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ソニー決算の過去最高益にみる、エレクトロニクス事業の復活とは

 20年ぶりの過去最高となる営業利益7349億円(前年度比154.5%増)をたたき出して復活をアピールしたソニーの2017年度(17年4月~18年3月)連結決算は、各セグメントをみても、スマートフォンが主力のモバイル・コミュニケーション以外は売上高、営業利益ともに前年を大きく上回った。

テレビの大画面シフトが鮮明

 17年度を最終年度とする中期経営計画の目標値も達成。営業利益は5000億円以上に掲げた目標を、2300億円以上も上回り、ROEは10%以上の目標値を8ポイントも上回る18%を達成した。周知のように、ソニーはゲームや映画、音楽、金融など多角化した事業を展開しているが、ここでは、スマホ以外のエレクトロニクス事業を中心にみてみよう。

 テレビやオーディオ機器がメーンとなるホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)は売上高が1兆2227億円(17.7%増)、営業利益が858億円(46.7%増)だった。有機ELにみられるテレビの高付加価値モデルの投入や大画面モデルに絞った製品ミックスの改善が寄与した。

 全国の主要家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」からも、その動きは顕著だ。18年3月時点の薄型テレビ(液晶と有機ELの合計)の画面サイズ別の販売台数構成比をみると、ソニーの大画面シフトが他社よりも鮮明であることがわかる。
 

 ソニーの場合、40型台が43.8%と突出しており、50型台以上の27.3%を加えると71.1%となる。ソニーの「BRAVIA」の販売台数のうち、7割以上が40型台以上の大画面モデルで占められているというわけだ。

 一般的に、高付加価値の大画面モデルに販売の戦略を絞ると、販売台数が少なくなり金額ベースが下がると考えられがちだ。テレビの市場環境を見渡しても、流通企業のPBによる「格安4K」が登場するなど、依然として厳しさは変わらない。

 だが、ソニーは販売金額シェアでもシャープと拮抗する展開をみせている。18年3月の薄型テレビ(液晶+有機EL)の販売金額シェアは、1位のシャープ(29.4%)に対して、2位はソニー(25.4%)だった。17年7月はソニーが27.2%をマークして、トップシェアを演じる場面もあった。

フルサイズのミラーレスでスタートダッシュ

 デジタルカメラを主力とするイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)は、売上高が6559億円(13.2%増)、営業利益が749億円(58.4%増)だった。前年度の熊本地震からの回復が大きかったものの、製品でもαシリーズのミラーレス一眼カメラや交換レンズ群などの高付加価値製品の充実が、好調の要因に挙げられた。

 裏面照射型のCMOSセンサーを自社で生産していることから、35mm判フルサイズの大型センサをαシリーズ「α7R III」にいち早く搭載できたのが優位に働いたとみられる。オンリーワンの製品力の強さは、「BCNランキング」のミラーレス一眼の販売台数シェア推移からも読み取れる。ソニーは年間を通じて20%以上のシェアをキープし、オリンパスとキヤノンとの三つ巴の戦いに食い込むことに成功した。
 

 17年10月以降はオリンパスとキヤノンに差を開けられたものの、18年2月にはソニーが25.6%で首位に立つ場面もあった。18年3月も、上位3社のシェア争いは拮抗している。

 特筆されるのが平均単価の推移だ。販売台数のシェア争いに埋没すると、単価が下がる危険性をはらむが、ソニーの場合、むしろ平均単価が上がっているのだ。17年10月まで9万円前後で推移していた単価が、11月以降は10万円前後に上がった。18年3月はソニーが10万8000円だったのに対して、オリンパスは8万1000円、キヤノンは7万4000円だった。
 

 平均単価が多少高くても販売台数を稼げるというソニーのテレビとデジタルカメラの数字から浮かび上がるのは、エレクトロニクス事業におけるソニーの製品力やブランドの向上といえるのではないだろうか。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。