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スマホの普及率がついに従来型を逆転 「ケータイ」はいつまで残る?

時事ネタ

2016/05/16 15:34

 内閣府調査によると、2016年3月末の時点で、2人以上の世帯でのスマートフォン(スマホ)の普及率は67.4%。前年3月時点に比べ6.8ポイント上昇し、2013年の調査開始以来、初めて、フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)を逆転した。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年以降、販売された携帯電話の7~8割はスマホだったが、ここに来て、普及率についても7割近くまで拡大してきたことがわかった。


 2015年に最も売れた端末はiPhone 6。次いでiPhone 6sだった。普及率の上昇に大きく貢献したのはやはりiPhoneということができるだろう。しかし、今年2月以降、通信料金の割引によって端末代を相殺する「実質0円」販売をやめるよう行政指導がなされ、販売方法や契約に関するルールなどが変わりつつある。「格安SIM」ではない、キャリアのスマートフォンは、実質的に値上げされ、今は「買い時ではない」といわざるを得ない。逆に、従来型携帯電話のユーザーにとっては、ケータイに買い替える最後のチャンスではないだろうか。
 
 

スマホの販売台数は5年で約4倍に ケータイのスタンダードはiPhoneへ

 「BCNランキング」によると、スマートフォンの販売台数は、初めて従来型携帯電話の販売台数を上回った2011年から2012年にかけて大きく伸びた。2015年のスマートフォンの年間販売台数は過去最多を更新。2010年の3.9倍に膨らんだ。 
 


 メーカー別では、2013年以降、アップルが4割以上を占め、2位以下を大きく引き離している。2015年のメーカー別販売台数シェアは、アップル54.8%、ソニーモバイルコミュニケーションズが15.4%、シャープが7.3%。2011年の時点では、シェア10%超だったサムスン、富士通はシェアを落としたが、代わりにSIMフリー端末を手がけるASUS、プラスワン・マーケティングが上位10位内に食い込んでいる。 
 

 


 一方、従来型携帯電話の販売台数は、2010年のおよそ6分の1に減少。特に、大きく落ち込んだのは2012年。ラインアップから、カメラやディスプレイにこだわったハイエンドモデルが消えた。割引適用の条件として、スマートフォンとの同時購入が多いと推測される防犯ブザーを搭載したキッズ・シニア向け端末が4割前後を占め、ごく普通の「一般向け」は残り6割前後と、さらに少ない。ただ、2014年、2015年は前年に比べ微減にとどまり、スマートフォンに比べ割安なプランや音声通話の使い勝手の良さなどに対する根強いニーズがうかがえる。 

 2015年春には、OSはスマートフォンと同じAndroid、外観はケータイと同じ、テンキー搭載で折りたたみ型の通称「ガラホ」が登場した。auの最新の総合カタログに登場するフィーチャーフォンタイプの端末は、ガラホの「GRATINA 4G/AQUOS K SHF32」のみ。NTTドコモも「部品調達の関係で、今後、従来型ケータイの一部はなくなるかもしれないが、KDDIのガラホと同様のOSにAndroidを搭載した折りたたみ型の端末は引き続き出していく」という(NTTドコモ 広報)。ここ数年の間に、多くのケータイ向けサイト・サービスが終了し、以前と変わらずに使い続けることは難しくなってきた。「カタチ」自体は残るとしても、一世を風靡した従来型ケータイは、いよいよ終息に向かいつつある。 
 


見た目はほとんど同じガラホとケータイ。ドコモは、対応サービス「iモード/spモード」で
区別している(左から、ガラホの「GRATINA 4G KYF31」「AQUOSケータイ SH-06G」、
ケータイの「P-01H」)

高止まりする通信料金がスマホの普及を妨げ、ケータイを生き残らせる

 まだスマートフォンに乗り換えていない人が悩むポイントは高額な通信料金だろう。音声通話プランと、定額データ通信をあわせて、最低でも税込み月額5000円以上かかるからだ。分割払いの端末代や、補償・サポートなどの有料オプションサービスの料金を上乗せすると、毎月の支払いはさらに高額になる。 

 使いやすさの点で、スマートフォンのほうが従来型ケータイに比べて圧倒的に便利だと思う筆者も、費用面で躊躇する人には勧められなかった。かといって、低価格がウリの「格安SIM」を提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)では、いわゆるキャリアメールが利用できず、そもそも手厚いサポートを期待する場合には不向きだ。 

 総務省は「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を3月に示し、4月から実質0円販売など極端な端末の値引き販売をやめるよう行政指導を行った。しかし、対象となる商品や金額など、曖昧な部分は多い。今後は試行錯誤しながら、適宜、見直されることになりそうだ。本をただせば、今回の規制は、家計に占める割合が大きく、他の商品・サービスへの消費を萎縮する原因となっていると指摘された「高すぎる通信料金」の値下げを意図したものだったはず。その後、ライトユーザー向けの最安データ通信プランや、いわゆる2年縛りの仕組みの改定など、新しい施策が発表されたが、残念ながら、大幅な値下げ・改善を実感できる状況にはない。 

【携帯電話の料金・契約に関する新しい動き】 
・<au・ソフトバンク>データ通信の小容量1GBプランの追加
・2年契約の契約更新期間の拡大
・2年契約の解約金なしプランの追加(解約金あり/なしを選択可)
・<ドコモ>長期継続利用者の割引拡充 など


 今後も、通信料金が高止まりしたままならば、スマートフォンに比べ、プランによっては安く済む従来型ケータイに対するニーズはなくならないだろう。言い換えると、ケータイが売れ続けている限り、料金プランへの不満は解消していないとみていい。ケータイがあと何年、ラインアップから消えずに残り続けるかは、今春から始まった、一連の見直しの行方にかかっている。(BCN・嵯峨野 芙美) 


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。