通勤時間の短縮が人口減を食い止める!?

データ

2017/12/02 12:00

 内閣府 地方創生推進室が作成した地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」から、商圏や人口、消費行動に関わるグラフ/数字を紹介する。


 2017年5月22日からJR山手線の新型車両E235系の本格運用が始まった。荷棚の位置を低くし、荷物を取りやすくしたこと、中吊り広告以外の車内広告をデジタルサイネージに置き換えたことなど、さまざまな新しい試みを取り入れている。新型車両は、段階的に首都圏の郊外エリア、そして全国へと広がっていく見込みだ。

 JR東日本は、15年3月に首都圏を南北につなぐ「上野東京ライン」を開始。神奈川県の東海道線の各駅から、宇都宮線・高崎線の各駅に乗り換えなしで行けるようになった。途中の大宮駅には、都心の西側のターミナル駅、渋谷・新宿・池袋を経由する「湘南新宿ライン」でも行くことができる。所要時間は以前より短縮し、通勤や旅行時の利便性が高まった。他の鉄道会社も相互直通運転を行っており、沿線の観光スポットをアピールしている。
 

「上野東京ライン」のロゴ

 通勤時間の長さと、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は相関性があると知られている。「RESAS」の「働き方関係等指標で分析」で示される分布グラフを見ると、一目瞭然だ。

 1日あたりの通勤時間が60分未満だと、合計特殊出生率はおおむね全国平均を上回り、逆に60分を超えると平均を下回る。通勤時間が90分を超える神奈川・千葉・埼玉の3県の15年の合計特殊出生率は1.38~1.39。全国平均の1.53より0.1ポイント以上低い。とはいえ、東京都は、通勤時間が周辺の3県より若干短いにも関わらず、全国最低の1.24にとどまっている。
 

 通勤時間と、睡眠時間や人生の満足度との相関性を指摘する調査結果もある。動画配信や電子書籍などのコンテンツサービス、ECの拡大の要因の一つには、こうした長時間通勤も挙げられるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)


■地域経済分析システム「RESAS」
 「RESAS」は、国の統計資料を中心に、民間の調査データも含めた膨大な量のデータを「見える化」して、課題解決を手助けするツール。都道府県/市町村単位で集計でき、全国や他の自治体の数値と簡単に比較できる。
▼RESAS:https://resas.go.jp/