「BCNランキング」(※)のコンパクトデジカメ(コンデジ)人気ランキングで度々トップに立っているのがKODAKの「PIXPRO FZ55」。また、性能はほぼ同じでよく比較対象とされる「PIXPRO FZ45」も売れ行きは好調だ。一部では、不穏な話題も報じられているKODAKだが、昨今のコンデジブームの波には乗れていると言えそうだ。
根強い人気を誇るKODAKの
「PIXPRO FZ45」(左)、「PIXPRO FZ55」
2022年に登場した両モデルは、なぜここまで人気を集めているのか。ロングセラーの秘訣を、家電量販店の販売員らによる公平な視点から解説してもらった。
※「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
エディオン横浜西口本店の
中村さん
エディオン横浜西口本店を代表して解説してくれたのは社歴12年・カメラ担当の中村さん。カメラには中学2年生から触れており、カメラ歴は長い。最近はアクションカメラがマイブームだ。
KODAK PIXPRO FZ55
「PIXPRO FZ55」が支持を集める理由について中村さんは「エモい写真」が撮影できることを挙げる。
中村さん(太字、以下敬称略) FZ55は、スマホにはできない表現が特徴的ですね。なんだか少し前のカメラを使っているような気になる「エモさ」、そしていい感じにブレのある写真が撮れる。そこが好評です。
当店では、若い人からご年配の方まで、幅広く人気を集めていて、上半期だけでも、かなりの台数が出ました。SNSの「映え」以外にも、家族を写真に収める、といった用途でもお買い上げいただくことが多いんですよ。起動してシャッターを切るだけ。実はスマホよりも操作が簡単。やはり、誰でも片手で簡単に撮れる、これが一番良いところですよね。
一般的な大きさのカメラ
(Canon EOS R100)との比較
薄型なのでポケットにも入る
中村 「エモい」ので若い人からの人気が高い印象ですが、ご年配の方からもお買い求めいただいています。会社を定年されて、プライベートな時間を大切にしたいとデジカメを選ばれる方が多いです。FZ55よりも安いモデルはいくつかありますが、ワンランク上の製品を、ということで選択いただいています。
あとは軽さ。100gちょっとしかないので、ヒモを付けて首にかけても、全然違和感はありません。サイズも、iPhone16と比べても半分ぐらいのサイズ感。
そして値段も他のコンデジやミラーレスカメラと比べると断然安いです。2~3年使っても、一日10円~30円の計算です。
ケーズデンキ 東京ベイサイド新浦安
河野さん
ケーズデンキ 東京ベイサイド新浦安を代表して取材に応えてくれたのは入社16年目の河野さん。AV機器のコーナーを中心に担当しており、テレビやレコーダーなどいわゆる黒物家電全般に詳しい。最近は大画面テレビで動画を視聴するのが趣味。
店頭では「入門機」としてオススメしている
河野さんもFZ55の写り方については「温かみがある」と表現し、スマホとは違った写真が撮れることを強調する。わざわざ他のカメラから乗り換える人も多いのだという。
河野さん(太字、以下敬称略) 価格帯を考えると画素数は高いので、鮮明な写真も撮れます。ただ、このカメラの特徴はやはり「温かみがある写真が撮れる」ところでしょう。ズーム倍率は5倍、レンズは28mmと広角なので、割と幅広く対応できる性能を持っているとも言えます。そして、コンパクトなので、旅行に持っていく用途で購入されることが多いですね。
比較的若い世代の方がよく購入されます。元々カメラを使っていて、そこからFZ55に乗り換える、なんて方もいらっしゃいました。入門機としてもおすすめですが、「カメラはいろいろ持っているけど、難しい機能はいらない」そんな人にも好評です。
撮影モードは基本的なものを抑えている
通行人がいい感じにブレて、ネオンの光り方も独特
夕暮れのシーンも鮮やかに撮れる
色彩普通(左)と色彩鮮明 空や遊具の色をより鮮やかに
三脚を使えば夜景もバッチリ
デザインも目を引くところがあります。白物家電でもレトロブームの兆しがありますが、FZ55も「平成レトロ」と言うんでしょうか。平成時代のレトロコンデジのような雰囲気があって、そういったところも根強い人気の要因だと思います。
動画も撮影は可能ですが、もっと寄って撮りたくなると5倍ズームでは厳しい場面も出てくるかもしれません。あとはSDカードの容量次第といったところでしょうか。
ビックカメラ新宿東口店 渕上さん
