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日本品質で「狙え世界一」、プラスワン・マーケティング、増田薫社長

経営戦略

2015/10/09 13:00

 中国・韓国・台湾企業が台頭するSIMフリーのスマートフォン(スマホ)業界にあって、Made by Japanを掲げ「日本の会社として世界一になりたい」と果敢に挑戦するプラスワン・マーケティング。2012年に立ち上げたばかりのベンチャーながら、SIMフリー端末の販売台数シェアで日本メーカーとしては6月-8で1位、MVNOとしてもSIMの販売数量で躍進している。自宅事務所で4名から始めた事業も、3年目の今年、日本だけでも100名を超える規模まで拡大した。ソースネクスト、レノボ、Dellと、名だたるIT企業を渡り歩き、ブランドの立ち上げや携帯電話事業のノウハウを吸収し満を持して起業した、プラスワン・マーケティングの増田薫 代表取締役にこれからの戦略を聞いた。


日本の会社として世界一になりたいと語る、プラスワン・マーケティングの増田薫 代表取締役

 「第4のキャリア」を目指し、SIMフリースマホ端末を販売しながら、MVNOとしてSIMも販売する。端末事業では今年に入って矢継ぎ早に新製品を発表。Androidのフラッグシップ「極(Kiwami)」、ミドルレンジの「雅(Miyabi)」、エントリーの「Priori」シリーズとフルライン戦略で、拡大著しいSIMフリー端末市場での拡大を狙う。Windows Phoneは「最速で提供する」として、ミドルクラスの「Katana 01」と上位モデル「Katana 02」を用意。時期は未定だが「おそらく年内には発売できる」見込みだ。 

 SIMフリースマホでは「外資系メーカーには絶対負けない。日本メーカーが負けるわけにはいかない」と意気込む。日本ならではの品質を実現するため、東京に約30名、中国・深センに約60名のプロダクトスタッフを配置。ソニーやパナソニックのOBも招き入れ、日本品質の製品づくりに取り組んでいる。また、一部メーカーのサポート体制の悪さを指摘しながら「売って終わりの商売はしたくない。販売してからがお客様とのお付き合いの始まり。特にサポートは国内で自社の社員があたる」と、製品だけでなく、アフターサービスにも日本品質にこだわる。 
 


年内にも登場予定のWindows Phone「Katana 02」

 「いくら安くても遅ければ意味がない」そう語る増田社長は、MVNOとしての通信回線の品質にもこだわる。L2接続事業者としてインフラに積極投資を続け、早い通信回線を提供し続けている。さらに、とかく複雑化しやすいプランだが、同社は基本的に「使った分だけ安心プラン」だけ。データ専用SIMで税別月額299円から提供する。通信料が100MBを超えると1GBまでが同499円、3GBまでが同900円と利用量に応じて月額がシフトする仕組み。月額の上限は同2470円で、高速通信が10GBまで利用できる。「電気や水道と同じように使った分だけ払う本来当たり前のプラン」だ。 

 世界一を狙うチャレンジはすでに着々と進行している。3月にバルセロナ開催されたMWC(Mobile World Congress)2015や、9月にラスベガスで開催されたCTIA Super Mobility 2015にも出展。特にMWCの反響は大きく、「日本のベンチャーが電話をやる」と300超のメディアで取り上げられた。「サムスン、アップル、中国系という世界市場に飽き飽きしているメディアが、日本から出てくるベンチャーは珍しい、と飛びついた」からだ。 

 9月には、グローバル推進担当役員として、元モトローラ副社長のイアン・チャップマン-バンクス氏を取締役として招き入れ、海外展開を本格化する。すでに、アメリカ、香港、韓国、中国、シンガポールに拠点を開設し、近くメキシコとドバイにも展開する。それぞれの国でサポート体制を敷き、ゆくゆくは生産も現地化する方針だ。世界展開の第一歩として、まずは中南米、アジアから端末販売をスタートする予定。「地道に一カ国ずつというやり方はせず、一気にいく。すでに海外の案件だけでも100万台規模の販売見込みが立っており、国内でも同レベルの販売台数をできるだけ早く達成したい」。 
 


発売直後に完売したSIMフリーガラケー「Simple」、すでにSimple2の計画が進行中

 国内の販売では「当初は個人ユーザーが大半を占めるが、今後1年程度かけて、じっくり法人市場も拡大していき、法人販売が個人を上回る水準までもっていく」計画。もともと法人向けとして開発したSIMフリーガラケーのSimpleは、発売してすぐに売り切れてしまった。「これ以上増産する予定はない」が、次期モデルはすでに「Simple 2」として準備が進められている。日本メーカーの復活の狼煙がプラスワン・マーケティングから上がるのは、もう間もなくだ。(BCN・道越一郎)