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<Quality Management>国産にこだわるマウスコンピューターの戦略 「飯山TRUST」の舞台裏

特集

2016/10/28 09:00

 マウスコンピューターは、受注生産(BTO)のPCを中心に、ほぼすべての製品を飯山事業所(長野県飯山市)で生産する。多くのPCメーカーがコストの安い海外で生産するなか、国内生産にこだわるのは品質と納期を最優先に考えているからだ。2016年1月からは、国産ならではの信頼感を「飯山TRUST」という言葉でアピールするマウスコンピューター。屋台骨の飯山事業所を取材し、舞台裏に迫った。

■マウスコンピューター飯山事業所
場所:長野県飯山市木島500番地(木島工業団地内)
総面積:約4000坪
人員:151人(2016年7月31日時点)
生産能力:1日平均約550台(2016年7月31日時点)
 

飯山事業所とは?

 東京から新幹線で約1時間40分。長野県北部にある飯山市。北陸新幹線の開業に合わせ、2015年3月から供用を始めた新しい飯山駅から車で約10分の工業団地に、マウスコンピューター飯山事業所はある。
 

マウスコンピューター飯山事業所の外観

 生産は、主にBTOのPCを生産する第一、第二工場のほか、増産時などに使う第三工場、スティックPCを生産する別棟などで対応。iiyama時代の検査設備も一部活用する。1日の平均生産台数は約550台(9月30日時点)で、繁忙期は約1.6倍に増える。
 

信頼の証「飯山 TRUST」を掲げて組み立てを進める従業員
 

シリアル登録が生命線、ラップの色で使用可否を表示

 飯山事業所では、搬入されたすべての部品をシリアル登録する。各部品をシリアルナンバーで紐付けすることで、その後の組み立てを間違えることなくスムーズにできる。BTOに対応する飯山事業所にとって、シリアル登録は”生命線”だ。
 

部品のシリアル登録は、一つ一つ手作業で行う
 

使えない部品が搬入された場合は、箱に巻いたラップの色で状態を表示する。
赤ラップは、部品に不具合などがあった場合の「受入停止」を示す
 

構成表の色で出荷日を判別、全体の作業効率を向上

 PCの生産は、注文内容に応じた部品のピッキングから始まる。構成表に書かれたシリアルナンバーを確認し、コンテナ1個にPC1台分の部品を集める。構成表がオレンジ色なのは、出荷日を判別するため。曜日ごとに色を変えて全体の作業効率を向上させている。
 

出荷日を色分けした構成表
 

コンテナにも構成表を貼る
 

マウス版セル方式で組み立て、複数チェックで品質を確保

 注文ごとの異なる仕様に対応できるようにセル方式を採用。いったん組み立てたPCは、別の人がコネクタの差し位置や通電の状況などを確認する。出荷前にも別の人による抜き取り確認がある。1台のPCを必ず複数でチェックするのがマウス流。
 

組みあがったPC内部の状況を確認する従業員。画面にはコネクタの差し位置などが表示されているので、
増産時に経験の浅い人が入っても対応可能だ

■工場長の一言
 

松本一成工場長

 工場を案内してくれた飯山事業所の松本一成工場長は「海外生産だとコストは安くできるが、一方で即時出荷ができない。最速で翌営業日に出荷できるスピード感が国内生産の強みだ」と説明する。大量生産では海外メーカーに勝てないが、それをカバーするのが国内生産の信頼性と品質。生産体制の改善を重ね、「システム上で部品の間違いや欠品はないようにしている」と語る。