各種機器をワイヤレスで接続するための規格「Bluetooth(ブルートゥース)」を搭載している製品が増えてきている。しかし、聞いたことはあるけど、使ったことはないという人がほとんどではないだろうか。Bluetoothは、携帯電話、パソコン、マウス、キーボードなどのほか、モバイルプリンタやカーナビなどにも対応製品が登場している。今回は、各種Bluetooth搭載製品のうち、携帯電話にスポットを当て、身近な携帯電話をワイヤレス化すると、どんなことができるのか、紹介しよう。

各キャリア5-6割の機種に搭載



 Bluetoothとは、世界共通の近距離通信技術で、対応機器同士を認識させる「ペアリング」という操作をすることで、ワイヤレス通信ができるようになる。各携帯電話キャリアの6月のカタログによると、Bluetoothを搭載している機種は、NTTドコモが20機種、KDDIが17機種、ソフトバンクモバイルがiPhone含め13機種。3キャリアとも近日中発売の機種を含め、5-6割の機種に搭載している。

左から、NTTドコモ「F-09A」、au「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」、ソフトバンクモバイル「933SH」

 では、Bluetoothを搭載した携帯電話でどんなことができるのだろうか。まず代表的なのは、ハンズフリー通話。Bluetoothを搭載したヘッドセットと組み合わせれば、車の運転中やパソコンの作業中、家事の最中など、手が塞がっていても通話ができる。

 ヘッドセットとは、イヤホンとマイクが一体になっていて、双方向の通話ができるもの。Bluetooth対応に関わらず、パソコンに接続すると「スカイプ」などのインターネットでの通話もできる。ちなみに混乱しやすい「ヘッドホン」との違いは、マイクが付いていて「双方向通信ができるかどうか」(ヘッドセットメーカーの日本プラントロニクス村田浩志社長)で区別する。

モノラルタイプのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ「HBH-PV708」

 Bluetooth対応のヘッドセットを持っていれば、通話だけでなく音楽を聴くときにも便利だ。ステレオタイプのヘッドセットを使えば、かばんのなかに携帯電話を入れたまま音楽を聴いたり、ワンセグの音声もワイヤレスで聴けるので、ケーブルの煩わしさを解消できる。

ステレオタイプのソニー「DR-BT100CXP」

 ただし、携帯電話、ステレオヘッドセットともに、Bluetoothに「A2DP」というオーディオデータ伝送技術を搭載していないと、ステレオで音楽を聴くことはできない。また、音量調節や再生などを制御する「AVRCP」という技術を搭載していないと、音楽やワンセグなどの音声を受信中にリモコンを使うことはできない。例えば「iPhone」は、「iPhone」用の新OSが公開されるまで、ステレオ対応のBluetoothヘッドセットを接続しても、ステレオで音楽を聴くことはできない。このように例外もあるので、注意が必要だ。 
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Bluetooth搭載のヘッドセット市場は1.7-2倍前後に成長



 ヘッドセットというと、企業のコールセンターで使われいるというイメージが強く、個人で利用している人を見かけることは少なかった。しかし、2004年の道路交通法改正で、運転中の携帯電話の通話に罰則ができたことをきっかけに、一般の人々にも注目されるようになってきた。「BCNランキング」でBluetooth搭載のヘッドセット市場をみると、販売台数は前年同月に比べ1.7-2倍前後で推移している。また、ソフトバンクモバイルの携帯ショップで周辺機器「ソフトバンクセレクション」を販売するソフトバンクBBでは、ヘッドセット全体で「08年度は、販売台数の前年比が250%」(橋本雅斗・ソフトバンクセレクションMD部ソフトバンクセレクション企画課課長)だという。ユーザーは、着実に増えてきているのだ。

Bluetooth搭載ヘッドセット機種別ランキング 2009年5月
順位 メーカー名 品名 型番 モノラル/ステレオ
1 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ ヘッドセット HBH-PV708 モノラル
2 プラネックス Bluetoothミニヘッドセット BT-05HS モノラル
3 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ ヘッドセット HBH-PV703 モノラル
4 バッファローコクヨサプライ Bluetooth 2.0 対応ヘッドセット USBレシーバー付 BSHSBE01DBK モノラル
5 バッファローコクヨサプライ Bluetooth2.1対応 超コンパクトヘッドセット ブラック BSHSBE04BK モノラル
6 ソニー ワイヤレスステレオヘッドセット ブラック DR-BT100CX(B) ステレオ
7 バッファローコクヨサプライ Bluetooth 2.0 対応ヘッドセット ACアダプタ付 BSHSBE01ABK モノラル
8 ロジテック Bluetooth 2.0対応 ハンズフリーヘッドセット LBT-HS110C2 モノラル
9 ソニー ワイヤレスステレオヘッドセット ブラック DR-BT100CXP(B) ステレオ
10 プラネックス Bluetoothミニヘッドセット BT-MiniHS モノラル

