キャンプで使えるライトセーバーは普段使いも最強なガスライターだった

レビュー

2021/09/11 18:00

 【木村ヒデノリのTech Magic #071】 昨今の流行に乗っかってキャンプをはじめた方は多いと思うが、今回のガジェットはまさにそんなあなたにおすすめしたい製品だ。JOBON(ジョボン)の多目的ライターは言うなれば、ターボライターとガスバーナーの中間的な製品で、一般的なキャンプ用のガスライターよりもパワフルに火起こしをサポートしてくれる。また、料理においても細かい部分の炙り調理に向いており、ガスバーナーよりも繊細な使い心地だ。

今回紹介するのは、JOBONの多目的ライター。
ライトセーバーのような炎の形状がポイント
 
ウッド調になっているグリップ部分。
カラーはゴールドとシルバーで、
ゴールドタイプはグリップ部がカーボン調になっている

ライトセーバーを彷彿させる火力は驚き

 JOBONの多目的ライターを使ってまず驚くのはその火力だ。まるでライトセーバーを彷彿させるような鋭く長い炎は他のライターではまず見たことがない。ガスバーナーと比べても火先が鋭く、繊細な作業が可能なのが驚きだ。
 
火先が鋭く、細かな炙り作業ができるのが特徴(写真は無加工)

 この画期的なライターを作ったのが中国浙江省、温州市に拠点を置くJobon Smoking Sets Limited(ジョボンスモーキングセット有限公司)だ。同社は1988年に設立され、JOBON、ZOBO、CHIEFという三つのブランドを展開している。特にJOBONは28年以上高品質なメタルライターやアークライター、多機能ライター、オイルライター、シガレットライターなどの生産と販売に特化してきた実績がある。これらの特許も多く保有する意味では、知名度では劣るもののZippoとも肩を並べる存在と言ってもいいかもしれない。
 
昨今中国企業の台頭が著しく、日本の高度経済成長後さながらだ。
積み重ねられた技術には目を見張る点が多い

ライターだが、キャンプにももってこいという仕上がり

 主に喫煙用製品を作ってきたJOBONだが、この多機能ライターに限ってはそうした用途にとどまらず、料理やキャンプにも最適だ。キャンプ用のライターというと新富士バーナーが手がけるブランド「SOTO」の製品を使っている方が多いのではないだろうか。かくいう筆者もSOTO製のスライドガストーチ(ST-480C)を使っていた。これはこれで気に入っていたのだが、火口から出る火の量が少ない。また、スライドガストーチはカセットボンベから充填が可能なのだが、充填後火が着きづらくなるといった点も気になっていた。
 
SOTOのバーナーも良いが火力がやや小さい

 一方、JOBONの多機能ライターは火力が申し分なく、また着火も早いためキャンプの火起こしでも非常に役立った。もちろん焚火など、「火起こし」自体が楽しみになる場合はブッシュクラフト的な着火の方が趣のある方法ではあるが、筆者は調理用にも薪を使っているのでそういった状況ですぐに着火したい場合は重宝する。
 
調理にも薪を使っている場合などには非常に着火しやすくて便利。
やはり薪を使ったピザや燻製ステーキは絶品だ

 料理に関してもとても便利に使えている。自宅で調理をする場合、多くは2~4人分程度で大量に何かを炙ることはないだろう。そうした用途では通常のガスバーナーは火力が大きすぎ、処理がしづらい。一度に広い面積を炙る場合などは良いかもしれないが、筆者はやや不便に感じていた。さらに、そうした不満からSOTO製のバーナーも使ってみたが、逆に火が小さすぎて意図した炙り加減になるのに時間がかかっていた。

 JOBONの多機能ライターはこうしたシチュエーションでも非常に良く働いてくれる。例えば、クレームブリュレの表面を焼くとき、パプリカの表面だけ焦がすとき、アボカドに少しだけ香ばしさを与えたいときなど、一人分に細工をするのに丁度良いのだ。先端がかなり細くなっているので、狭い面積では先端、広い面積ではもう少し根本の方を使って調理すると使い勝手が良かった。
 
通常のガスバーナーは広い面積には適しているが、家庭用と考えると火力が強すぎる

 もちろん業務用であればガスバーナーで細かく処理できるものもあると思うのだが、3860円という安さでこの使用感を実現できるのは素晴らしいと感じた。

きちんと運用すれば安全な設計、懸念は使用ガスの多さか?

 使用する上で少しだけ気になったのが安全性だ。通常のライターとは違い、火が10cmほどになるこの多機能ライター。子供が覗き込んでスイッチを押してしまったりすれば大惨事になる。こういったことを防ぐためにスイッチ上部には押せなくなる安全装置が付いている。
 
ロックをかけられる仕組みは子供のほか、持ち運ぶことを考えてもありがたい

 また、火の大きさをコントロールするつまみも付いているため、安全面を考えてロックと火の大きさを一番小さくするという2重の保険をかけておくと運用上は安心だろう。もう一つ注意すべき点は、SOTO製のライターと違いカセットボンベからは充填できないこと。試してみたが、カセットボンベのガスでは点火せず、別途ライター用の高純度ガスを使う必要があった。キャンプ用品の感覚でカセットボンベ缶から充填しすぎると思わぬ事故につながることも考えられるので注意が必要だ。

 もう一つ、キャンプで使った際に困ったことはガス切れだ。強力でコンパクトという仕様上どうしてもガス切れは早くなる。さほど使わなければ2泊3日程度は大丈夫かもしれないが、念の為充填用のガスボンベは持って行ったほうが良いだろう。
 
筆者が使っているのはライテックの共通ガスボンベ(ガスライター専用)

 安全性には配慮しなければならないが、それ以外は痒いところに手の届く絶妙なライターだった。特に細やかな処理が出来つつも、大火力でストレスなく使える点が良い。安全性に配慮した国産製品とは対局にあるものかもしれないが、ユーザーが配慮すれば大変便利に使えるものだった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
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