象印マホービン、「炎舞炊き」に新搭載の「3DローテーションIH構造」とは

新製品

2022/06/06 17:30

 象印マホービンは6月1日、「圧力IH炊飯ジャー 炎舞炊き NW-FA型」の新製品説明会を開催。炎舞炊きの新しい火力構造として採用した「3DローテーションIH構造」を披露した。

「3DローテーションIH構造」を採用した
「圧力IH炊飯ジャー 炎舞炊き NW-FA型」

 「炎舞炊き」は2018年に象印マホービンの創業100周年を節目に発売し、22年4月20日までに累計45万台の出荷を記録するほどのヒット商品となった。炎舞炊きに搭載した独自の火力構造による、ごはんのおいしさが評価された形だ。その火力構造が、従来一つだった底IHヒーターを三つに増強し、それぞれが独立制御でローテーションしながら内釜に火力を伝える「ローテーションIH構造」である。

 かまど炊きの炎がゆらぐ様子をローテーションIH構造で再現することで、釜内に激しい対流が発生し、大火力で炊き上げるようにしたのだ。21年には、底IHヒーターの数を三つから六つに増強した。
 
右が新開発した「3DローテーションIH構造」

中心部と横方向の対流に課題

 進化を遂げてきたローテーションIH構造だったが、中心部の対流が弱いという課題もあった。説明会では、現行品と新開発の「3DローテーションIH構造」との違いがわかる実験について説明があった。赤色の米の上に青色の米を重ねて炊いてみることで、炊き上がり時の混ざり具合がわかる実験である。

 現行モデルは六つの底IHヒーターで炊くものの、炊飯後の内釜の様子を見ると中心部に青色のごはんが残っている様子がわかる。中心部の対流の弱さを示している。
 
現行モデルは中心部と横方向の対流の弱さが課題だった

 さらに横方向の動きがわかるように、内釜に六つの仕切りを設けて赤色と青色の米を交互に配置して炊くという実験も実施した。その結果、赤色と青色が混ざり合っていないことから、炊飯時の横方向の対流も弱いことがわかった。

 このように、中心部と横方向の対流の弱さの原因を突き止めたところ、同じ形の六つの底IHコイルが左右対称に並んでいるためであることがわかった。とくに中心部の空間の改善は、重要な課題として浮上した。

縦、横、斜めの立体的な対流が発生

 NW-FA型に新搭載した3DローテーションIH構造を見ると、中心部に三つの円形の底IHを配置し、中心部の空間もなくなっているのがわかる。これが縦対流を発生し、それを囲むように楕円形の三つの底IHを配置し、横対流も同時に発生することに成功した。まさに、縦、横、斜めの3次元による立体的な3D対流を可能にした。
 
右のNW-FA型は縦・横ともに色が混ざり合っている様子がわかる

 しかも、火力を入れる際は縦対流を生むIHコイルと、横対流を生むIHコイルがローテーションしながら加熱する。形状の異なるIHコイルに火力を入れることで、複雑に絡み合う対流が発生するようになったのだ。

 赤色と青色の米の実験結果でも、3DローテーションIH構造のNW-FA型は、現行品よりもしっかりと混ざり合っている様子がわかる。3次元の激しい対流が発生しながら、炊飯中の米に熱をしっかりと伝えることで、これまでよりもふっくらとした粒感と甘み成分が引き出されるようになった。
 
縦と横の対流が加わり、中心部の対流の弱さが解消された

 NW-FA型では、3DローテーションIH構造以外にも、かたさ3段階、粘り5段階からその日の気分に合わせて15通りの炊き方ができる「炊き分けセレクト」メニューや、より振れ幅にメリハリをつけた121通りの「わが家炊き」メニュー、「フラットパネル」や「フラットフレーム」によるお手入れ性能の向上、文字が見やすい「大型バックライト液晶(タッチパネル)」の採用などの新機能も搭載している。

 炊き方が劇的に進化した「炎舞炊き NW-FA型」の発売日は6月21日。価格はオープンで実勢価格は、NW-FA10が14万3000円前後、NW-FA18が14万8000円前後の予定だ。(BCN・細田 立圭志)