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クリプトン、「初音ミク V3」9月26日発売、ソフト1本で音楽制作ができるオールインワンパッケージ

ニュース

2013/08/12 14:25

 クリプトン・フューチャー・メディア(クリプトン)は、ヤマハが開発した歌声合成エンジン「VOCALOID3」を採用した音声合成ソフト「初音ミク V3」と、これに英語の歌声ライブラリをバンドルした「初音ミク V3 バンドル」を9月26日に発売する。また、パッケージ版の発売に先行して、8月31日から英語歌唱版「初音ミクV3 ENGLISH」を世界に向けてダウンロード販売する。

「初音ミク V3」のビジュアルイメージ

オリジナルをリファインした「初音ミク V3」(ビジュアルイメージ)

 「初音ミク V3」シリーズは、歌声ライブラリ(歌声データベース)と、軽快に動作する次世代型ボーカルエディタ「Piapro Studio」、音楽制作ワークステーション(DAWソフト)「Studio One Artist Piapro Edition」、200種類以上の楽器音源(PreSonusソフトウェア音源)などを収録。1本でボーカルパートから伴奏まで制作できるオールインワンパッケージ。

 歌声ライブラリは、清楚でかわいらしい「ORIGINAL」と、「MIKU APPEND」から厳選した甘くささやくような「SWEET」、落ち着きがあって少し憂鬱な表情の「DARK」、全体的に物腰が柔らかくおしとやかな「SOFT」、硬く張り詰めた声質で緊張感のある「SOLID」の5種類。日本語版・英語版とも、オリジナル同様、藤田咲さんが担当する。「VOCALOID2 初音ミク」「MIKU APPEND」との互換性を重視し、愛着のある「初音ミク」の要素を生かしながら「VOCALOID 3」で新たに採用したTriphone(トライフォン)の音素を多く含むことで、よりスムーズなつながりを実現するなど、つくりを磨き込んだ。

オールインワンパッケージの「初音ミク V3」

5種類の歌声ライブラリを収録

 「Piapro Studio」は、自社開発のVSTiプラグイン対応ボーカルエディタ。音楽制作ソフトとの連動性を重視し、直感的にボーカルパートを作成できる。サウンドプレビュー機能や、ボーカルを再生しながら編集できる「リアルタイム編集」、コーラス機能などに対応し、初心者はもちろん、中・上級者も使いやすい。編集画面にイラストを透過で設定したり、歌声ライブラリのアイコンを変更できるようにしたり、つくる楽しさを演出した。今年2月に発売した「KAITO V3」のユーザーのフィードバックや要望をもとに改良・バージョンアップを進め、「初音ミク V3」の発売と同時にバージョン1.0にアップデート。MacとWindowsの64ビットに対応する。今後は、「KAITO V3」「初音ミク V3」以外のデータベースにも対応する予定。

各ソフトの役割と「Piapro Studio」の操作画面

「Piapro Studio」の操作画面(右)

 ヤマハから提供を受けるVOCALOID APIのMac対応を受けて、VSTiプラグイン形式としてMac対応を実現。WindowsとMacに対応するハイブリッド版になり、どちらか一方のライセンスを利用できる。さらに、今後のアップデートで、Apple標準プラグイン形式のAudio Units(AU)にも対応する予定。AU対応によって、「GarageBand」や「Logic」上でも使用できるようになる。対応OSは、Windows 8/7/Vista/XPとMac OS X 10.8/10.7。

 価格はオープンで、直販サイトでの価格は、「初音ミク V3」が1万6800円、「初音ミク V3 バンドル」が2万1000円。「VOCALOID2 初音ミク」「MIKU APPEND」のライセンス登録済みのユーザー向けには優待販売を実施する。

「初音ミク V3」「初音ミク V3 バンドル」の製品パッケージ

「初音ミク V3」「初音ミク V3 バンドル」の製品パッケージ

 英語版「初音ミク V3 ENGLISH」は、日本語の歌声ライブラリの代わりに、新たに開発した英語の歌声ライブラリ「English」を収録。「English」は、艶やかで落ち着いた、ナチュラルな英語の声。ダウンロード販売のみで、直販サイト価格は149ドル。なお、日本でのパッケージ販売の予定はない。

英語版「初音ミク V3 ENGLISH」

初音ミク V3 ENGLISHは、ダウンロード販売とバンドル版のみ

 イラストはイクシマさんによるもので、「VOCALOID2 初音ミク」のオリジナルをリファインした。「初音ミク」のロゴもオリジナルを踏襲し、バランスを整えた。一方、英語版「初音ミク V3 ENGLISH」のイラストは、ざいんさんによるもので、欧米市場向けに、大人っぽいイラストを採用した。

開発コンセプトは「誰もを音楽クリエイターに」



 製品発表会では、伊藤博之社長と、初音ミク制作担当の佐々木渉さんが5年ぶりの新バージョンとなる「初音ミク V3」の強化点や特徴などを説明した。

伊藤博之社長と佐々木渉さん

伊藤博之社長(右)と佐々木渉さん

 「初音ミク V3」の開発方針は、「誰もを音楽クリエイターに」。「VOCALOID3」から音声ライブラリとボーカルエディタが別売になったが、「初音ミク V3」は音楽制作の初心者が初めて手にするスターターキットと位置づけ、DAWソフトやソフトウェア音源も収録して、買ったその日から音楽制作ができるようにした。「Piapro Studio」も使いやすくなり、佐々木さんは「どんどん作曲してほしい」とコメントした。

「初音ミク V3」の開発方針


 英語版の開発は2年以上前から進めており、待望のMac対応については、ヤマハのプラグインがMacに対応した後、「光の速さ」で開発したという。2007年8月31日の発売以来、音楽はもちろんキャラクターとしても人気を集める「初音ミク」。自社・他社のボーカロイドソフトや同種のソフトを含めたボーカロイド全般に対し、年々注目度が高まり、今や異業種とのコラボレーションも多い。今年9月下旬には、ドコモから、クリプトンなど5社が関わったスマートフォンXperia feat. HATSUNE MIKU」も発売になる予定だ。

スマートフォン「Xperia feat. HATSUNE MIKU」とコンセプトCD「MikXperience e.p.」

発表会に先立って、「Xperia feat. HATSUNE MIKU」(左)と連動したクリプトンとソニー・ミュージックレコーズとの共同プロジェクトによるコンセプトCD「MikXperience e.p.」(右)の発表会を開催。ソニーグループと「初音ミク」のこれまでのコラボレーションを説明した

 伊藤博之社長は、こうした状況を受けて「『初音ミク』はインターネット的」と前置きしたうえで、「発売からもうすぐ6年。歌うソフトである点は変わりないが、機能やデータベースも強化していきたい」と意気込みを語った。また、「音楽制作ソフト市場は、日本が約15%、米国が50%程度。ボーカロイドによって裾野が広がったといっても、まだ小さい。英語版が日本のクリエイターが世界で活躍するパスポートとなるのではないか」との見解を示した。