春は引っ越しシーズン。進学や就職などで自宅を離れ、新たに一人暮らしを始めた人も多いだろう。「BCNランキング」によると、2010年3月の薄型テレビの販売台数は、前年比255.3%という驚異的な数字に達した。引越しとは関係なく、テレビを買い替えた家庭も多かったようだ。しかし、いざテレビにアンテナ線をつないだら、地上デジタル放送(地デジ)が映らず、アナログ放送しか見られない……という人もなかにはいるはず。そんな方に、オススメのアイテム「室内アンテナ」を、筆者の実体験を交えながら紹介しよう。

まさか地デジが映らないとは…

 筆者は昨年春、結婚を機に、実家と同じ神奈川県内の賃貸アパートに引っ越した。近くには地上デジタル放送を送信している電波塔があり、まさか、地デジが映らないとは思っていなかったのだが…・・・、入居後、テレビとレコーダーに家のアンテナ線をつないで見ると、まったく受信できなかった。

 事前に大家さんから、一部のチャンネルの映りが悪い、とは聞いていた。アナログ放送なら辛うじて映ったのだろうが、実家で地デジを見ていた筆者は、今さらアナログ放送を見る気はなかった。しかし、入居早々、テレビが映らないから何とかして欲しい、と大家さんに訴えるのも気がひけた。トラブルは余り起こしたくないものだ。そこで解決策として、「室内アンテナ」を買いに走った。
 

室内やベランダにカンタン設置! 地デジ“アンテナ”対策

 「室内アンテナ」とは、その名の通り、室内に設置して使用するUHFアンテナだ。屋内・屋外兼用の製品が多く、電波の受信状況が悪い場合は、ベランダなど屋外に設置する。価格は3000円台から1万円程度と、それほど高くない。

 地デジは、UHF波で送信されているため、現在、屋根などにVHFアンテナを設置して受信している場合は、UHFアンテナに交換するか、室内用UHFアンテナを購入しなければ地デジを見ることはできない。

 地デジ対応のテレビやパソコンを買えば、地デジが見られると思ったら大間違い。アンテナがあって初めて見ることができるのだ。このほか、サービス提供エリア内なら、アンテナを設置せず、ケーブルテレビ(CATV)や光ファイバー網を利用した「フレッツ・テレビ」を契約する、という選択肢もある。
 
地上デジタル放送の主な受信方法
名称 工事費 メリット デメリット 導入しやすさ
UHFアンテナ
(屋外)
必要 受信感度が良い、月額費用がかからない 取りつけ工事費がかかる。賃貸の場合、大家さんや管理会社に相談し、立ててもらう必要がある ×
室内
UHFアンテナ
不要 本体価格が安い、取りつけが比較的かんたん、月額費用がかからない 受信感度の良いエリアでしか使えない
ケーブルテレビの地上デジタル放送サービス 必要
(CATVを導入済みの場合は不要)
アンテナ設置が不要 月額費用がかかる(条件によっては、無料の場合もある)
フレッツ・テレビ 必要
(FTTHを導入済みの場合は不要)
アンテナ設置が不要 月額費用がかかる、サービス提供エリアが限られる
※このほか、一部の対象地域では、暫定的に衛星放送を利用して地デジの番組を送信する「地デジ難視対策衛星放送」も放送されている。
BCN調べ

 室内アンテナは、家電量販店などで購入できる。ただ、店舗によっては取り扱いがなかったり、テレビ売り場の隅にひっそりと展示されていたりするので、少々探しにくいかもしれない。筆者は、最終的にネット通販で八木アンテナの「ツインパネル型UHFアンテナ UwPA(ウーパ)」を購入した。決め手は、受信感度に関する口コミ。手頃な価格ながら、評判はなかなかよかった。

 室内アンテナ選びのポイントは、何といっても受信感度。とはいえ、感度は実際に設置しないとわからないので、メーカーサイト等のスペックを参考にしよう。受信感度を増強するブースターを搭載したタイプもある。次のポイントは、大きさとデザイン。特に室内に置くつもりなら、部屋の雰囲気にあった好みのものを選ぼう。メーカーは八木アンテナやマスプロ電工などが有名だ。外付けHDDや無線LANなどPC周辺機器メーカーのバッファローも、主にPC用地デジチューナー利用者向けの製品を販売している。店頭で購入したい場合は、品揃えの豊富な店に行き、店員にアドバイスをもらうのもいいかもしれない。
 

さまざまな大きさ・形の製品が販売されている室内アンテナ

(左上から時計回りに、八木アンテナの「ブースタ内蔵ツインパネル型UHFアンテナ パワーアップUwPA」、全方向に感度がある無指向性タイプの同「セミサーキュラー型UHFアンテナ DUCA」、PCからUSBで給電できるバッファローの「ブースター内蔵 地デジ対応機器専用 室内アンテナ DT-OP-RA」)

 使い方はいたって簡単。アンテナ本体を窓際など受信感度のよい場所に置き、テレビやレコーダーなどとアンテナケーブルでつなぐだけ。ただし、アンテナの向きによって受信感度が変わるため、細かな調整は不可欠だ。テレビやレコーダーの設定画面を見ながら調整しよう。

 室内でのテスト結果は、雨戸を開けていれば受信OK、雨戸を閉めるとノイズが入り、チャンネルによっては正常に映らなくなる、という状況だった。そのため、エアコンのダクトにアンテナケーブルを通し、屋外の物干し竿にアンテナを取りつけることにした。また、手持ちのブースターを間につなぎ、出力を増強した。費用は、室内アンテナ本体約4000円、接続・固定用の金具やケーブル類約1000円の計5000円。設置にかかった時間は、アンテナの角度調整を含めて2時間程度。わずかなコストと時間で、無事地デジを見ることができた。
 

[次のページ]

  • 1
  • 2

次へ