「BCNランキング」 09年5月月次 <最大パネル>


 では、Bluetooth搭載ヘッドセットは、どんな製品が売れ筋なのか。09年4月の「BCNランキング」でチェックしてみよう。1位は、片耳にかけるモノラルタイプのハンズフリー通話用のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ「HBH-PV708」。2位はプラネックスコミュニケーションズ「BT-05HS」、3位はソニー・エリクソンで、1位の同社の製品よりも連続待ち受け時間が短い350時間の「HBH-PV703」。上位3機種はすべて片耳にかけるハンズフリー通話用モデルだ。通話のほかに音楽も聴けるステレオイヤホンタイプの製品は、6位にソニー「DR-BT100CX(B)」がランクインしている。

 メーカー別の販売台数シェアもみておこう。1位はソニーで21.6%、2位はバッファローコクヨサプライで14.1%、3位はソニー・エリクソンで13.9%、次にロジテック10.5%、プラネックス6.9%と続く。


 気になる価格だが、上位5位までの通話用のモノラルタイプは税抜き3-5000円前後。Bluetooth搭載ヘッドセット全体の税抜き平均単価は6000円弱なので、人気製品は3000円前後の低価格モデルに集中している。「ソフトバンクセレクション」でも、GNネットコムジャパン製の片耳タイプで3000円程度の低価格モデルが人気だという。「ソフトバンクセレクション」は、携帯電話の購入を目的とした人々が来店する携帯専門店で販売しているため、周辺機器の提案をしやすい。こうした特性を生かし、今後はNTTドコモ、au製品も置いている携帯ショップにも販路を広げていく狙いだ。

モバイルプリンタ、カーナビ、体重計にもBluetoothを搭載



 最後にヘッドセット以外で、携帯電話のBluetoothを活用できるアイテムを紹介しよう。例えば、超小型プリンタ、ステレオスピーカー、カーナビ、そして体重などを計る体組成計も登場している。
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 Bluetoothを搭載した超小型プリンタには、日本ポラロイド「PoGo」や、デル「DELL Wasabi PZ310モバイルプリンタ」がある。Bluetooth対応の携帯電話で撮影した写真を送信すれば、インク不要の専用紙にプリントできる。手のひらサイズなので、持ち歩きに便利だ。

Bluetooth搭載の超小型プリンタ。左から、日本ポラロイド「PoGo」、デル「DELL Wasabi PZ310モバイルプリンタ」

 ロジクール「PF-700」やモトローラ「EQ5」は、持ち歩きができるステレオスピーカーを展開。ともに、ハンズフリー通話にも対応している。

ハンズフリー通話にも対応するステレオスピーカー。ロジクール「PF-700」(左下)、モトローラ「EQ5」

 6月1日に発売したパナソニックのHDD搭載カーナビ「ストラーダ」シリーズは、上位モデル「CN-HX900D」とミドルクラス「同-HW880D」にBluetoothを搭載。携帯電話の音楽を転送して車内で聞いたり、ハンズフリー通話もできる。また、パソコン経由で「Googleマップ」の位置情報データを送信することも可能だ。

パナソニックのBluetooth搭載のカーナビ。上から「CN-HX900D」「CN-HW880D」

 体組成計にBluetoothを搭載したのは、タニタの「BC-504」。体重、体脂肪率、筋肉量、推定骨量など9項目のデータをauの携帯電話に取り込んで、グラフなどで視覚的に管理できる。発売は7月1日予定。auの夏モデル「Sportio water beat」と「SOLAR PHONE SH002」が、同製品に対応している。

タニタの体組成計「BC-504」は、au「Sportio water beat」「SOLAR PHONE SH002」(右下)と連携して身体データを管理できる

 そのほか、別売りのBluetoothアダプタを挿すことで、携帯電話の写真を転送できるソニーのデジタルフォトフレーム「DPF-X800」など、対応製品は多岐に渡っている。Bluetoothを使えば、いろいろな機器と連携してより便利に携帯電話を使いこなせる。ワンランク上のケータイ活用術を試してみよう。(BCN・田沢理恵)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。