キーワードは「上質感」、アクアの17年事業戦略

経営戦略

2016/11/28 14:43

 アクアは、11月22日、2017年上旬に展開する冷蔵庫と洗濯機の新製品と事業戦略を発表した。


単身世帯向けの冷蔵庫「COOL Stainless」の新ラインアップ

 今年3月に開催した事業説明会で、2人世帯・単身世帯が増加する日本社会の今後を見据えた戦略を発表したアクア。17年も路線は継続し、より顧客の要望を反映したアクアらしい製品ラインアップを揃える方針だ。

 日本副代表を務める森田昌治 執行役員兼マーケティング&オペレーション本部本部長は「20代~30代の節約志向が増大する一方で、バブル世帯以上の消費意欲は緩やかに回復している」と、直近の消費動向を説明。さらに「全世代の約7割が“節約と出費の二極化”を自覚している」と分析した。
 

森田昌治 日本副代表

 17年の新キーワードとしてアクアが掲げるのが「上質感」。ただ単に2人世帯・単身世帯にちょうどよいサイズの製品を提供するのではなく、デザイン性や生活スタイルに寄り添った機能を提案し、売り場で差別化を図っていく。

 アクアの調査では、16年11月時点の日本市場で、冷蔵庫は401L以上の超大型クラスが54機種あるのに対し、400L以下の中型・大型クラスは21機種にとどまる。2人世帯・単身世帯がファミリー世帯の比率に迫っている現状を踏まえると、中型・大型の冷蔵庫は今後の伸びが大きく期待できる領域だ。
 

超大型の機種が54機種と充実する一方、中型・小型はわずか21機種

 今回発表したのは、ステンレス扉を採用した冷蔵庫「COOL Stainless(クールステンレス)」シリーズの第2弾。すでに発売している4ドア・355Lの「AQR-S36E」に、17年春発売予定の3ドア・272Lモデル(型番未定)、17年1月10日発売の2ドア・184Lモデル「AQR-U18F」、2ドア・157Lモデル「AQR-U16F」の3機種を追加する。価格はいずれもオープン。
 

ステンレス扉を採用した冷蔵庫「COOL Stainless」シリーズ

 特徴である全面ステンレスの扉は、工場のあるタイに日本産の素材をわざわざ輸送するこだわりで、均一なツヤや滑らかな触り心地を実現。本体横幅をワイドにすることで、「冷蔵庫の上に電子レンジやオーブンを置きたい」という要望に応える。耐熱100℃のトップテーブルを採用するので、安全性も高い。

 もう一点、こだわったのが「冷凍庫」だ。「時間のあるときに作り置きしておき、忙しいときは冷凍庫から調理済みの食材を取り出すホームフリージングは増加傾向にある。独自調査によると、実際に活用している方は約半数、今後もっと活用したいと考えている方が8割弱いる」と森田本部長。
 

増加するホームフリージング需要

 54Lを超えるビックフリーザーを採用するだけでなく、取り外し可能な自動製氷機も備える。
 

自動製氷機は取り外し可能で衛生的

 このほか、発売日・価格の発表はなかったが、天面に洗濯槽内が見えるガラス素材を採用したタテ型洗濯機「ワイドガラストップ」シリーズや、参考出品として国内での販売を検討している2口洗濯機、食器洗い乾燥機を展示。17年の主力を担うであろう製品群として紹介した。
 

タテ型洗濯機「ワイドガラストップ」シリーズ

 山口仁史日本代表は「グローバル展開の強みを生かして、多ジャンルで柔軟に戦略を練りたい」と今後の展開を示唆。17年はアクア印の生活家電がますます売り場で存在感を高めそうだ。(BCN・大蔵 大輔)