ゲーミングディスプレイ「RL2460HT」 輪郭がクリアになり格闘ゲーム向き

レビュー

2014/09/19 20:14

 1990年代に一世を風靡した格闘ゲーム「ストリートファイターII」。シリーズ最新作が、今年登場した「ウルトラストリートファイターIV」だ。また、人気のRPG(ロールプレイングゲーム)「ペルソナ」シリーズの格闘ゲーム第二弾「ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド(P4U2)」が8月末に発売になった。立て続けの注目タイトルの発売に、格闘ゲームブームが再熱しそうな気配を感じる。そんな格闘ゲームをやり込みたい人にピッタリの液晶ディスプレイがベンキューから登場した。ゲーミングディスプレイ「RL2460HT」は格闘ゲームの伝説プレーヤーであるジャスティン・ウォンが監修した本格的な「格ゲー」用ディスプレイだ。

「RL2460HT」

ベンキューの「RL2460HT」
 

キャラクターが見やすく目にやさしい格闘モードを搭載



 「RL2460HT」は、格闘ゲーム向けの格闘モードを備える24インチの液晶ディスプレイ。輝度やコントラスト、シャープネスなどは、格闘ゲームに最適な設定――キャラクターが際立つように、輝度はやや低く、シャープネスは最大――にプリセットしている。この設定を監修したのが、アメリカで活躍するプロの格闘ゲーマー、ジャスティン・ウォンだ。

 ジャスティン・ウォンが監修したと聞くと、なんだかプレーするだけで格闘ゲームの腕が上がりそうな気がする。気分が盛り上がったところで、さっそく「RL2460HT」で、アトラスが発売したPlayStation 3用ソフト「ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド(P4U2)」をプレーした。2008年に発売され、アニメにもなった人気RPG「ペルソナ4」のスピンオフ作品だ。

 画面モードの切替えは、画面向かって右側面に配置したOSDボタンで行う。画面モードには標準/動画/写真などがあり、表示するコンテンツに合わせて選択できる。ここでは、格闘モードと標準モードを見比べた。
 

OSDで変更する

画像モードはインターフェースがわかりやすいOSDで変更する

 一見してわかるのが、キャラクターの輪郭線の違いだ。格闘モードでは輪郭線がはっきりして、キャラクターと背景を区別しやすくなる。また、キャラクターの表情もわかりやすくなるので、感情移入しながらゲームをプレーできるのもメリットだ。

 一方で、格闘モードはやや輝度を落とした設定になっているので、標準モードに比べて画面が暗い。「ゲームなら画面が明るいほうが見ばえがいい」と思う方もいるかもしれないが、格闘ゲームでは自分が操作するキャラクターに視点が固定されるので、派手な背景をきれいに写すよりも、キャラクターが際立っているほうがプレーしやすいのだ。
 

左が格闘モード、右が標準モード

左が格闘モード、右が標準モード。格闘モードの輪郭が際立っている

 相手の一瞬の動作も見逃さないように凝視する格闘ゲームでは、見た目を追求して輝度を高くするよりも、逆に抑えることで疲れ目を防止する利点のほうが勝る。「格闘」モードは、勝っても負けても熱くなってプレー時間が長くなりがちな格闘ゲームには最適なモードだ。

 目の疲れを軽減するという点では、ベンキューのディスプレイの特徴であるフリッカーフリーも役に立つ。フリッカーとは、目に見えない画面のチラつきのことで、眼精疲労の原因の一つといわれる。「RL2460HT」は、そのフリッカーが発生しないバックライトを搭載し、ディスプレイを長時間プレーしたときの目の負担を軽減する。もちろん、ゲームだけでなく、書類作成や動画の鑑賞など、一般的な視聴でも効果を発揮する。

 さらに、動きの速い格闘ゲームを楽しむなら、パネルの応答速度も大事だ。独自の高速応答技術「AMA」によって、中間階調域は黒白黒で5ms、中間階調1msと高速。格闘ゲームなどの動きの速い画面で残像を抑える。
 

