低迷が続いていたスタイラスペン市場に回復の兆しが見えてきた――。2015年2月以降、前年割れが続いてきたが、この9月は、販売台数伸び率(前年同月比)が20か月ぶりにプラスへと転じたためだ。直筆のペンや筆に近い書き味を再現する「筆圧機能」搭載製品が回復を後押ししており、なかでも昨年11月に売り出した「Apple Pencil」の販売増が目立つ。この製品はiPad Proでの利用が推奨されるため、デバイス限定となるが、それでも好調な売れ行きとなっている。


 スタイラスペン市場(手袋型やキーホルダー型は除外)はスマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、2014年末までは伸びを維持するが、15年に入ると、一転してマイナスへと転じ、昨年9月では前年比66.3%と大きな落ち込みとなった(図1)。1年以上にわたって伸び率が前年比70%~90%で推移し、精彩を欠く動きとなっていたが、昨年末から筆圧機能対応のスタイラスペンの売れ行きが拡大、この9月は久しぶりに前年を上回った。
 

 この原動力となったのは、アップルが販売する「Apple Pencil」の販売増によるものだ。「Apple Pencil」が発売された15年11月の販売台数を「100.0」として算出した指数からも分かるように、16年4月には「498.9」、9月には「495.1」を記録、発売当時と比べると5倍近い規模に達した月もある(図2)。メーカーシェアでも、ワコムの販売指数が大きく下落していないにもかかわらず、16年4月以降は、アップルがトップシェア。この9月は62.0%となり、市場にもたらす影響度が明らかに大きくなっている。

 「Apple Pencil」の販売動向は、iPad Proの売れ行きに左右される。実際、今年4月と9月にiPad Proは価格の改定により、販売台数が伸びたことで、「Apple Pencil」も連動した傾向をみせている。また、カラーバリエーションも含め、「Apple Pencil」の製品数は一つで、他製品と比べると価格はまだ高い。今後はiPhoneなどのマルチデバイスでの対応が可能になり、価格帯や搭載機能に応じて多様な製品が増えてくるならば、競合は強まり、結果的にスタイラスペン市場が活気づくことになるだろう。