ビックカメラ新宿東口店では「PIXPRO FZ45」について話を聞いてみた。対応してくれたのは、地下一階のカメラコーナー担当 渕上さん。大学では写真について学び、社歴も15年と経験豊富。コーナーに行けば、渕上さんが手本として撮影した写真も飾られており、その腕も確かなことがわかるだろう。
渕上さんによると、FZ45も若い世代からの人気が高いそう。しかしFZ45には、外出先で特に役立つ大きな強みがある。
渕上さん(太字、以下敬称略) コンデジ全体のトレンドですが、価格も手頃なため、学生さんなどがよく手に取ってくださるという印象があります。
KODAK PIXPRO FZ45
渕上 FZ45は単三電池で駆動するところが大きなポイントです。現代は、スマホにワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなど、充電するものが本当に多いですよね。そんな中にカメラが入るとつい充電し忘れたり、後回しになったりしがちです。
電池駆動が大きな特徴
このふくらみが逆に握りやすいという人も
渕上 電池で動くならそんなことはありません。出先にコンビニなど、電池を確保できる環境が整っていれば、バッテリー残量を気にせず写真を撮れます。また、電池駆動のためこのモデルは膨らんだ形状になっています。これをとても握りやすいと感じる方もいらっしゃいますね。
12言語対応と外国人観光客にも好評とのことン
渕上 肝心の写りに関しては、スマートフォンとは異なる「味のある」写真が撮れます。解像度が高いスマホとはまた違って、この独特の空気感も支持を集めている理由の一つです。
あとはズームができる点も選択理由にはなります。これより下の1万~1万5000円のコンデジは基本ズームができないものが多いです。お客様とお話する中ではやはり「ズームは欲しい」と話される方もいらっしゃって、そういった場合にはFZ45をおすすめしています。
FZ45は広角27mmレンズ
(いずれも同店の店頭資料)
光学4倍ズームに対応する
フィルムカメラと比較しても味を感じる
また、意外にもスマホよりも撮影が簡単、余計な機能がなくスマート、といったニーズもあり、幅広い世代が購入していることも分かった。
ちなみに、PIXPROシリーズについては、今年6月に発売した新モデル「KODAK PIXPRO C1」も売れ行きは好調だ。今後もコンデジブームが続くようなら、この新モデルも売り上げランキングの常連となるだろう。
次週からは、今回の取材を踏まえて、各量販店の担当者におすすめのコンデジなどについて聞いたミニ連載企画をお届けする(BCN・寺澤 克)。
「PIXPRO FZ45」(左)、「PIXPRO FZ55」
2022年に登場した両モデルは、なぜここまで人気を集めているのか。ロングセラーの秘訣を、家電量販店の販売員らによる公平な視点から解説してもらった。
※「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
エディオン横浜西口本店 KODAK「PIXPRO FZ55」
中村さん
エディオン横浜西口本店を代表して解説してくれたのは社歴12年・カメラ担当の中村さん。カメラには中学2年生から触れており、カメラ歴は長い。最近はアクションカメラがマイブームだ。
スマホじゃできない インスタ映えする「エモい」写真が好評
「PIXPRO FZ55」が支持を集める理由について中村さんは「エモい写真」が撮影できることを挙げる。
中村さん(太字、以下敬称略) FZ55は、スマホにはできない表現が特徴的ですね。なんだか少し前のカメラを使っているような気になる「エモさ」、そしていい感じにブレのある写真が撮れる。そこが好評です。
当店では、若い人からご年配の方まで、幅広く人気を集めていて、上半期だけでも、かなりの台数が出ました。SNSの「映え」以外にも、家族を写真に収める、といった用途でもお買い上げいただくことが多いんですよ。起動してシャッターを切るだけ。実はスマホよりも操作が簡単。やはり、誰でも片手で簡単に撮れる、これが一番良いところですよね。
(Canon EOS R100)との比較
中村 「エモい」ので若い人からの人気が高い印象ですが、ご年配の方からもお買い求めいただいています。会社を定年されて、プライベートな時間を大切にしたいとデジカメを選ばれる方が多いです。FZ55よりも安いモデルはいくつかありますが、ワンランク上の製品を、ということで選択いただいています。
あとは軽さ。100gちょっとしかないので、ヒモを付けて首にかけても、全然違和感はありません。サイズも、iPhone16と比べても半分ぐらいのサイズ感。
そして値段も他のコンデジやミラーレスカメラと比べると断然安いです。2~3年使っても、一日10円~30円の計算です。