HDMI出力でゲームのプレー画面の録画がらくらく



 今年の7月末に発売されたばかりの「RL2460HT」は、すでに一部のゲーマーから絶大な支持を得ている。それは、格闘モードの搭載もさることながら、HDMI出力端子の存在によるところが大きい。
 

背面には2系統のHDMI入力端子と1系統の出力端子を搭載

背面には2系統のHDMI入力端子と1系統の出力端子を搭載

 ゲーム機やPCなどから映像信号を入力するHDMI入力端子は、いまやほとんどのディスプレイに備わっている。だが、ディスプレイから映像信号を出力するHDMI出力端子を備えたディスプレイは少ない。

 「RL2460HT」のHDMI出力端子は、ゲーム機から入力した映像信号をそのままパススルーするので、映像を劣化なく出力する。「RL2460HT」のHDMI出力端子と別のディスプレイをHDMIケーブルで接続すると、2台のディスプレイで同じ画面を表示できる。例えば、対戦ゲームなどで活用すればプレーヤーが自分専用のディスプレイを見ながらプレーでき、家にいながらゲームセンター気分に浸ることができるのだ。

 また、HDMI出力端子からHDMIケーブルでビデオキャプチャなどを接続すると、ゲームの映像と音声をPCに取り込むことができる。例えば、AVerMedia TechnologiesのHDMIビデオキャプチャ「AVT-C875」を「RL2460HT」とHDMIケーブルで接続してゲーム画面を録画することができる。本来はゲーム機とディスプレイ/テレビの間に「AVT-C875」を接続するが、HDMI出力端子を備える「RL2460HT」なら、ディスプレイから映像データを出力できるので、使いたいときにすぐに接続できて便利だ。
 

「RL2460HT」のHDMI出力端子と「AVT-C875」を接続

「RL2460HT」のHDMI出力端子と「AVT-C875」を接続

 また、「AVT-C875」はPCなしで録画できる「単体録画モード」を備える。本体にSDカードスロットを備え、SDメモリカードにゲーム画面を録画できる。これならゲーム機の映像を録画するのにPCを用意する必要がない。「AVT-C875」のインターフェースは至ってシンプルで本体中央にある渦巻きボタンを押すだけで録画の開始/停止ができる。赤のLEDライトがゆっくりと点滅したら録画中のサインだ。なお、「AVT-C875」はUSB給電が必要。ディスプレイの「RL2460HT」はUSB端子を備えていないので、ゲーム機やPCから電源を取ろう。自分のプレーを分析して上達を目指したり、インターネットで配信して同好の士とわいわい楽しんだり、ゲームの楽しさがぐんと広がる。
 

ゲーム用途だけでなく、標準ディスプレイとしても優秀



 「RL2460HT」は、PCのディスプレイとしても使いやすい。人体に悪影響を与えるといわれるブルーライトを低減する「ブルーライト軽減モード」は、画面の色温度や輝度を調整することで、ブルーライトの発生を抑制する。画面の色合いが変わってしまうのでゲームには向かないが、長時間の書類作成などの作業にはうってつけだ。

 入力端子は、HDMIが2系統とDVI、D-Sub15ピンと豊富。画面を90°回して縦型ディスプレイとしても利用できる。スクロールの多いウェブページの閲覧もしやすく、PCのサブディスプレイとしても活躍するだろう。また、画面の高さを調節するスタンドには目盛りがついている。PCでの書類作成とゲームのプレイ時など、自分とディスプレイの距離が変わったときには画面の高さを動かすことも多いが、目盛りがあれば元の状態に正確に戻すことができる。こんな細かい配慮がうれしい。
 

画面を90°回して縦型ディスプレイとして利用できる

画面を90°回して縦型ディスプレイとして利用できる
 

高さをひと目で確認できる目盛りつき

高さをひと目で確認できる目盛りつき

 格闘ゲームに最適なモードを搭載した「RL2460HT」は、フリッカーフリーやブルーライトの軽減機能、スタンドの高さ調節目盛りなど、PCとのパートナーとしても役立つ機能を備えている。入力系統も多く、ゲームから書類作成まで、あらゆるシーンで大活躍するディスプレイだ。(フリーライター・星政明)