• ホーム
  • ライフスタイル
  • <地域No.1店舗の売れる秘訣・ドスパラ千葉店>「町医者」的な存在の店舗 パソコンで困ったら気軽に来店してもらう

<地域No.1店舗の売れる秘訣・ドスパラ千葉店>「町医者」的な存在の店舗 パソコンで困ったら気軽に来店してもらう

特集

2014/12/15 12:26

 千葉県千葉市の商業・行政の中心地、中央区にあるドスパラ千葉店は、近隣住民がパソコンで困ったら来店する「町医者」のような存在だ。家電量販店では対応しきれないトラブルを解決するだけでなく、パソコンに関する知識をわかりやすく伝える接客で、お客様を呼び込んでいる。なかでも自社ブランドのパソコンは、メーカー製よりもリーズナブルということで、順調な売れ行きをみせている。秋葉原電気街に行かなくても事足りることをコンセプトに、パソコン上級者も常連客として確保している店舗でもある。(取材・文/佐相彰彦)


ドスパラ千葉店
店舗データ
住所 千葉県千葉市中央区新田町5-3 勝山ビル1F
オープン日 1996年3月30日
売り場面積 約400m2
従業員数 5人

ショッピングエリアの千葉駅周辺に パソコン専門店として唯一出店



 千葉市中央区にあって市の中心駅に位置づけられるJR千葉駅は、ショッピングエリアとして多くの市民が訪れる。それには、1967年に開業して、古くからJR千葉駅直結の百貨店として店を構える、そごう千葉店が大きく寄与している。今年4月26日には8年ぶりに改装。大規模なリニューアルによって存在感を示している。

 JR千葉駅は周辺にオフィルビルが建ち並び、国立千葉大学の亥鼻キャンパスなどもあって、1日平均の乗降客が2013年度(14年3月期)の時点で10万人超に達している。中央区内には千葉県庁もあって、行政の街でもある。

JR千葉駅周辺がショッピングエリアになっているのはそごう千葉店の存在が大きい

ドスパラ千葉店の隣にじゃんぱら千葉店があって相乗効果を生み出している

 家電量販店では、JR千葉駅前にヨドバシカメラ千葉店があり、主力のデジタルカメラをはじめ、白物家電などを豊富に揃えて、連日、来店客で賑わっている。ヨドバシカメラ千葉店が多くのお客様を確保しているなか、20年近く中央区に根づいて一定の常連客を確保しているのがドスパラ千葉店だ。1996年3月30日にDOS/Vパラダイス千葉店として新田町2丁目でオープンし、その後、2000年7月7日に通りを挟んだ反対側の新田町5丁目に移転した。その後は、DOS/Vパラダイスからドスパラに店名を変更して現在に至る。

 ドスパラ千葉店がある場所は、JR千葉駅から歩いて10分弱。斉藤芳昌店長も、「駅からの距離があるという事情で、新規よりも既存のお客様が多い」と認める。ただ、隣にはパソコンを中心とする中古専門店のじゃんぱら千葉店があって、「新品や中古品を問わず、価格がリーズナブルなパソコンを購入するために、新田町に訪れるという人の流れができつつある。2種類の専門店によって、いい相乗効果が生まれている」と斉藤店長はみる。

パソコン上級者を常連客に 近隣住民と60歳以上の層が訪れる



 出店場所はJR千葉駅から少し離れているものの、リーズナブルな価格でパソコンを購入することができる店としての評価を確立しつつあることから、ドスパラ千葉店には、さまざまな層のお客様が訪れる。「40代のパソコン上級者をはじめ、60歳以上の方や近隣のお住まいのパソコンにあまり詳しくない方も頻繁に来店される」という。稼ぎ頭はパソコンで、なかでもノートパソコンの売上比率が圧倒的に高いそうだ。「この辺り(千葉市中央区)には、個人でオフィスを構えている方が多いのか、いつでもどこでも仕事に使うという目的で、ノートパソコンを購入されるお客様が目立つ。また、60歳以上で写真撮影が趣味という方が、デジタルカメラの画像を編集するためにノートパソコンを購入しておられる」と斉藤店長は話す。

稼ぎ頭はパソコンで、なかでもノートパソコンの売上比率が圧倒的に高いそうだ

 ネットゲームを楽しむヘビーユーザーはデスクトップを好むが、「そのような上級者には、組み立てパソコン用のパーツを購入してもらっている」。最近では、高性能なストレージとしてSSDが人気で、HDDからの乗り換えで「飛ぶように売れている」とのことだ。

最近では、高性能なストレージとしてSSDが人気

 近くに勤務する会社員が昼休みを利用して来店したり、大学生が学校帰りに来店したりする際に関心を抱くのが、ユニークな雑貨を揃える上海問屋の商品だ。「iPhoneやiPadに関連したアイテムが手軽に購入できる点も含めて人気を集めている」という。

iPhoneやiPadに関連したアイテムが手軽に購入できる点も含めて人気を集めている

 ドスパラ千葉店にさまざまな客層が来店するようになったのは、「店内の様子がわかりやすく、入りやすい店づくりに力を注いでいるため」と斉藤店長はアピールする。店舗はガラス張りだが、1年前までは在庫を積み上げてあって、外から店内がよく見えなかった。「来店したことのない方は、『何を売っているかわからない怪しい店』と判断して近寄らなかったかもしれない。そこで、外からでも店内を見えるようにして、入りやすい店に変えた」という。店内は、昼間は光が差し込んで明るく、夜は周りが暗いことから店内の様子がさらにはっきりと見てとれる。「パソコンを売っている店ということを知っていただければ、買い替えや故障の際には必ず来店していただける」と斉藤店長は確信している。

外からでも店内を見えるようにして、入りやすい店に変えたという

 気軽に来店できる雰囲気で、ほかに工夫を凝らしているのは接客だ。パソコンに精通したスタッフが、あまり詳しくないユーザーに対して「利用シーンを織り交ぜながら、パソコンのよさを伝えている」。この接客によって、来店者がパソコンで困っていることをスタッフに相談するケースが多くなり、「トラブルを解決する方法などを伝えると喜んでもらえる」という。「町医者」的な存在として信頼を集める店舗の地位を確立しつつある。


店長が語る人気の理由――斉藤芳昌 店長



 東京・秋葉原電気街にある店舗を経験し、ドスパラ秋葉原本店では店長を務めた。昨年8月、千葉店の店長に就任。通販サイトが台頭している状況にあって、リアル店舗の魅力を訴えて来店を促すことを使命としている。

 秋葉原電気街と大きく異なる点は、「購入目的のお客様しか来店しない」ということ。電気街には観光客など街自体を楽しむために訪れる人が少なくない。「千葉店に来店される方は、しっかりと説明を聞いてくれる」。来店者の購入率は秋葉原の店舗よりも高いという。「電気街に行かなくても千葉店で事足りることを意識させる」。千葉市で電気街並みの商品と接客を備えた戦略的な店舗だ。

■人気の理由
・さまざまな客層が来店できるパソコンのラインアップ
・ガラス張りを生かして店内の様子がよく見えるようにした
・利用シーンを織り交ぜたわかりやすい接客
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年12月8日付 vol.1558より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは