コロナ禍で激減した再配達、置き配普及も後押し

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2021/02/07 18:30

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続いている。政府は、10府県に発出していた緊急事態宣言を3月7日までと1カ月延長。テレワークで出勤の7割減を求めたり、日中でも不要不急の外出自粛を要請したりと、昨年春に次いで国民に強い対応を求めている。外出自粛に伴って急速に進展したのは働き方改革だ。もともと20年のオリンピック開催を契機に交通渋滞などを回避するなどの目的から新しいワークスタイルを広げる機運が高まっていた。それが、外出自粛要請により半ば強制的に改革せざるを得なくなり、テレワークやオンライン会議の急激な普及をもたらした。外出自粛陽性に伴う副産物ともいえる。もう一つ副産物があった。再配達の減少だ。

昨年4月、再配達率は前年比で激減した

 国交省が実施した調査によると、2020年の4月には宅配便の再配達比率が前年同月比で半減に迫る勢いで減少していることが分かった。昨年は、ちょうど緊急事態宣言が発出された最中。在宅率も近年にも増して高かったことが推察できる。19年4月は16.0%だった再配達率が、20年に8.5%と1桁まで劇的に下がった。

 配達総数は、280万5000件と前年比で2割近く増加していたにもかかわらず、再配達数が23万7000件と47%も減少した。昨年10月の調査では、再配達率は11.4%と再び2桁に増えてしまったが、前年同月の15.0%からは4ポイント減少した。配達総数は、引き続き2割弱増加している一方、再配達数は1割減少した。1月からの緊急事態宣言再発出で、再配達率は再び減少傾向に向かうことが期待できそうだ。
 
「置き配」には肯定的意見が大半

 ネット通販で日時指定ができない場合など、前もって不在と分かっているのに、配達に来てもらうのはとても心苦しい。不在票を見てなんとかならないものかと常々思っていた。ヤマト運輸や佐川急便などでは、会員登録をしたり専用アプリを使ったりすることで、配達前に荷物の配達日時を指定できるサービスも行うようになってきた。

 最近は「置き配」も注目されている。玄関先などに置くことで配達完了とするものだ。ときには、まったく違う場所に置かれていたなどのトラブルが報告されたり盗難を心配したりする声もある。しかし、MMD研究所の調査によると「今後さらに置き配が普及してほしいと思うか」という設問に対し、85.4%が「そう思う」と回答しており、肯定的に受け止められている。

 宅配便の再配達は、送る側も受け取る側も配送業者も、誰にとっても何一つメリットがない。テレワークの普及による在宅率の向上を背景に、配達方法の工夫や宅配ボックスの普及などを組み合わせれば、再配達を減少させることができそうだ。(BCN・道越一郎)