マイナンバー対策の切り札、AOSリーガルテックの「電子データシュレッダー」

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2015/10/05 15:56

 AOSリーガルテックは10月2日、廃棄義務のあるマイナンバーデータの完全抹消ができるシステムメンテナンスソフト「電子データシュレッダー」を発表した。価格は税別で1ライセンス1年版が3800円、3ライセンス1年版が9800円。10月2日にダウンロード版を発売したほか、パッケージ版は10月16日に販売を開始する。


AOSリーガルテックの佐々木隆仁社長と「電子データシュレッダー」

 10月1日に一斉に配布を開始したマイナンバーは、日本に住民票がある日本人と外国人に対して、12桁の番号を割り振り、社会保障や税金に関する情報を一元化することで、行政の処理を効率化するための制度だ。 

 2016年1月から本格的な運用を予定しているが、セキュリティ面では多くの不安要素を抱えている。番号の流出は、個人の預金口座から保有財産など、あらゆる情報の不正流出につながる。そのため、マイナンバー法では雇用主が従業員から収集したマイナンバーの厳格な管理が義務づけられている。AOSリーガルテックが発表した「電子データシュレッダー」は、不要になったマイナンバーデータを完全に抹消することで、煩雑な管理をサポートする。 
 


マイナンバーデータを完全抹消できるシステムメンテナンスソフト「電子データシュレッダー」

 佐々木隆仁社長は、「PC上のゴミ箱から削除すれば、情報は完全に削除されると勘違いしている人は多い。しかし、それでは深層のデータ領域には痕跡が残ってしまう。そのため、マイナンバーが記載された電子媒体の廃棄には、専用のデータ削除ソフトウェアを利用することが『マイナンバーガイドライン』にはっきり明記されている」と、廃棄方法に関する誤解されやすい面を紹介した。「『電子データシュレッダー』はデータ本体が格納されている領域を上書きするので、復元不可能なレベルでデータを抹消することができる」と、不正な情報流出を防止する仕組みを説明した。 
 


マイナンバーデータ破棄に関する誤解を説明する佐々木社長

 NPO法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調べでは、個人情報漏えいの原因の1位は管理ミス。誤操作や紛失がそれに続くが、いずれも人為的なミスによるものだ。漏えいする媒体は約8割がUSBメモリなどのデジタルデータ。PCに潜入して情報を盗み出すタイプのウイルスには、万全のセキュリティは難しいので、確実に保護するためには情報自体を完全に抹消するのがもっとも効果的なのだという。 
 


個人情報漏えいの原因のほとんどは人為的ミス。デジタルデータが約8割を占める

 「電子データシュレッダー」は、情報管理のエキスパートでなくとも簡単に目的を遂行できるシンプルなインターフェイスを採用。消去したいデータを選択するだけで、完全な消去が可能だ。ファイル以外にもメールや空き領域のデータを痕跡を残さず抹消することができる。消去を実行するスケジュールの設定にも対応する。 
 


「電子データシュレッダー」のホーム画面

 佐々木社長は「完全なデータ消去は技術的に難しく、どうしても痕跡が残ってしまう。データ復元の分野で15年以上の実績をもつからこそ、ハイレベルの消去が実現できた」と、信頼性の高さをアピールした。続けて、「同社のデータ復元ソフトをもってしても、復元できないレベル」(同)と自信をみせる。 
 


マイナンバー広報用ロゴマークであるウサギのマイナちゃんの刺繍をあしらったジャンパー

 ソフトの発売に合わせて、マイナンバー制度の啓蒙を目的とした書籍「30分で理解! イラストでわかるマイナンバーQ&A」も全国の書店や家電量販店で展開する。全国の家電量販店を直接訪問してマイナンバーの理解を深めるための取り組みも実施する。マイナンバー広報用ロゴマークであるウサギのマイナちゃんの刺繍をあしらったジャンパーも用意した。「年末年始にかけて対策を講じる事業社が多いと考えている。山場に向けて、まずは認知度を高めていきたい」(同)と戦略を示した。