5Gスマホ投入も宣言! OPPOが2020年の戦略を発表

 スマートフォン市場で急速に存在感を増しているOPPO。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2019年11月のSIMスマートフォン市場の販売台数シェアはファーウェイに次ぐ2位。今秋に発売した「OPPO Reno A」や「OPPO A5 2020」を起爆剤に人気が急上昇している。12月19日に都内で開催した記者会見では、そんな好調の19年を振り返りつつ、20年に掲げる六つの戦略が発表された。

OPPOが2019年の成果と2020年以降の取り組みを発表(写真はオッポジャパンの鄧宇辰社長)

六つの約束をコンプリート 目覚ましい成長を遂げた2019年

 「われわれは日本のお客さまにコミットした六つの約束を果たした」――六つの約束とはオッポジャパンの鄧宇辰社長が3月に発表した戦略を指す。「2019年に10倍ハイブリッドズームスマホの投入」「より日本に適した方法でのお客さまとのコミュニケーション」「2019年内のFelica・防水対応スマホの投入」「最新のRenoシリーズをリリース」「引き続きアフターサービスを強化」「販路拡大とお客さまに商品に触れてもらう機会を増やす」。
 
今年3月に掲げた六つの約束。12月時点でその全てを達成した

 製品に関する三つを達成したのは周知の通りだ。10倍ハイブリッドズームスマホ、Felica・防水対応スマホ、最新のRenoシリーズを下半期に相次いでリリース。市場ニーズを捉えたラインアップ展開で好評を博した。
 
10月に発売したFelica・防水対応の「OPPO Reno A」は現時点で日本市場最大のヒットモデルに

 日本に適した方法でのコミュニケーションは、代表的なものとして、タレントの指原莉乃さんを起用したTVCMがあげられる。以前、鄧社長はインタビューで日本におけるテレビの影響力について言及していた。市場に最適なマーケティング手法はOPPOがこれまで成功してきたアジア諸国でも用いた十八番。日本でもそのノウハウを遺憾なく発揮している。
 
「OPPO Reno A」投入と合わせて、TVCMも展開

 外からは少し分かりにくいが、販路拡大やアフターサービスの強化にも積極的に取り組んだ。主要MVNOや家電量販店、ECショップが取り扱うようになり、「1年で販路は4倍に広がった」という。アフターサービスに関しては、12月に集荷修理サービスを開始。ユーザーの細やかなニーズにもスピード感をもって応えている。

2020年は“5G元年” スマホ周辺の戦略も加速か

 では、20年の戦略はどうなるか。新たに掲げた六つの約束は以下の通りだ。「OPPOの技術の粋を集めた、ハイエンドモデルの発売」「5Gスマホの発売」「防水・Felica搭載の新機種の発売」「オッポブランドの強化」「さらなる販路拡大」「アフターサービスの継続強化」。
 
2020年以降を見据えて新たに掲げた六つの約束

 注目したいのはやはり「5Gスマホ」に関する項目だ。OPPOはすでに5Gが実用化されている海外市場で対応モデルを多く展開している。日本で展開するとなれば、先行者として一日の長となるだろう。各社から発売されるであろうことは明らかだが、正式に現地法人のトップの口から宣言が出たのは初めてではないだろうか。

 これに関連して「販路拡大」も気になるところだ。焦点となるのは、大手キャリアがOPPOスマホを採用するのか否か。すでに取引がある楽天モバイルには、来年のキャリア化のタイミングで製品を提供する可能性は高いが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社とはどのような交渉が行われているのか明らかになっていない。

 今回の発表会でも明確な回答は得られなかったが、「5Gスマホは1機種の展開とは限らない」との発言もあり、対応端末を確保したいキャリア側の意向を組み、複数社と前向きな交渉を進めているのではないかと推測される。

 期待が膨らむのはスマホだけではない。OPPOは「スマホ=スーパーデバイス」と定義。「クラウドとエッジコンピューティングでスマホは代理脳としての役割を果たしていくことになるだろう」との考えを示した。その未来を実現する上で欠かせないとしたのが、スマートウォッチとスマートイヤホンだ。スマートウォッチはスマホの拡張インターフェースとして、スマートイヤホンは音声対話のポータルとして、新しいソリューションを支えていくとした。
 
スマホと周辺機器を組み合わせたシナジーで新たなソリューションを提案していく

 世界、日本市場ともにライバルであるファーウェイも「1(スマホ)+8(自社のスマート製品)+N(多数のIoTデバイス)」戦略を発表しているが、OPPOの戦略もそれに類するものだ。20年以降のハイテク企業同士の戦いは、スマホだけで完結するものではなく、それを取り巻くエコシステムも含めたものになっていくのは間違いないだろう。(BCN・大蔵大輔)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。