完全ワイヤレスイヤホンが初の3割超え

アナリストPOSデータ分析

2022/01/31 14:00

 ヘッドホン・イヤホン市場で完全ワイヤレスイヤホンの販売台数構成比が過去最高の35.0%を記録、初めて3割を超えた。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。


 ヘッドホン・イヤホン市場全体に占める完全ワイヤレスイヤホンの販売台数構成比は、20年以降20%前後で推移。20年12月に25.8%を記録し、初めて市場の4分の1を超えた。翌21年前半は構成比が一旦縮小したものの、6月に25%台に回復、7月には29.4%まで上昇した。ソニーが新製品「WF-1000XM4」シリーズを発売したことや、アップルの「AirPods」シリーズがセールの対象になったことなどで売り上げが伸びた。8月と9月は一服したが、10月末にアップルが「AirPods(第3世代)」と「AirPods Pro(2021)」を投入したことで10月以降再び拡大。12月の年末商戦では各社販売を伸ばし過去最高の35.0%を記録した。
 

 完全ワイヤレスイヤホン市場はAirPodsの登場以降、アップルの独走が続いていた。しかし、状況は徐々に変わりつつある。アップルのシェアは20年5月の50.0%をピークに下降トレンドに転換。参入メーカーが急増し、シェア争いが激化したためだ。21年7月には「AirPods」シリーズをセール価格で販売。一時的にシェアを44.9%まで上昇させたが、翌8月は19.5%と急落。9月にはさらに18.6%まで下がった。しかし10月、新たなAirPodsシリーズをリリースしたことでシェアを取り戻し、12月には31.6%まで回復した。

 一方、JVCケンウッドやオーディオテクニカと2位争いを繰り広げていたのがソニー。21年6月に「WF-1000XM4」を発売したことでシェアを14.1%まで増加させ、混戦から抜け出すことに成功した。8月にはBeats Electronicsが「Beats Studio Buds」の発売でシェア11.3%を獲得し2位に急浮上。しかし翌9月には、すぐにソニーが2位を奪還、さらに10月、18.0%と過去2年で最高を記録した。12月は15.9%でアップルを追う状況だ。

 上位5社以外でも、ヤマハやAnker、BOSEなど勢いのあるメーカーは多い。ノイズキャンセリング機能など付加価値のある製品に加え、ライト層向けの手頃な価格の製品も数多く登場している。選択肢が広がっていることで、新規購入だけでなく買い替えや買い増しの動きも活発。完全ワイヤレスイヤホン市場は今後も活況が続きそうだ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。


サンプルデータ 無料ダウンロード

この記事で使われたデータのサンプルをダウンロード可能です。 下記のデータをご覧いただけます。


  • 完全ワイヤレスイヤホン チャートのデータソース
  • 完全ワイヤレスイヤホン 機種別ランキング

※ダウンロードには登録が必要です。