<LOGOS・象印>世界で愛されるゾウのマーク

特集

2016/12/26 18:00

 象印マホービンのコーポレートロゴの横には、愛らしいゾウのイラストが描かれている。社名にも採用するゾウは、同社にとって特別な存在で、世界中の人に愛されてきた歴史がある。

 企業や製品の顔となるロゴ。日常的によく目にするが、由来やこだわりはご存じだろうか。そんな疑問を解決する連載企画「LOGOS」。第5回は象印のコーポレートロゴを取り上げる。

■会社データ
企業名:象印マホービン
所在地:大阪府大阪市北区天満1丁目20番5号
創立:1918年

■案内人

広報部の西野尚至部長

 同社がゾウのマークを取り入れたのは、戦前までさかのぼる。1923年(大正12年)から本格的に魔法瓶の製造を開始したのに合わせ、完成品につける商標としてゾウを選んだ。
 

象印のコーポレートロゴ

 広報部の西野尚至部長は「その時代の魔法瓶には、内瓶のガラスが割れるイメージがあったので、ゾウを商標に使うことで強いイメージを持ってもらおうとした」と説明する。

 ゾウを採用したのには、もう一つの理由がある。当時、製造した魔法瓶のほとんどを東南アジアに輸出していた。そのため、現地で神聖視されていたゾウのマークで認知度の向上を図ったのだ。

 ゾウのマークは当初、忠実に描かれていたが、徐々にシンプルなタッチに変わった。長年の使用でゾウのマークはすっかり定着し、今では「海外でもすごい人気」(西野部長)という。

 ただ、表舞台から姿を消した時も。同社は大証二部に上場した86年、ブランドイメージの一新を計画。今の「ZOJIRUSHI」ロゴを制定し、先進性や技術力を強調するために製品からゾウのマークを外した。

 ちなみに、ロゴの「O」につく楕円は「インターリンク」という名称。「つなぐ」という意味のインターと、「『輪』や『環』」を示すリンクを組み合わせて「人と人をつなぐ」との思いを込めた。
 

ロゴマークの変遷

 ゾウのマークにとって、転機となったのは2003年。同社が企業イメージを再検討し、温かみや優しさが今後、重要になると判断。再びゾウのマークを前面に出し、“象印らしさ”の再構築を決めたのだ。

 同社はこれまで、国際宇宙ステーションの実験用で宇宙に行ったり、アテネ五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した野口みずきさんの給水ボトルを開発したりしてきた。

 過去の華々しい歴史は枚挙にいとまがないが、ゾウのように大きく、強く、優しい存在として人々の暮らしに寄り添う姿勢は、今後も決して変わることはない。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年1月号から転載