<LOGOS・ソニー>髪の毛半分の細さまでこだわり

特集

2016/08/26 17:00

 1955年から使われている「SONY」のロゴは、音を示す「SONIC」の語源となったラテン語「SONUS」(ソヌス)と、「小さい坊や」を表す英語「SONNY」を組み合わせた造語だ。

 企業や製品の顔となるロゴ。日常的によく目にするが、由来やこだわりはご存じだろうか。そんな疑問を解決する連載企画「LOGOS」。第1回はソニーのコーポレートロゴを取り上げる。

■会社データ
企業名:ソニー
所在地:東京都港区港南1-7-1
創業:1946年

■案内人
 

 シンプルな4文字にしたのは、旧社名の東京通信工業時代から国際展開を意識していたことが背景にあり、“世界共通の商標”として通用するマークにする狙いがあった。
 

 ブランド戦略部の森繁樹統括部長は「世界中で同じように発音できて、意味が複雑にならない文字数になっている」と解説し、「『いつまでも若々しく、はつらつとした企業体に』という意味が込められている」と付け加えた。
 

 ソニーのロゴは、これまでに5回の変遷をたどった。57年から61年まで使われた2代目からは、海外を意識して、米国の広告などで当時使われていた「クラレンドン」という書体に似た文字が採用されている。

 しかし、「完全に一致する書体は世界にない」と話すクリエイティブセンターコミュニケーションデザイングループの福原寛重チーフアートディレクター。独自の進化を遂げてたどり着いた現在の形は「よほどのことがないと、いじれない」というほどの完成度だ。

 ソニーにとってロゴは「一番大切にすべき資産」(森統括部長)との考えがあり、取り扱いには極めて慎重。福原チーフアートディレクターは「発売する製品は全てチェックしている」と説明する。

 世界への挑戦を夢見て、4文字のロゴがつくられてから約60年。現在のロゴは6代目で、73年から使用する。変わらず使い続けるのは、髪の毛半分の細さまでこだわり、磨き上げてきた歴史の重みがあるからだ。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年9月号から転載