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シニアにも普及するネット通販、重く響く平均寿命と健康寿命の差

データ

2018/01/14 17:00

 若者だけではなく、シニア世代にもインターネット通販が浸透しつつある。総務省の2015年の調査(家計調査、家計消費状況調査)によると、インターネットを利用して商品・サービスを購入した経験のある割合は、ここ10年で、2人以上の世帯全体では10.8%から27.6%へ、世帯主が65歳以上の高齢者世帯では3.8%から13.6%へ、それぞれ大幅に上昇している。


 また、品目・サービスごとの構成比を比較すると、世帯主が65歳以上の世帯は、世帯主が65歳未満の2人以上の世帯に比べ、「医薬品・健康食品」は1.82倍、「保険」「贈答品」はともに1.50倍、「食料品」は1.21倍と、それぞれ支出金額が多かった。特に「医薬品・健康食品」は突出して多く、高齢世代特有の傾向といえるだろう。

 シニアに関して、もう一つ、注目すべきデータを紹介したい。「平均寿命」と日常生活に制限のない期間を示す「健康寿命」の差だ。

 厚生労働省のまとめた10年の時点の平均寿命と健康寿命を比較すると、男女とも後者よりも前者のほうが長く、その差は男性が9.13年、女性は12.68年だった。言い換えると、健康で生活できる期間を過ぎると、男女とも加齢による体力の低下や病気などによって不自由な生活を余儀なくされることを意味する。その期間は、男女とも10前後におよぶ。こうした背景からも、手軽に買い物できるネット通販の重要性は増すことになりそうだ。
 

 健康の保持増進・疾病の予防への取り組みの一環として、17年1月から、一部の対象医薬品を購入すると所得控除を受けられる「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」がスタートした。今春、17年度分の確定申告から、従来の医療費控除か、セルフメディケーション税制か、どちらかを選んで申請すると適用される。
 

 単なる長生きではなく、健康寿命を延ばすため、自分自身の健康維持に配慮する「セルフメディケーション」をしっかり理解していれば、腹筋を鍛えるEMSベルトや低周波治療器などの健康器具、「スマート家電」の走りともいえる、Bluetoothを搭載した電動ハブラシや体組成計などのヘルスケア用品に新たに参入するメーカーや今まで以上に力を入れるメーカーが増えている理由がわかるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)