Bluetooth効果でスピーカ市場は回復の兆し、戦略異なる2社が存在感

 2016年以降、需要が落ち込んでいたスピーカ市場が、ここにきて、回復の兆しをみせている。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で分かった。スピーカ全体の販売台数伸び率は、16年1月以降前年割れが続いたが、この4月は久しぶりに、わずかとはいえプラスに転じたためだ。その背景には、Bluetooth対応比率が上昇し、高額モデルだけでなく、廉価モデルも売れ行きを高めるなど、多様化が進んでいるためだ。


 スピーカ市場全体における販売台数伸び率は、15年は前年を超える月も多く、それなりに好調を維持していたが、16年1月以降は低調で、15か月連続で前年割れが続いた(図1)。一方、市場全体に占めるBluetooth対応比率をみていくと、14年4月の28.5%から、15~16年では4割台にまで拡大、17年に入ってからも5割に迫る動きとなっている。こうした動きから、Bluetooth対応製品が市場回復の後押しをしたと言える。
 

 市場の半分を占めるまでに拡大したBluetooth対応製品のなかで、存在感を増しているのがハーマンインターナショナル(以下ハーマン)とエレコムだ。Bluetooth対応製品の上位5社の動きを、14年4月の販売台数を「100.0」とした指数でみていくと、ハーマンは16年11月に「874.5」、エレコムは同年12月に「790.8」まで規模を拡大している(図2)。この両社の戦略は対照的だ。ハーマンの平均単価は1万円強で、商品ラインアップのほとんどがBluetooth対応だが、エレコムの平均単価は3000~5000円で、Bluetooth対応は3割程度に過ぎない。Bluetoothに注力するハーマンと、低価格で幅広くカバーするエレコム。それぞれに戦略にあった製品を展開できていることが、市場が活気づく要因と考えられる。

 PCやスマートフォンなどのデバイスで、Bluetooth接続が一般化しつつある今、製品の多様化がすすめば、市場は盛り上がっていく可能性は高い。(BCN アナリスト 山口渉)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。