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19年のロボット掃除機市場規模は1430万台、富士経済が家電製品世界市場調査

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2020/05/21 20:00

 富士経済は、家電普及率の低い新興国での需要増加が期待される家電製品の世界市場を調査し、その結果を「グローバル家電市場総調査 2020」にまとめた。今回の調査では、衣住関連8品目、調理関連12品目、空調/給湯関連9品目、美容/健康関連10品目の国・地域別生産・販売動向の現状を分析し将来を予想した。

ロボット掃除機の2019年市場規模と、2024年予測(富士経済調べ)

 19年におけるロボット掃除機の市場は、1430万台(前年比16.3%増)となった。中国需要が好調で、薄型や小型タイプを中心に伸びている。日本は、iRobotによる新製品展開や継続的な広告宣伝によって徐々に普及率が高まっている。中国を除く新興国の普及率は当面低いが、今後徐々に需要が増加していくと予想される。

 19年における浄水器の市場は、1億450万台(前年比4.6%増)となった。浄水器は先進国、新興国ともに需要が高まっており好調に推移している。日本では、低価格な製品よりも浄水能力の高い高付加価値製品の需要が増加。

 中国では、飲み水を浄水する意識が年々高まっている。低価格な製品を展開するメーカーも増加しているが、浄水は健康に関わる要素が強いため高付加価値製品が伸びている。インドの需要は、都市部で増加している。農村部では、浄水する意識が低いが、今後向上すると需要増加につながる。

 19年における美顔器の市場は、4500万台(前年比8.8%増)となった。市場の拡大をけん引する中国では、高付加価値製品の需要が増加している。日本では、ニーズの多様化が進んでいる。ニーズは高付加価値製品が高いものの、低価格なエントリーモデルも上昇している。今後は、普及率の低い東南アジアやオセアニアでの需要増加が期待される。

 19年におけるトースターの市場は、7500万台(前年比3.0%増)となった。日本や中国の需要が好調に推移している。日本では、消費増税前の駆け込み需要や買い替え需要の増加によって伸びた。中国では近年、パンを朝食に取り入れる家庭が増えており、需要が増加している。東南アジアなどの新興国でも徐々にパン食文化が浸透していることから、今後市場は拡大していくとみられる。

 19年におけるジューサー/ミキサーの市場は、5322万台(前年比0.4%増)となった。中国では、野菜や果物ジュースを飲む健康ブームが落ち着いたが、朝食の際に豆乳を飲む習慣があり、豆乳を作る機能を搭載した製品の需要が増加している。日本は、消費増税の駆け込み需要で微増となった。今後は、買い替え需要を中心に横ばいで推移していくとみられる。欧米は、需要が安定しており、横ばいで市場が推移することが予想される。

 19年におけるフードプロセッサー/フードチョッパーの市場は、2224万台(前年比0.7%増)となった。市場の多くを占める欧州では、大半の家庭が所有しており、買い替えが中心となるため需要が横ばいとなっている。中国では、低価格製品の需要が高まっている。一方、先進国ではスーパーマーケットで多くの加工フードが容易に入手でき、家庭での使用が減少していることから、今後、市場がほぼ横ばいで推移していくと予想される。

 主要家電4品目の世界市場については、洗濯機/洗濯乾燥機の市場が19年に1億1569万台(前年比3.0%増)となった。市場の5割以上を占める中国では、貿易摩擦の影響や国内景気低迷などのマイナス要因があるものの、高級機種への買い替え需要が好調だった。今後も堅調な買い替え需要が期待される。日本では、消費増税前の駆け込み需要がみられたことや、共働き世帯の増加で家事の時間を短縮する洗濯乾燥機(とくにドラム式)が好調だった。

 冷蔵庫の市場は、19年に1億2992万台(前年比1.5%増)となった。市場の3割を占める中国や、近年好調だった東南アジアが伸び悩んだことが影響し、市場は微増となった。今後は、中国の景気低迷や不動産規制による新築住宅数の伸びが落ち着いていることなどから大幅な拡大が期待できず、微増で推移していくとみられる。

 電子レンジ/電気オーブンレンジの市場は、19年に1億403万台(前年比0.1%減)となった。中国では、これまで旺盛だったECによる消費が落ち着き、需要が微減している。日本では、世帯人員の減少や高齢化世帯の増加でシンプルな単機能レンジが比較的好調だが、減少している。

 ルームエアコンの市場は、19年に1億6241万台(前年比4.5%減)となった。これまで拡大をけん引してきた中国では、継続される不動産規制や景気低迷などの影響を受け需要が減少している。欧州では、猛暑で需要増加が期待されたが、短期間だったため伸びにはつながらなかった。インドや東南アジアなどの新興国では需要が好調だが、大幅な増加にはつながらないとみられ、今後市場は微増で推移していくと予想される。

 カテゴリー別家電の世界市場については、衣料関連カテゴリーのロボット掃除機や温水洗浄便座は、普及率の低い国や地域に対してリーディングカンパニーが積極的なプロモーションを展開していることから、大幅な伸びが期待される。アイロンは、東南アジアやインドで所得が増加し、生活水準が向上していることを受け、需要の増加が期待される。

 調理関連カテゴリーは、先進国を中心に普及率の高い品目が多く、市場が横ばいで推移していくとみられる。炊飯器は、中国が需要の増加をけん引している。中国では、安価でありながら新機能を搭載した製品のモデルチェンジが頻繁に行われており、買い替え意欲を喚起していることから、今後も伸びるとみられる。

 空調/給湯関連カテゴリーは、市場が微増で推移するとみられる。扇風機は、普及率の高い日本や中国のほか、先進国でルームエアコンに代替されており、需要が減少している。除湿器も、扇風機と同様にルームエアコンに代替されているが、洗濯物を部屋干しする家庭の増加や多湿な地域での需要増加が期待される。

 美容/健康関連カテゴリーは、美容や健康意識の高まりが新興国でもみられることから各品目が伸びている。ヘアドライヤーは、老若男女問わず使用され、新興国でも需要が増加している。