
参入からわずか1年半でビック3に対抗
10月は、増税前の駆け込みの影響で市場全体が低迷した。販売台数前年比は73.9%。市場をけん引するファーウェイ、シャープ、ASUSも軒並み落ち込んだが、OPPOは193.1%と2倍近くも販売を伸ばした。シェアでも、参入以来の最高値となる17.3%をマーク。シャープを抜き、3番手のポジションにつけた。OPPOの参入からここまでの経緯を振り返ると、転機は2度あった。まずは、18年秋口。8月末にAI機能を備えるデュアルカメラや画面占有率88.8%のフルビューディスプレイを備えるコスパモデルの「R15 Neo」、9月に当時のSIMフリースマホ市場で少数派だったおサイフケータイや防水仕様にいち早く対応した「R15 Pro」を発売し、一気に市場の注目を集めた。

「R15 Neo」「R15 Pro」
ここからOPPOは間を置かずに新製品を相次いで発表。国内初のディスプレイ内指紋認証を搭載した「R17 Neo」、10分で40%の超急速充電が可能な「R17 Pro」など、インパクトのあるモデルを展開し、一気に市場のニーズを満たすラインアップを揃えた。18年12月には1年近く経過した現在も人気の「AX7」をリリースし、2度目のブレイク。市場の足場を固めた。
ブレイクのきっかけとなった端末に共通するのは、市場のニーズを少し先取りしているということだ。世界市場のシェアで第4位を誇るOPPOは、徹底的にローカルをリサーチしたマーケティングで海外進出を成功させており、日本でもそのノウハウが生かされた。

「AX7」
ついコスパに目が行きがちだが、今年7月に発表されたハイブリッド10倍ズームの高倍率レンズを搭載した「Reno 10x Zoom」のような最先端テクノロジーを搭載した端末も続々と投入してきている。ハイクオリティの端末とスピード感のあるマーケティングが相互にうまく機能したことで、シェアは右肩上がりの上昇を続けた。
SIMフリースマホの定番モデルを狙える新製品
そして、3度目の転機といえる19年10月のブレイクに寄与したのがOPPO Reno Aだ。3万円台というボリュームゾーンながら、有機ELディスプレイ・おサイフケータイ・防水仕様など、業界基準のミッドレンジを再定義する端末として打ち出した。戦略的には従来通り“市場のちょっと先取り”だが、同端末は海外モデルのローカライズではなく日本専用モデルで、OPPOの本気度がうかがえる。
「OPPO Reno A」
市場の反応もこれまで以上だった。10月のシリーズ別販売台数ランキングでは、10月18日発売ながら2位にランクイン。初登場ながら二桁のシェアを獲得し、絶好のスタートダッシュを切った。10月28日週の週次データでは1位になるなど、人気にブーストがかかってきており、AX7に続く定番モデル化にも期待がかかっている。

OPPOの攻勢はまだ終わらない。11月1日には、矢継ぎ早に新製品「OPPO A5 2020」をリリース。最新フラグシップモデルの4眼(超広角、標準、モノクロ、ポートレート)や、リバースチャージなどの機能を備えながら、2万円台のエントリーモデルという位置づけ。OPPO Reno Aと合わせて、消費者を引きつけそうだ。

「OPPO A5 2020」を11月1日に発売
一般的な認知度も高まってきている。10月には、タレントの指原莉乃さんをイメージキャラクターに迎え、同社初となるTVCMの放映を開始。“知る人ぞ知るハイテクメーカー”から“誰もが知るスマホの会社”へと脱皮しつつある。多方面から市場攻略のアプローチを重ねた1年の成果が目前に控えた年末商戦で試される。(BCN・大蔵大輔)