インクジェットプリンタ(IJP)市場が年末商戦に向けて動き始めた。しかし、需要期とはいえ、年々動きは鈍っているのが実態だ。スマートフォンが大きな盛り上がりをみせた11年、12年にはWi-Fiを介して直接印刷できるIJP製品が登場し、市場は大きく動いたものの、13年以降の販売台数は前年の9割前後にとどまる。12年をピークにIJP市場は減速している。

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 IJP市場は毎年10月から12月の3か月の販売台数が、年間の4割近くを占める重要な商戦期だ。10月2週から週単位で売れ行きをみていくと、年末商戦に向けて、立ち上がり始めていることがわかる(図1)。しかし、15年10月2週(10/12-10/18)の販売台数を「100.0」として指数を算出したところ、16年10月2週(10/10-10/16)は「81.2」、17年10月2週(10/9-10/15)は「76.3」と年々鈍化しており、17年は11月4週(11/20-11/26)まで前年を若干下回る水準で推移している。鈍化する背景には、スマートフォンによる波及効果となったIJPの買い替え需要がひと段落したこと、年賀のあいさつを葉書ではなく電子メールやSNSに切り替える人が多いことなどが、その要因として挙げられるだろう。
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 そこで、日本郵便株式会社が毎年発表しているプレスリリースによると、年賀葉書等の当初発行枚数は年々減少しており、16年は30億枚を下回ったものの、最終的には総発行枚数で31億枚だった(図2)。17年の当初発行枚数は16年を下回る25億枚程度で、総発行枚数が30億枚に届かない可能性は高い。この要因には、普通郵便の料金改定が行われ、これに伴い年賀葉書の料金も改定となる点が見逃せない。17年の年内から18年1月7日までは52円だが、1月8日からは62円へと10円値上げになるのだから、逆風は避けられないだろう。

 年賀葉書の需要減がIJP市場に及ぼす影響は大きい。また、世の中ではペーパーレス化も進んでおり、印刷枚数は確実に減少。加えて、コンビニエンスストアでもプリントアウトができるため、今以上にIJP市場だけではなく家庭におけるプリンタの需要は冷え込むことが想定される。

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