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キャッシュレス決済で消耗する小売店、タイムラグや手数料に課題

経営戦略

2021/02/13 12:30

【家電コンサルのお得な話・35】 今回は「お得な話」という連載の趣旨とは少し外れるが、「お得なサービスを提供してくれている店舗を守る」ため、ぜひ、協力していただきたいことに触れたい。キャッシュレス決済ではなく、あえて現金払いを使うことのメリットを指摘したい。


 東京都や大阪府など10の都府県は3月7日まで緊急事態宣言が延長されたが、昨年から続くコロナ禍により、中小企業・個人事業主などの小規模事業者は、すでに消耗しきっている。

 特に個人経営の飲食店は午後8時までの営業時間短縮に加え、昨年4月の一回目の緊急事態宣言から宴会需要がほとんど取り込めていないため、瀕死の状態に陥っているのが現状である。

 結論から述べさせていただくが、小規模事業の飲食店、小売り店を利用する際は「現金で決済していただきたい」ということである。

 個人経営の飲食店を例に挙げると、2019年10月1日からの消費税率アップを受け、経済産業省が同年10月から9か月間、キャッシュレス・ポイント還元事業を実施した。このときにキャッシュレス決済を導入した店舗が多く、筆者が回っている複数の店舗でヒアリングを行うと約50%がキャッシュレス決済を採用している。

 さらに、「キャッシュレス決済取り扱いの認知度が高まったのはいいが、入金までのタイムラグや手数料の負担が重い。認知度が高まっているのに取り扱いを止めるわけにも行かず、正直困惑している」とその店の店主は嘆かれていた。

 使用する方からすれば、感染対策や現金を持ち運ばないなど便利なキャッシュレス決済だが、事業者からすると「すぐにお金が入らず、入っても手数料を引かれれば粗利が低下する」という、現金が回りにくい厳しいシステムである。

 スマートフォン(スマホ)決済事業者の一部には、決済システム手数料や入金手数料を無料にしているところもあるが、21年7月や9月までの時限的な措置で、その後の対応は決まっていなかったりする。

 そもそも、消費税率UPで「客数の維持につながるなら」と無理して、手持ち現金の減少と粗利低下を受け入れたにもかかわらず、間を置くことなくコロナ禍による自粛で来店客数が大幅減になったのだからたまったものではない。

 クレジットカードはもとより、スマホ決済でも指定日以外の入金では手数料が掛かるサービス提供会社もあるため、「今は現金支払い」が中小店の支援になるのである。

 新聞やテレビでも、こういった報道は目にしなかったため、今回はあえて指摘した。地元の小規模な飲食店・小売り店を利用の際は、ぜひ、現金支払いで支援していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。