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新発想でボウルを浮かせて加熱する! 象印が毎日とことん使えるオーブンレンジを9月に発売

 象印マホービンは7月27日に発表会を開催し、レンジ市場への参入第一弾となるオーブンレンジの新製品EVERINO「エブリノ ES-GT26」を発表した。簡単に使いこなせて美味しいを目指し、「レジグリ」「うきレジ」「サクレジ」の三つの機能を搭載している。

「EVERINO」のカラーバリエーションはスレートブラック(左)とホワイト(右)の2色

オーブンレンジの不満を解消し、使ってもらえるオーブンレンジ

 象印マホービンは長年、炊飯器で培ってきた温度コントロール技術を他の調理家電にも生かせると考え、オーブンレンジの開発に着手。構想自体は7年前からあり、立ち上げのための部署を2年前につくって第一弾製品の技術開発に努めてきた。

 同社によると、レンジまたはオーブンレンジを所有し、週に1回以上料理をする20~69歳の既婚男女600人へのインターネット調査で、レンジ・オーブンレンジに対する不満の1位は「温度ムラができる」だった。以下、「調理に時間がかかる」「揚げ物などをレンジ機能で加熱した際のベチャつきが気になる」「機能が複雑で使いこなせない」と続いている。
食材の加熱後に温度ムラを感じたという人は多いようだ

 オーブンレンジに不満を持っているユーザーは約3人に1人。未就学児の子どもがいる回答者の43.4%が不満を抱えているという結果だった。

 オーブンレンジは高機能・多機能化が進んでいる。しかし、日常の使用実態は“レンジあたため”が大部分を占め、多くの機能を使いこなせていないことが分かった。そこで、同社では本当に使ってもらえるレンジを目指して本格的な開発に取り組んだ。

美味しさも時短も両立した三つの機能を搭載

 シリーズ名の「EVERINO」にはEveryday、Everyone、Every dishの三つの言葉が含まれており、「毎日の皆様の食卓を支える、とことん使えるオーブンレンジ」という思いから命名されたという。
特別な料理ではなく、日常の料理に使えるレンジを目指した

 EVERINOの特徴は、(1)レンジ機能からグリル機能へ自動で切り替えて調理する「レジグリ」、(2)食材を庫内で浮かせて調理する「うきレジ」、(3)温め直す揚げ物の衣はサクサク、中はアツアツにする「サクレジ」の三つ。それぞれがユニークで覚えやすいネーミングだ。

 「レジグリ」は、まずレンジ機能で食材の芯まで素早く熱を通す。その後は自動でグリル機能に切り替えて食材の表面に焼き目を付け、美味しく仕上げる機能だ。焼き色も弱・中・強から選べ、手動でグリル機能からレンジ機能という逆のリレーも設定が可能。

 通常サイズのハンバーグであれば、レンジ機能で中を加熱した後、グリル機能で表面にしっかり焼き色を付けるパターン。大きなサイズのハンバーグは逆に、まずグリル機能で焼き上げて旨みを中に閉じ込める。その後、レンジ機能で素早く中まで熱を通すことで旨みやジューシーさを逃さず、表面を香ばしく焼き上げる。食材やサイズによって「レジグリ」と「グリレジ」を使い分けることができるのだ。
 
(左)レンジで素早く温め、(右)グリルで表面をこんがり焼く

新発想でボウルを浮かせ、全方位からムラなく食材を加熱

 オーブンレンジの不満点の1位である温度ムラは大抵の場合、上部と底面に温度差が生じてしまうこと。この原因の一つとして、ターンテーブルがない直置きの場合はマグネトロンから発するマイクロ波が底部に集中して加熱効果が悪くなり、底部は熱く、上部の温度は低くなってしまうという。

 そこで同社が採用した温度ムラ解消方法が、全く新しい発想で開発した「うきレジ」。上段部にセットした角皿の底面に専用の耐熱ガラスボウルを固定し、底面から約1cm浮かせた状態で加熱するというもの。食材を浮かせることで全方向からマイクロ波が伝わり、上部と底部の温度ムラをなくす。ガラスボウルを固定させることで、食材の温度を検知する赤外線センサが正しい温度を測定できるというメリットもある。
従来の直置きは熱が底部に集中(左)、「うきレジ」は食材を浮かすことで熱が1カ所に集中しない(右)
 
専用の耐熱ガラスボウル(左)を角皿底面にセットすると、約1cm浮いた状態になる(右)

 実は、このボウルをセットする角皿はセラミックでできている。一般的な角皿は金属製で、レンジのマイクロ波を反射してしまう。しかし、セラミックはマイクロ波が通過する特徴があるという。そのため、角皿底面にボウルを固定してもマイクロ波が角皿を通過してボウル内の食材を加熱する仕組みだ。

 加熱効率のよさは、時短調理にもつながっている。かぼちゃの煮物は4人分が約10分で調理でき、蒸し鶏も約8分で仕上がる。この2品は自動メニューに入っており、食材をカットしてガラスボウルに調味液と一緒に入れて自動メニューを選ぶだけの簡単手間なしで、時短と美味しさを兼ね備えた調理ができる。
ボウルは4人分の調理もできる大きさ

 調理した天ぷらや買ってきた揚げ物を時間が経ってから温め直すと、中は温かいけど衣がベチャついたり、衣はサクサクだけど中は冷たいということがある。「サクレジ」は「グリレジ」を応用した機能で、ボタンを押すことによって、中は温かく衣はサクッとした食感に仕上げるという。

インテリアに馴染むスマートで落ち着いたデザイン

 EVERINOはシンプルかつ洗練されたマット調のデザインで、操作パネル部は液晶表示部のほかに機能モード選択とあたため時間選択の2つのダイヤルと「サクレジ」と取り消しの2つのボタンのみ。底部に配置された引き出し式のボードには自動メニューの番号が記載されていて、使いたいメニューをすぐに確認できる。一見して非常にスマートな印象を受けた。

 発表会当日はEVERINOを使って調理したかぼちゃの煮物とハンバーグの試食も行われた。かぼちゃは箸がスッと中まで通る柔らかさに仕上がっており、十分に味も染み込んでいた。ハンバーグは外がしっかりと焼け、中はジューシーでパサつきがなく、全体に熱が伝わっているのが実感できる仕上がり具合だった。
EVERINOで調理したかぼちゃは非常に柔らかく、中までしっかり熱が通っていた

 「EVERINO ES-GT26」は庫内容量26Lで9月1日発売。市場想定価格は6万6000円だ。また、9月上旬には「STAN.」シリーズの新ラインアップとしてES-SA26も発売予定。

 STAN.シリーズはデザイン性と機能性を兼ね備え、30代の共働き・子育て世帯にフォーカスした同社のサブブランド。同ブランドに合わせて、ES-SA26は離乳食用ゆで野菜メニューと子どもの成長に合わせた離乳食が作れる16メニューのレシピブックが付いている。市場想定価格は7万4000円。
ES-SA26は離乳食メニューで乳児のいる家庭の調理をサポート

 象印マホービンが今後の成長戦略として、新規カテゴリー商品による拡大と新規事業の創出を狙って開発を進めてきたオーブンレンジEVERINO。お家芸の温度コントロール技術と全く新しい発想、そして毎日使ってもらえることを狙った操作性などが結実した製品といえよう。(BCN・風間 理男)