米制裁で窮地に立たされるZTE、国内ユーザーにも影響か

経営戦略

2018/05/09 17:45

 中国の大手通信機器メーカー・ZTEが窮地に立たされている。米国による制裁措置で、携帯電話基地局やスマートフォンの製造・販売が難しくなっており、ネット上での端末の販売は停止中。事業の先行きに不透明感が増している。


 米商務省は4月、ZTEが製品をイランへ不法輸出していたとして、米国企業とZTEとの取引を向こう7年間にわたって禁じる措置を発表した。米国はイランに対して経済制裁を加えており、通信機器などを禁輸対象としている。ZTEは昨年イランへの輸出を認め、関与社員の処分などの是正措置や罰金の支払いに合意していたが、米商務省は、ZTEは実際には十分な是正措置を取っておらず、米政府に虚偽の報告をしているとして、取引禁止という強い措置に出た。

 通信機器には米国製のチップセットやソフトウェアが不可欠なため、ZTEがそれらを調達できなくなることによって、基地局設備やスマートフォンを主事業とする同社の存続自体が危うくなる。5月9日現在、同社がECサイト「淘宝網」(タオバオ)内に出店するオフィシャルストアでは、サイトリニューアル中の旨が表示され、製品購入ができない状態。その他の中国の大手ECサイトでも取り扱いの中止が相次いでおり、米国からの部材供給が停止したことで製品を供給できなくなっている可能性がある。
 
製品の販売を停止している淘宝網のZTEストア

 ZTEは、クアルコムなどの米国企業にとっても大手顧客であるため、取引禁止措置はZTEにとって大きなダメージとなるだけでなく、米国のハイテク産業への影響も指摘されている。米国で生まれたAndroid OSの使用を今後ZTEが継続できるのかにも注目が集まっている。

 また、今回の米国による制裁措置との関連は不明だが、ソフトバンクが販売するZTE製携帯電話「キッズフォン」、モバイルルータ「601ZT」(ワイモバイル向け)で、ZTE側のサーバー停止によりソフトウェアの更新が行えない状態になっている。
 
4月に発売されたばかりのキッズフォンで、ZTEの更新サーバーが停止

 NTTドコモでは2画面スマートフォン「M Z-01K」などZTE製の端末の販売を継続しているが、在庫分を販売した後の扱いについては未定。