプトのモバイルPCを発表した。一つは2in1で超軽量の「LAVIE Hybrid ZERO」、もう一つはコンパクトな従来タイプのモバイルノートPC「LAVIE Note Mobile」だ。後者は学生向け、エントリーユーザー向けと明確に打ち出しており、スペックも抑え、最廉価モデルなら10万円強で手に入るようにした。学生や実際に支払う親にとって「10万円」が予算の目安になっているからという。「持ち運べる」というコンセプトは共通だ。
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技術の進歩によって、大きな画面でも軽くなり、持ち運びやすくなった
(左から、NECの「LAVIE Hybrid ZERO(HZ750/GAG)」、
富士通のLIFEBOOK UHシリーズの「UH90/B1」、LGの「LG gram」の13.3インチモデル)

 家電量販店の店員によると、モバイルPCで最も売れているのは、実はSurfaceだという。実売データが非公開であるため「BCNランキング」には登場せず、実際のシェアは不明だが、NECの2つの新シリーズは、Surfaceへの対抗モデルとも受け取れる。そのSurfaceも、今年1月に、販売中の「Surface Pro 4」の価格改定を実施。さらに、独自の専用ペンが付属しない分、価格の安いエントリモデルを新たにラインアップするなど、攻勢をかけている。
 
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デザインの幅も広がっている(左から時計回りに、レノボの「YOGA BOOK with Windows」、
ASUSの「ASUS Vivobook E200HA」、日本マイクロソフトの「Surface Pro 4」)

 また、MacやSurfaceシリーズは、持ち運びに便利な専用のキャリングケースやインナーバッグなど、さまざまな対応アクセサリがあり、その点も人気の一つだろう。もちろん、ケース類は、画面サイズさえ同じなら、ほかの機種でも使える。

 薄型化や軽量化、バッテリ駆動の長時間化など、技術面の進化が利用シーンを広げてきた。PCメーカー各社の狙い通り、これらの進化がターゲットに響けば、PC市場はモバイルを軸に回復基調を維持できるだろう。また、MVNOのデータ通信専用プランの低料金化や、「長居」を歓迎する電源・Wi-Fiありカフェの増加など、「外で使う」スタイルを後押しする外部環境の変化にも期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。