日本上陸から3年 進化し続けるSurface 2in1を開拓

時事ネタ

2016/10/26 15:10

 日本マイクロソフトは2013年3月、初の自社製タブレット端末「Surface RT」を発売した。特徴は、独自のキックスタンドと別売のキーボードカバー。Surfaceは、本体とキーボードが分離する2in1デバイスの先駆けとなり、同社調べによると、2in1デバイスは前年超えを続け、構成比はPC全体の21%に達するという。

 日本での販売開始から約3年半。短い期間に大きく進化したSurfaceシリーズを、製品写真とともに振り返ろう。

2in1を開拓 プレミアム領域を活性化

 初代モデル「Surface RT」は当初、タブレット市場で高いシェアを占めていたAppleの「iPad」の対抗馬と目されていた。名称の「RT」はOSの「Windows RT」に由来したもので、Windowsストアで配信されたアプリしか使えず、従来のデスクトップアプリは使えなかった。
 

Surface ProとSurface RT。画面サイズはiPadより大きい10.6インチ
 

Surface RTはTouch Cover付きモデルもラインアップしていた

 その3か月後の13年6月に、OSにWindows 8を搭載した「Surface Pro」を発売。使用するアプリに制限のない「Pro」が加わってから、Surfaceに対する評価は高まり始めた。

 13年10月、第2世代モデルの発表にあわせ、「Surface RT」は「Surface」に名称が変更され、より高性能な「Surface Pro」が主力に位置づけられた。同時に、メインマシンとして使えるPCとしての側面が強化された。
 

専用ペンが付属するSurface Pro 2(キックスタンドで立てた状態と背面)

 この方針転換が、タッチ入力のタブレット、マウスやキーボードを使った従来のノートPC、二つのスタイルで使える2in1デバイスの方向性を定め、iPadの後追いではない、独自の存在感を発揮するきっかけとなった。また、海外メーカーを中心に、「安さ」ばかりが強調されていたPC市場にあって、10万円台後半~20万円台という、以前はニッチだった高価格帯プレミアム領域を活性化させた。
 

 第3世代となる「Surface Pro 3」は、画面サイズを従来の10.6インチから12インチに大型化。また、ペン入力の方式を変更し、初代からの特徴である、背面のキックスタンドの調整可能な角度が従来の2段階から無段階へと広がった。画面サイズは大きくなったものの、重量は軽くなり、携帯性は一段と高まった。
 

モバイルノートPC並みの12インチに大型化したSurface Pro 3

 2015年10月に発売した「Surface Pro 4」は「Pro 3」より高解像度の12.3インチのディスプレイを搭載し、1024段階の筆圧感知に対応するデジタルペン「Surface ペン」が付属する。CPUなどの性能も大幅に向上し、本体も軽くなるなど、完成度はさらに高まった。期間限定キャッシュバックや値下げなども実施し、販売促進にも積極的だ。

 

販売中の最新モデル、Surface Pro 4

 「Surface ペン」は単体で購入すると、税込み8424円もする高価なもの。他社の2in1 PCと比較して「Surface Pro 4」は高いと思われがちだが、ペン込みの値段であることを考えれば決してそうではない。購入を迷っている人には、ペン入力の便利さ、新しさをアピールしたい。

ハード本体だけではなく、キーボードカバーも進化

 別売のキーボードカバーは、当初は2タイプ展開していたが、しっかりとした打鍵感のあるタイプだけに絞られた。「Surface Pro 4」の発売と同時に発表された、「Surface Pro 3/4」に対応する「Surface Pro 4 タイプカバー」は、キートップが独立したアイソレーテッドタイプとなり、暗い場所ではバックライトが光る。

 Surface本体と同時購入で割り引くキャンペーンを実施していることも多く、別売にすることで、バリエーションを増やしているとみなしていいだろう。現在、5色の通常モデルに加え、英語配列、指紋認証センサ付き、素材に高級自動車などに使われる「Alcantara」を使用した高級モデル「Signature タイプ カバー」を販売している。
 

別売のキーボードカバーも進化し続けてきた
(5色の「Surface Pro 4 Type Cover」と、通常より約5000円高い「Signature タイプ カバー」)

Windows 10タブレットは、実はiPadやAndroidタブレットを超えている?

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2016年1月~9月の累計で、タブレット端末全体に占めるWindows 10搭載タブレットの販売台数シェアは11.4%と約1割。Androidタブレットが5割弱を占め、iPadが4割弱を占める、という構造だ。しかしここには、Surfaceシリーズの実績は含まれていない。売り上げが公表されていないためだ。販売数は推定するしかないが、少なくとも20%は超えているだろう。AndroidタブレットやiPadと拮抗している可能性もある。
 

 マイクロソフトは、第4世代の「Surface Pro 4」で、創作やビジネスに役立つクリエイティブツールとしての方向性を打ち出した。付属のペンを活用した手描きを生かせるイラストやプレゼンテーションなどのクリエイティブ用途や法人需要を狙う。

 これまでのモデルチェンジのスパンから考えると、近々、次期モデルが発表される可能性は高い。次のモデルチェンジで、その方向性をさらに強化するのか、より幅広い層にリーチする新たな活用法を提案するのか。短期間で大きく進化したSurfaceは、2in1のけん引役として、日本市場で成功したとみなしていいだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。