ソニーが好発進、有機ELテレビ市場が立ち上がる

 2017年に入り、東芝、ソニー、パナソニックの3社が、揃って有機ELテレビを発表した。生産効率や量産化で難航してきたため、国内市場では先行したLGエレクトロニクスが主導権を握ってきたが、パネルの供給に見通しがついたことが日本メーカーの本格展開を後押しするかたちとなった。6月10日にはソニー、6月16日にはパナソニックがそれぞれ発売し、「4K」に続くトレンドとして注目される「有機ELテレビ」市場がいよいよ立ち上がることになる。そこで、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から、有機ELテレビの最新動向を追った。


 ソニーとパナソニックが有機ELテレビを発表する前週(5月1日週)から、ソニーの発売日が含まれる6月5日週までのメーカーシェアの推移(図1)をみると、2社が発表する以前はLGエレクトロニクスが9割以上を占めていたが、2社が発表してからは、予約数だけでソニーとパナソニックが1~2割のシェアを確保した。そして、6月5日週にはソニーが6割超にシェアを拡大し、発売の初週でトップシェアを獲得した。このことから、ソニーが発売したことの影響度は高いことが伺え、パナソニックが発売日を迎える時点では、市場がより活況を呈していくことになりそうだ。
 

 一方、6月5日週の販売実績をもとに従来の液晶テレビと有機ELテレビの平均単価を55型で比較すると、液晶テレビが15万円台なのに対し、有機ELテレビは36万円台と、2倍以上の価格差となっている(図2)。また、液晶テレビ全体の販売台数と比べると、有機ELテレビの販売台数は100分の1にも満たず、テレビ市場にもたらす影響はまだまだ小さい。

 ただ、市場は立ち上がったばかり。6月末にはLGエレクトロニクス、秋にはソニーが77型の製品を発売する予定で、製品ライアップは増える見通しだ。市場の本格化に向けて、どこが主役の座を射止めるのか。今後の動向に注目したい。(BCN アナリスト 山口渉)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。