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新生aiwaに社運かける、アイワ・ジャパン マーケティングの覚悟

インタビュー

2018/01/19 19:00

 2008年に終焉を迎えたオーディオブランド「aiwa」が復活すると報じられたのは、17年6月。ソニーから同ブランドの使用権を譲り受けたオーディオ機器EMS(製造受託サービス)の十和田オーディオが設立した新会社「アイワ」のもと、旗印を新たに始動した。

 パートナーである販売代理店の角田無線電機は、オリジナル製品を企画・開発する子会社・KNチヨダの社名を同年11月にアイワ・ジャパン マーケティングに改名。アイワの復活に二人三脚で挑む覚悟を釆田修広社長(角田無線電機・専務)と執行役員の渡辺英基営業部長に聞いた。

■卸としてアイワを全面支援
社名変更で覚悟を示す

懐かしいだけで終わらせない 新規ユーザー獲得にも意欲

 「社運をかけていると言ってもいい」。釆田社長のaiwaブランド復活にかける思いには並々ならぬものがある。社名変更の狙いは“aiwa製品を販売している”ことを広く周知するためだが、卸の立場でここまで背負うのは異例だろう。
 

釆田修広 代表取締役社長

 旧KNチヨダで販売していた角田無線のPB商品は順次、親会社の角田無線に戻していく。将来的にアイワ製品だけを取り扱っていくという。

 「かつて一家に一台はaiwa製品という時代があった」と渡辺営業部長はアイワの全盛期を振り返る。実際、aiwaの復活は一定の年齢以上の消費者に、広く受け止められた。しかし、そこにジェネレーションギャップがあったのは確かだ。30代ならいざ知らず、20代より下になるとブランド名を聞いたこともないという声も聞こえてきた。
 

渡辺英基 執行役員 営業部長

 「かつてのユーザーはもちろんだが、aiwaを知らない世代も視野に入れている」。aiwaのお家芸であるオーディオ製品のスペックにも、その目配せはみられる。例えば、レコードプレーヤーはワイヤレス対応。古くて良いものではなく、現在の市場に見合った価値を兼ね備えている。税別価格は1万5000円前後と手頃で、従来のファンだけでなくレコード入門者の新規ユーザーにとっても手に取りやすい。

aiwaの新製品(左から、CDラジオデジタルレコーダー「CR-BUE30」
USBダイレクトレコーディングターンテーブル「APX-BUE100」、ネットストリーミングスピーカー「XR-WS100」)

1月18日に4Kテレビを発売 発表後に製品を一から見直し

 新生aiwaの看板製品が4Kテレビだ。もともとは17年9月の発売を予定していたが、ドン・キホーテやノジマなど流通企業を中心に勃発した「格安4Kテレビ」による価格競争を考慮し、再度、製品を一から見直したという。
 

4K対応液晶テレビ「TV-55UF10」

 aiwaの強みである“音”にこだわり抜き、大型のフロントスピーカーを追加搭載。テレビとしてのクオリティを向上させつつ、価格は最初の発表時より抑え、55V型で税別13万8000円前後から9万9800円に大幅に調整。市場で真に戦えるモデルに仕上げて、1月18日から家電量販店などの店頭展示を開始した。

 カラーには、テレビでは珍しいシャンパンゴールドを採用。「大手メーカー製品の基本色はブラックだが、ライフスタイルの変化に伴い、別の色を求める声はある」(渡辺部長)。製品開発の小回りが利くメリットを生かして、市場に切り込んでいく。

 当面、販売チャネルはリアル店舗に絞り込む。渡辺部長によると「売り上げを考えればECを活用しない手はないが、まずは実物に触って『これが新しいaiwaか』と実感してもらいたい」とのこと。一部、大手テレビ通販向けにオリジナル商品を展開するが、それはブランドの正しい認知ができると見込んでのものだ。勝負を焦らずに、地道にブランド認知を拡大していく。

 「まずは『aiwaブランド、懐かしいね!』と言ってもらいたいが、ゆくゆくはかつてのイメージを超える新しいaiwaブランドを構築したい」(釆田社長)。アイワにもアイワ・ジャパン マーケティングにも、レガシーを売る意識は毛頭ない。(BRR・大蔵 大輔)