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 登場した新しいプロダクトでは、一部の家電量販店とオンラインショップ限定で販売している「Google Nest Wifi」を挙げたい。従来型の無線LAN親機に比べ、価格が1桁多い高速メッシュWi-Fi製品の中で比較的求めやすい価格でありながら、Wi-Fiルータ(親機)と組み合わせて使う拡張ポイント(無線LANアクセスポイント)がそのままGoogle アシスタント搭載スマートスピーカーになっているからだ。
 
シンプルなデザインのGoogle Nest Wifi

スマホアプリから簡単にセットアップ 電子レンジを使っても遅くならない

 新築マンションは、2013年を境に価格上昇が進み、現在、一戸当たりの平均専有面積は70平方メートルを切っている。Google Nest Wifiは、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の同時デュアルバンド(2.4GHz/5 GHz)対応Wi-Fiで、1台で最大100台の接続デバイスに対応可能。親機となるルータ1台で120平方メートル(約36坪)、拡張ポイント1台で90平方メートル(約27坪)、ルータ1台と拡張ポイント2台の組み合わせで約300平方メートル(約90坪)という広範囲をカバーする。つまり最近の新築マンションならルータ1台で十分だ。
 
マグカップと比較すると小ささが際立つ

 約70平方メートルの自宅(マンション)で、リビング横にある洋室(ファミリールーム)のデスク上にルータ、北側の共用廊下に面した洋室(寝室)に拡張ポイントを設置して窓を開放したところ、共用廊下に面した敷地内駐車場まで微弱ながら電波が届き、Twitterの最新ツイート程度なら確認できた。もちろん自宅内なら全部屋にしっかり電波が届き、Wi-Fi絡みのストレスは一切なくなった。

 ハードウェアのセットアップや無線LAN設定は、iOS用/Android用アプリ「Google Home アプリ」から。Googleのアプリなので、いつものGoogleアカウントでそのままログインでき、Wi-Fiの名称とパスワードを決めると、他の端末から簡単に接続できた。セットアップに当たり、拡張ポイントの設置場所は、親機(ルータ)から2部屋ほど離すとベストとアドバイスするなど、随所に、初心者を意識した配慮が感じられた。
 
Google Home アプリから行うセットアップは簡単。
面倒なセキュリティキーの入力も、本体底面のQRコードをセットアップ作業中のスマホのカメラで
読み取るだけで完了する

 さまざまなWi-Fiに関するストレスのうち、最も困っていたのは、ソニーのAndroid搭載スマートテレビ。電子レンジのあたため機能を使用したり、ノートPCで大容量データをダウンロードしたりすると、かなり高い頻度で再生中のYouTube動画が止まっていたからだ。しかし、「Google」と名付けた、Google Nest Wifiのネットワークに切り替えた後は、そうしたトラブルが一切発生しなくなった。
 
今回は、Wi-Fiルータをリビングに隣接するファミリールーム(オレンジ色の印の位置)に、
スマートスピーカーとしても使える拡張ポイントを寝室(水色の印の位置)に設置。
すると、共用廊下に面した敷地内駐車場までWi-Fiの電波が届いた

 パスワード入力が面倒なテレビ、インクジェットプリンタ(複合機)を含め、おおよそ15分で自己所有・家族共有の無線LAN搭載機器のWi-Fi設定切り替えは完了。電子レンジで飲み物を温め、Amazon Primeビデオで高画質HD映像を流しながらノートPC(Mac)とiPadの2台で調べ物を行い、寝室で拡張ポイントが誰も聞いていないのに最新ニュースを延々と流すという使い方でも、速度テストの結果は、平日午前でダウンロード184Mbps、アップロード86Mbpsと超高速。平日夜間でもダウンロード97Mbps、アップロード13Mbpsだった。体感的にもウェブページの表示が少し速くなった気がした。
 
速度計測もメッシュWi-Fiの接続テストもアプリから簡単に可能。
接続台数も常に把握でき、そのスピードもわかる

拡張ポイントは実は高音質スマートスピーカー 省スペースで1台2役

 Google Nest Wifiがユニークな点は、通常なら、おまけ的な扱いになりがちな拡張ポイントにある。「OK Google、xxxして」と呼びかけるとニュースや音楽を再生したり、任意登録の住所情報から経路を教えたり、アプリからデバイスを指定して「早く起きて」などと遠隔で呼びかけたりと、まさに機能はスマートスピーカー。音質も割と良かったが、1台2役で省スペースとプラスに受け取るか、無駄な付加機能追加で価格を上乗せしているとみるか、見解は分かれそうだ。
 
真っ白でコンパクトな拡張ポイント。
設定中やスマートスピーカーとして応答するときは本体下部のラインが光る

 税込みの価格は、ルータと拡張ポイントのセットが3万1900円、ルータ単体が1万9800円、拡張ポイント単体が1万8150円。セットは割安だが、それぞれ単体だと割高な印象だ。また、都心部で増えている3階建や広いロフト付き平屋、通路部分が長い竿状敷地に建築した2階建などで自宅の隅々まで利用できるようにしたいなら、拡張ポイントは2個必要となるので、合計5万50円となる。
 
ぱっと見た感じでは、Wi-Fiルータと拡張ポイントにデザインは同じ。近くで見ると、「G」のロゴの有無や電源コードの処理、本体底面など、異なっている(中央のみ拡張ポイント、他はWi-Fiルータ)

iPhone/iPadやAmazon Echoと併用すると後ろめたいも問題なし

 現在、おおむね3万~5万円という価格帯が、安定した高速通信が可能で、ゲストWi-Fi設定・ペアレントコントロールといった便利な機能を備えた最新Wi-Fiルータの購入予算の目安となる。なお、Google Nest Wifiは、AppleがiPhone11シリーズから新たに採用した次世代の無線LAN規格「Wi-Fi 6(802.11ax)」には対応していない。また、自動調整のため、2.4GHz帯と5GHz帯を任意に指定できない。
 
Google Home アプリから、ルーティンの設定や、ゲスト用Wi-Fiの作成、利用時間の制限が可能。
音声でメッセージを伝えられる「ブロードキャスト機能」も備わっている

 Android搭載製品が増える一方で、スマートスピーカーのジャンルではスマホ由来のGoogle アシスタントは他よりもやや劣勢とみられており、Google Nest Wifiは、多機能で便利なGoogle Home アプリを使い始めるいいきっかけになりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)