ケーズデンキ 東京ベイサイド新浦安 KODAK「PIXPRO FZ55」
河野さん
ケーズデンキ 東京ベイサイド新浦安を代表して取材に応えてくれたのは入社16年目の河野さん。AV機器のコーナーを中心に担当しており、テレビやレコーダーなどいわゆる黒物家電全般に詳しい。最近は大画面テレビで動画を視聴するのが趣味。
「一緒に旅をするのに最適な入門機」と思いきや、わざわざ乗り換える経験者も
河野さんもFZ55の写り方については「温かみがある」と表現し、スマホとは違った写真が撮れることを強調する。わざわざ他のカメラから乗り換える人も多いのだという。
河野さん(太字、以下敬称略) 価格帯を考えると画素数は高いので、鮮明な写真も撮れます。ただ、このカメラの特徴はやはり「温かみがある写真が撮れる」ところでしょう。ズーム倍率は5倍、レンズは28mmと広角なので、割と幅広く対応できる性能を持っているとも言えます。そして、コンパクトなので、旅行に持っていく用途で購入されることが多いですね。
比較的若い世代の方がよく購入されます。元々カメラを使っていて、そこからFZ55に乗り換える、なんて方もいらっしゃいました。入門機としてもおすすめですが、「カメラはいろいろ持っているけど、難しい機能はいらない」そんな人にも好評です。
デザインも目を引くところがあります。白物家電でもレトロブームの兆しがありますが、FZ55も「平成レトロ」と言うんでしょうか。平成時代のレトロコンデジのような雰囲気があって、そういったところも根強い人気の要因だと思います。
動画も撮影は可能ですが、もっと寄って撮りたくなると5倍ズームでは厳しい場面も出てくるかもしれません。あとはSDカードの容量次第といったところでしょうか。
ビックカメラ新宿東口店 KODAK「PIXPRO FZ45」
ビックカメラ新宿東口店では「PIXPRO FZ45」について話を聞いてみた。対応してくれたのは、地下一階のカメラコーナー担当 渕上さん。大学では写真について学び、社歴も15年と経験豊富。コーナーに行けば、渕上さんが手本として撮影した写真も飾られており、その腕も確かなことがわかるだろう。
単三電池駆動がかなり使える!電池残量を気にせず「味のある」写真を気軽に撮影!
渕上さんによると、FZ45も若い世代からの人気が高いそう。しかしFZ45には、外出先で特に役立つ大きな強みがある。
渕上さん(太字、以下敬称略) コンデジ全体のトレンドですが、価格も手頃なため、学生さんなどがよく手に取ってくださるという印象があります。
渕上 FZ45は単三電池で駆動するところが大きなポイントです。現代は、スマホにワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなど、充電するものが本当に多いですよね。そんな中にカメラが入るとつい充電し忘れたり、後回しになったりしがちです。
このふくらみが逆に握りやすいという人も
渕上 電池で動くならそんなことはありません。出先にコンビニなど、電池を確保できる環境が整っていれば、バッテリー残量を気にせず写真を撮れます。また、電池駆動のためこのモデルは膨らんだ形状になっています。これをとても握りやすいと感じる方もいらっしゃいますね。
渕上 肝心の写りに関しては、スマートフォンとは異なる「味のある」写真が撮れます。解像度が高いスマホとはまた違って、この独特の空気感も支持を集めている理由の一つです。
あとはズームができる点も選択理由にはなります。これより下の1万~1万5000円のコンデジは基本ズームができないものが多いです。お客様とお話する中ではやはり「ズームは欲しい」と話される方もいらっしゃって、そういった場合にはFZ45をおすすめしています。
(いずれも同店の店頭資料)
「エモさ」が若者中心に支持集める ボタンを押したらすぐ撮れる手軽な点 も好評
話を聞いてみると、両モデルはやはり若い世代に人気という見解が多かった。「Y2K」や平成レトロが注目されていることが影響しているのか。いずれにせよ、「エモい」「温かみある」「味のある」と表現されるような、スマホにはない撮影体験ができることが支持を集めている理由だ。また、意外にもスマホよりも撮影が簡単、余計な機能がなくスマート、といったニーズもあり、幅広い世代が購入していることも分かった。
ちなみに、PIXPROシリーズについては、今年6月に発売した新モデル「KODAK PIXPRO C1」も売れ行きは好調だ。今後もコンデジブームが続くようなら、この新モデルも売り上げランキングの常連となるだろう。
次週からは、今回の取材を踏まえて、各量販店の担当者におすすめのコンデジなどについて聞いたミニ連載企画をお届けする(BCN・寺澤 克)。





