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<炊飯器メーカー・鼎談2016秋>「秋・年末商戦」の最新トレンド

特集

2016/10/28 10:00

 BCNは、高級モデルをリードする炊飯器メーカー3社による鼎談を開催。各社に今年の秋・年末商戦の最新トレンドを聞いた。

「秋・年末商戦」の最新トレンド
国内7社の競争激しい市場に新規参入相次ぐ

 今秋の炊飯器市場で話題なのが、大手家電メーカーの元技術者を積極的に再雇用して業績を拡大しているアイリスオーヤマや、無水調理鍋「バーミキュラ」で人気の愛知ドビーなど新規参入企業が相次ぐこと。ただでさえ国内家電メーカー7社がひしめく過熱した市場の中、炊飯器市場をリードする3社はどう迎え撃つのか。
 

 炊飯器市場の新規参入企業について象印、タイガー、三菱の3社とも「市場が盛り上がるのでよい結果につながるのでは」と、おおむね好意的な姿勢を示す。

 タイガーの金丸等氏は「炊飯器というジャンルに注目が集まるのはうれしい」と応え、市場の活性化につながると受け取る。象印の後藤譲氏は「炊飯器売り場にお客様が集まるのは好ましい影響」と、一定の集客効果を見込む。三菱の松村眞介氏も「市場の活性化につながればいい」と語る。

 ただし、炊飯器市場はすでに国内家電大手7社が参入して競争が熾烈。歴史も古く、1955年に東芝が国内初の「自動式電気釜」を発売してから、実に60年を越える成熟市場だ。

 その間、88年にはパナソニックが国内初のIH加熱式の炊飯器を発売したり、2006年に三菱が「本炭釜」を発売して10万円以上の高級炊飯器市場を創造したり、競合同士が技術や機能でしのぎを削ってきた。

 なかでも炊飯器の「安心・安全」に対する消費者からの「信頼」は、市場のプレーヤー全員の力で地道に築き上げてきた結果でもある。迎え撃つ7社には、長年のノウハウを蓄積してきた実績とプライドがある。
 
 

炊飯器の絶対的な「安心・安全」

 「電子レンジでグリル調理したまま外出する人は少ないと思うが、炊飯器を予約設定にしたまま留守にする人は多いだろう。炊飯器の見えないところのセーフティー機能に多くのノウハウがある」。タイガーの金丸氏は消費者の炊飯器に対する「安心」を分かりやすく説明する。

 考えてみれば、炊飯器は水と電気、100℃以上の高温の熱をコントロールする。本来は、リスクの高い製品だ。漏電や発火、水の沸騰による吹きこぼれ、やけどなど考えれば切りがない。にもかかわらず、消費者が炊飯器に絶大な信頼を寄せているのは、メーカーが「安心・安全」の品質管理を徹底してきたからにほかならない。

 「お客様が3合の米を炊くのに、誤ってそれ以上の水を入れてしまっても安全装置が起動して事故にならない。誤使用をどれだけ織り込むかも各社のノウハウ」と、象印の後藤氏は見えにくい工夫に触れる。三菱の松村氏も「耐熱性はもちろんのこと、キッチンにいる虫が基板に混入しない対策などを施している」と語る。

 もちろん、各社が購入者から蓄積してきた「ごはんの好みやおいしさ」のノウハウも膨大な量に及ぶ。参入のハードルはかなり高い。新規参入企業にとっては、おいしさ競争以外でも真価を試される。
 
 

アイリスや愛知ドビーなど参入

 アイリスオーヤマは9月30日に米と水の重量を計測して、自動調整するIHジャー炊飯器「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器 3合(RC-IA30-B)」を発売して市場に本格参入した。

 同社は2009年に家電事業に参入、13年の「大阪R&Dセンター」の開設を皮切りに大手家電メーカー出身の元技術者を大量に再雇用。17年には家電事業の売上高が750億円に達する見込みで、同社の主力事業となっている。炊飯器市場でもこの勢いで暴れるに違いない。

 一方、80年の歴史をもつ老舗鋳物ホーロー鍋メーカーの愛知ドビーが高級炊飯器市場に参入する予定。同社のホームページでは「バーミキュラ ライスポット」との商品名で、新しい炊飯器の一部機能を紹介している。実売2万円のトースターで、ヒットをとばすバルミューダも2017年に参入すると報じられている。売り場では新興勢力の注目度が高まるのは必至だ。
 
<炊飯器メーカー・鼎談2016秋>
開催日:2016年9月28日
場所:BCN 22世紀アカデミールーム
参加メーカー:象印マホービンタイガー魔法瓶三菱電機(50音順)

・高級モデルをリードする炊飯器メーカー鼎談
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年11月号から転載