インターネットでアクセスできる膨大なウェブサイトの中には、ポルノや暴力、詐欺など有害な情報も多い。出会い系サイトなどで知り合った人間から、犯罪被害に遭う事件も起きている。そこで、子どもが有害な情報に触れないように、ウェブサイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」について紹介しよう。

●子どものネット利用に関する保護者の意識

 そもそも保護者は子どものネット利用に関してどのような意識を持っているのだろうか。ネットスターの調査によると、保護者の目が届かない場所でネットを利用している子どもは8割近い。親の居ない間に、子どもがネット上で好ましくない情報に触れている可能性もあるのだ。


 そのため保護者としても子どものネット利用には神経を使っている。事件や事故を未然に防止するため、子どものネット利用状況を把握したいと考えている保護者は8割近くにのぼる。そんな保護者たちの心配を解決するための対策のひとつとして、今回は「フィルタリング」を取り上げる。

●フィルタリングとは

 フィルタリングとはウェブサイト上の有害情報を遮断し、アクセスできないようにすること。その方法は大きく3種類に分けられる。

1.リスト方式
 ウェブサイトのURLでフィルタリングするタイプ。保護者が許可したウェブサイトのみを表示する「ホワイトリスト」、逆に有害なウェブページを表示しない「ブラックリスト」の2種類がある。しかし、いずれもサイトのURLを逐一管理する必要があるため、個人の家で行うには負担が大きい。

2.全文検索方式
 掲載されている単語から内容を判別し、表示の可否を決めるタイプ。「自殺」「盗撮」などの単語が書いてあるウェブサイトを閲覧できなくする。ただし、具体的な単語を使わず、画像メインのウェブサイトなどでは効果が薄い。

3.レーティング方式
 ウェブサイトごとに付けられている格付け(レーティング)に従って、表示の可否を設定するタイプ。ただし、有害なサイトが自己申告して登録することはまずないので、効果は薄いだろう。セキュリティ企業などは、多数のスタッフを使い、独自のフィルタリングサービスを提供している。

●自宅でできるパソコンフィルタリング

 パソコンでウェブサイトをフィルタリングするには、ソフトとハード、ネットサービスの3種類が利用できる。

 統合セキュリティソフトがフィルタリング機能を搭載していることもあるが、やはり専用ソフトのほうが高機能だ。例えば、デジタルアーツの「i-フィルター 5.0」は、全67カテゴリーの情報に対し、年齢ごとにレベルを設定してフィルタリングできる。検索サービスの結果一覧から好ましくないウェブサイトを削除したり、ショッピングサイトや掲示板サイトの表示は許可するが、閲覧や書き込みは拒否するといった柔軟な機能を搭載する。日本PTA全国協議会も推奨しており、1万3000以上の学校で利用されている実績もあるソフトだ。


 ハードでは、USBを指すことでPCを子ども向けにカスタマイズする「ぱそこんキッズキー」などがある。バッファローとバンダイのコラボレーション製品で、PCに装着すると有害サイトへのアクセスブロックや、子どものPC利用時間制限などの機能が使える。


 プロバイダが提供するフィルタリングサービスも増えている。「ASAHIネット i-フィルター」(ASAHIネット)のようにソフトをインストールするタイプや、「au one net」(KDDI)のようにInternet Explorerでプロキシサーバーの設定を行うタイプがある。コストは無料-210円/月とサービスによって異なる。
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●携帯電話もフィルタリングする時代?

 若年層はケータイでインターネットを利用することが多い。その場合、保護者の目が届きにくく、そのまま出会い系サイトに誘導されてしまう可能性が高い。そこで、各キャリアは、フィルタリング機能を搭載する子ども向けの端末を発売している。かわいいデザインで、お財布機能やネット機能を限定しているほか、GPSを利用して現在位置や移動経路を保護者が確認できる機能も搭載している。


 また、子ども向け端末を使う年齢ではないが未成年、という利用者への対策も講じられている。総務省は各携帯キャリアに、未成年向けフィルタリングの原則導入を要請。今年2月にはソフトバンク、NTTドコモ、au、ウィルコムの全キャリアがフィルタリングサービスを原則契約することになった。

 18歳未満の新規契約ユーザーには、フィルタリングサービスへの加入を推奨し、携帯電話からの、出会い系やギャンブル、アダルト系サイトへのアクセスを防止する。サービスを解除するには、保護者の同意が必要となる。すでに契約中のユーザーにも、順次通知を行い、保護者から「不要」との申告がない場合は、フィルタリングを実施する。

●課題も残るが子どもの保護にはぜひ導入したい

 現在のフィルタリング機能・サービスは万能ではない。新しいウェブサイトや想定できない書き込みなどで、有害な情報が表示されてしまう可能性がある。アクセス数の少ない学校裏サイトなども遮断することが難しい。また、健全なウェブサイトをシャットアウトしてしまう弊害もある。一部の出会い系サイトを排除するために、若者に人気のゲーム・コミュニティサイト「モバゲータウン」をはじめ、SNS系機能を持つサイトにもアクセスできなくなってしまうのだ。

 総務省の調査結果によると、フィルタリングソフトの認知度は66.1%で、保護者のうち90%以上が子どものために必要と回答している。しかし、18歳未満の子どもがいる保護者のうち、フィルタリングサービスを「利用している」と答えたのは11.7%と浸透していない状況だ。しかし、現状ではフィルタリング以外に子どもを有害情報から守る手段はない。子どもにとって満足のいく使い勝手ではないかもしれないが、万一のことを考えるならフィルタリングソフト・サービスの導入をオススメする。(アバンギャルド・柳谷智宣)