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C2Cは敵にあらず? 楽天の矢澤執行役員「シナジー生む可能性も」

インタビュー

2017/06/23 18:00

 ここ数年で、一般消費者間で商取引を行うC2C市場が活性化している。最大手のメルカリの2017年5月時点の国内ダウンロード数が5000万件を突破し、流通総額は1200億円にも上るといわれている。成長速度は加速しており、流通各社も無視できない規模に膨らみつつある。楽天も「ラクマ」「フリル」という二つのフリマアプリでメルカリを追随するが、楽天市場とシェアを奪い合う可能性はあるのだろうか。


楽天が運営するフリマアプリラクマ」と「フリル」

流通の循環を生む仕掛けに 連携を模索中

―― 楽天では「ラクマ」と「フリル」の二つのフリマアプリを運営しています。C2C市場の拡大をどのように分析させていますか。

矢澤 C2Cの急激な市場拡大は若い世代を中心に起きています。彼らは購買行動が変化しつつある最たるもので、もはやお店で欲しいものを買いません。マスでつくられた商品をマスで購入することに、変化を求めているのではないかと考えています。その体験で買い物による豊かさを得ているのです。

―― 楽天市場のシェアを奪う可能性はありますか。

矢澤 いままさに楽天市場とどのようなシナジーを起こせるか探っています。「ストックが切れたら購入する」というのであれば、なくなったものがあった場所にスペースが発生します。
 

若い世代を中心に急拡大するC2Cとのシナジーを探っていると語る、
矢澤俊介 執行役員 兼 ECカンパニーCRO&ディレクター

 しかし、「それまでの生活になかった新しいものを買う」とスペースを確保するために、これまで家にあった何かをリセットする必要がでてくる。C2Cはそんなときにこそ活用されているんです。不要なものを賢く整理することで、次のショッピングを促し、流通全体に循環を生み出します。

大型の白物家電が好調 EC購入による抵抗感が低下

―― 現在の楽天市場における家電カテゴリのトレンドを教えてください。

矢澤 大型の白物家電に勢いがありますね。エアコン冷蔵庫洗濯機掃除機などがインターネットでも買いやすくなり、ECに対する抵抗感がどんどん下がっていっています。サイズも単身用の小型モデルが中心でしたが、ファミリータイプの大型モデルがよく出るようになりました。

 かつては各部屋にエアコンを1台取り付けていましたが、現在は大型で高性能のエアコンで全部屋をカバーするというスタイルが広がってきた。そういったライフスタイルの変化も影響しているのだと思います。

 今までにない新しい機能を搭載した白物家電も次々に登場していますよね。故障が理由ではなく、価値を見出して買い替えるユーザーは増えています。
 

は滞在時間の長さも楽天の強みの一つ

―― マーケティング戦略も変化しているのですか。

矢澤 2年前に楽天市場に出店をしていなくてもマーケティングができるソリューションを開始しました。現在は約70社のメーカー様が利用していますが、小売店発信からメーカー発信のインフォメーションにすることで、新商品が販売しやすくなりました。楽天市場は売り場とメディアが融合しており、滞在時間が長いので、お客様が情報をしっかり受け取ってくれるんです。