「つながる車」市場は2035年で9420万台に拡大、富士経済

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2020/06/10 19:30

 富士経済は、ハード・ソフトの両面で発展が予想されるコネクテッドカー(つながる車)の世界市場を調査し、その結果を「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」としてまとめ、6月9日に発表した。

コネクティッドカーの新車販売台数と販売台数予測
(富士経済調べ)

 今回の調査では、コネクテッドカーのエリア別市場に加えて、コネクテッドカー関連サービス9品目、コネクテッドカー関連機器・システム9品目、コネクテッドカー関連デバイス5品目、V2X関連機器・インフラ4品目、ADAS・自動運転関連機器・技術7品目、EV電源ソリューション2品目の現状を調査し、将来を予想した。加えて、主要自動車メーカーのコネクテッドカー戦略について整理した。

 主な調査結果として、コネクテッドカーの新車販売台数(乗用車、商用車)は、19年は18年比17.7%増の3120万台となった。近年、中国をはじめ世界的に自動車市場の低迷が続いており、また今年は新型コロナウイルスに起因する自動車生産設備の稼働停止や一部サプライチェーンの寸断など市場へのマイナス要因もみられる。

 しかし、自動車メーカーをはじめとしてCASE関連への投資は活発であるため、市場は今後大幅に拡大し、35年には19年比3.0倍の9420万台が予測される。

 特に、乗用車が市場拡大をけん引している。自動車メーカー各社の積極的な取り組みによって、乗用車の新車販売台数に占めるコネクテッドカーの比率は今後も高まり、19年の34%から35年に80%に上昇するとみられる。商用車についても、35年に75%に上昇すると予想される。

 地域別では現状、北米や欧州がけん引しており、今後も通信形態として車載セルラーを採用した車両を中心とした伸びが予想される。長期的に市場拡大をけん引するとみられる中国は、車載セルラーとモバイル連携採用車両の順調な伸びによって、35年に19年比4.8倍の2690万台が予測される。中国では、国レベルで車載セルラーによるコネクテッドカーを推進しているため、車載DSRC採用車両の普及は難しいとみられる。

 日本は、現時点で乗用車の新車販売台数のコネクテッドカー比率が75%を超えており、また新車販売台数そのものが縮小するため、大幅な伸びが期待できない。現状はモバイル連携の採用が先行しているが、将来的には車載セルラーの採用が伸びるとみられる。

 また、車載DSRCの採用は少ないものの堅調な需要が予想される。その他では、東南アジア、ブラジル、インドなどの伸びが期待される。新興国を中心に、低コストで利用できるモバイル連携採用車両が市場をけん引するとみられる。