クロスバイク歴10年の自転車乗りが、スポーツe-bikeに乗り換える可能性を考えてみた

特集

2026/05/15 17:00

 クロスバイクに乗り始めて10年以上の筆者。ガチのサイクリストとまでは言えないが、仕事でもプライベートでも自転車をフル活用している。しかし、乗車歴が10年ならば、その間に歳を10コ重ねているのも事実だ。少しずつペダルが重く感じるようになり、最近では電動ママチャリに追い抜かれることもしばしば。自転車は自力で漕いでこそ……と思いつつ、そろそろ電動アシスト自転車もありかなと薄々感じている。そんな中、東京ビッグサイトで4月25日・26日の二日間にわたって開催された日本最大級のスポーツ自転車ショー「サイクルモード東京2026」内で「SPORTS e-BIKE EXPO」なる展示会が行われたので、乗り換えのヒントを探してみた(フリーライター・鈴木翔)。

電動車のパイオニア、ヤマハが作るスポーツe-bike

最初に訪れたのは「ヤマハ発動機販売」のブースだ。ヤマハといえば、PASシリーズを生んだ電動アシスト自転車(以下、電動車)のパイオニア。家庭用電動車で圧倒的な認知度を誇る同社が10年前から展開しているスポーツラインが「YPJ」シリーズである。会場にはマウンテンバイクタイプの最新モデル「CROSSCORE RV」が展示されていた。
 
CROSSCORE RV/ヤマハ発動機

 普通車のスポーツバイクに乗っている身として、電動車に抵抗を覚える理由のひとつが、フレーム上でドスンと存在感を主張するバッテリーだ。しかし、このモデルはフレーム内蔵型のバッテリーを採用しており、言われなければ普通のマウンテンバイクに見える洗練されたデザインとなっている。

 「オフロードだけでなく街乗りでも気持ちよく乗れる一台です。通勤だけでなく休日のサイクリングも楽しみたいという方や、年齢を重ねて体力的に従来のスポーツサイクルが厳しくなったという方によく選ばれています」と同社の鈴木達さん。希望小売価格38万円という普通車のミドルグレードに近い価格帯ながら、同クラスのコンポーネント「シマノDEORE」とブレーキ「MAGURA MT-30」を採用している点も売りだという。
 
バッテリーが目立たないメインフレーム

 フル充電まで約3.5時間。スタンダードモードの場合で94km、プラスエコモードで184kmの走行が可能で、通勤用途であれば週に一度の充電で十分だろう。


 なお、この日は屋外に設置されたコースで実際に試乗。日光の下だとブラックのボディーが一層映え、ダートや砂利道が連続する路上でも安定した走り心地。特に登りでは電動車らしい快適さを実感できた。
 
試乗体験で実際の乗り心地をチェック!

 ただ一点デメリットに感じたのは車体の重さだ。総重量で20㎏を超えるため、電車等での輪行は難しい。その点は自宅近辺での走行や、自家用車で旅先に持ち込むというスタイルのサイクリストに向いているモデルといえる。
 

ホンダが開発した“後付け電動アシストユニット

 次に訪ねたのは「本田技研工業」のブース。同社が出展していたのは「SmaChari(スマチャリ)」というサービスだ。なんとこちらは、電動アシストユニットを取り付けることで普通の自転車を電動アシスト化できる仕組み。JIS規格に適合した自転車であれば装着可能で、電動アシスト自転車の型式認定にも対応している。
 
「SmaChari」の電動アシストユニット

 同社・野村真成さんによると、3,4時間の充電で約100キロ走行可能なバッテリーはドリンクホルダー用のネジ穴に取り付ける仕様になっており、基本的に無加工で電動化できるという。また、ユニットはスマホアプリとBluetoothで連動し、バッテリー残量や走行ログの確認ができるほか、AIによる最適なパワー制御も可能だ。さらに、自動車のコネクテッドデータをもとに、事故発生地点や急ブレーキの多い箇所を地図上に表示してくれる機能を備えているのも同社らしいサービスといえる。
 
過去の事故発生地点等を「!」マークで表示

 会場ではNESTOやTHARDBIKESを展開する「ホダカ」、オーダーメイドメーカーの「GRAND BOIS」などがスマチャリ装着のスポーツバイクを展示していた。現在は車体とセット販売が中心だが、販売店によっては持ち込み車両への後付け設置にも対応しているという。お気に入りメーカーの自転車を電動車にして乗りたいという人はもちろん、乗り慣れた愛車を乗り続けたいという人にもおすすめのサービスだ。
 
「SmaChari」を装着したNESTOの「VACANZE neo」

 ちなみに、「なぜホンダが電動自転車を?」と疑問に思う人も多いだろう。「実はホンダの最初の製品は、自転車用の補助エンジンだったんです」と野村さん。その製品とは1947年に発売された「ホンダA型」のことで、エンジンとモーターで動力こそ異なるが、本サービスにもホンダのDNAがしっかりと受け継がれている。

1回の充電で最大1000㎞の走行が可能

 3件目に訪れたのは、太陽誘電のブース。こちらでは「FEREMO(フェリモ)」という次世代回生電動アシストシステムが紹介されていた。
 
充電1回の走行距離が驚異的に伸びる「FEREMO」

 電動車に欠かせないのが充電だ。ロングライドを楽しむ人ほどその頻度は多くなり、煩わしさを感じるかもしれない。それに対し、電子機器メーカーの同社が開発した本システム搭載の自転車は、下り坂など漕いでいない際の運動エネルギーを電気として回収。バッテリーと発電エネルギーを組み合わせることで、1回の充電で最大1000㎞の走行が可能になるという。
 
緊急時の電源としても活躍

 バッテリーにUSBアダプタを取り付けることで、発電エネルギーをスマホの充電等に使うこともでき、もしもの時にも心強い。

 特に電力が必要という際は「スマート発電モード」に切り替えることで、アシストを切り充電だけに集中できる。3段階の発電モードがあり、2番目に発電量が大きい発電モード2の場合、約1.2kmの走行でスマホ1台分の電力量が充電できるという。

次の購入時には、選択肢のひとつに入れたい

 正直なところ、電動アシスト自転車の知識ゼロで訪れた「SPORTS e-BIKE EXPO」。電動車といえばママチャリの進化版というイメージが自分の中で定着していたが、今のスタイルを変えずに乗れたり、電動車だからこその楽しみ方があることも分かった。今すぐ買い替えとはいかないが、次の購入時には選択肢のひとつに十分入ってくると確認させてくれた機会だった。

Profile

鈴木翔
旅と暮らしを愛する編集ライター。総合情報誌、ライフスタイル誌などの編集・記者を10年経験した後に独立。以降、フリーランスとして幅広い領域のメディアに関わる。世界を旅するようにさまざまな業界を取材活動で泳ぎ、生活者感覚を大切にしながら堅いことでも柔らかく伝えるのがモットー。静岡県出身で、現在は東京・中央線沿線のサブカル街で暮らす。
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