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ワイヤレスイヤホンでアップルとソニーが激しいシェア争い、値上げの影響も

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2022/08/07 18:30

 ワイヤレスイヤホンのシェア争いが激しい。2月から6月までトップシェアを守ってきたソニーが、この7月、アップルに首位の座を奪われた。アップルは7月1日にアップルストアで主要製品の値上げを実施。対象はiPhoneをはじめ21製品に及び、ワイヤレスイヤホンのAirPods Proなども値上げした。しかし多くの一般販売店は7月に入っても旧価格で販売を継続。値上げ前の駆け込み購入が7月に集中し、アップルのシェアを押し上げた格好だ。


 現在、ワイヤレスイヤホンは左右のユニット間を無線で接続する完全ワイヤレス型と、左右のユニット間を有線で接続する通常ワイヤレス型の2種類がある。販売数構成比は完全ワイヤレス型が63.4%と過半を占め、今人気のカテゴリーだ。現在首位を争うアップルソニーでは、これらのラインアップ構成が大きく異なる。

 7月現在、アップルは完全ワイヤレス型のAirPodsシリーズが販売台数の99.7%を占め、残りはヘッドバンド型のAirPods Max。一方のソニーは、売れ筋のWF-1000XM4など完全ワイヤレス型の構成比は56.1%。残りは通常ワイヤレス型で、ヘッドバンド型のWH-CH510や、左右のユニットが有線でつながっているWI-C310などをそろえる。完全ワイヤレス型に限れば、7月のアップルのシェアは32.8%とダントツ。一方通常ワイヤレス型では、ソニーが23.1%とこちらもトップだ。完全ワイヤレス型で集中的に売り上げるアップルに対し、幅広いラインアップで売り上げを積み上げるソニー、という構図になっている。
 

 ワイヤレスイヤホン市場全体の販売台数で前年同月比を見ると、この1年、伸びても1桁台という状況が続いてきた。完全ワイヤレス型はおおむね好調に推移しているものの、通常ワイヤレス型が足を引っ張る形で相殺してきたからだ。しかしこの7月、販売数前年比116.5%と2桁台に乗せた。要因は、通常ワイヤレス型の活性化だ。ソニーのWI-C100、Beats ElectronicsのBeats Studio3 Wireless オーバーイヤーヘッドフォン、ロジクールのG533など新製品で売り上げが拡大した。マイナスが続きだった通常ワイヤレス型が、7月は111.5%をと2桁増を記録。2020年10月以来21カ月ぶりに前年同月を上回り、ワイヤレス市場全体の底上げに貢献した。

 アップルは今回の価格改定で、AirPods Proのアップルストア価格を3万580円からから3万8800円に8220円値上げした。率にして実に26.9%。対象21製品中、値上げ率が最も高かった。8月に突入し、いよいよ値上げの影響が一般の販売店にも波及する。アップルの値上げは8月以降、ワイヤレスイヤホンのメーカーシェアや市場の伸びにも影響を及ぼすことになりそうだ。(BCN・道越一郎)